神戸市には,2017年12月現在,94種・亜種のトンボが記録されています.これは一つの都道府県に匹敵する種数で,神戸市がトンボの宝庫であることを示しています.兵庫県には101種のトンボが記録されており,その差は,イトトンボ科のヒヌマイトトンボ,サナエトンボ科のミヤマサナエ,ナゴヤサナエ,ヒラサナエ,クロサナエ,コサナエ,ヒメサナエの7種です.すべてが河川性のトンボで,神戸市の河川環境に多様性が乏しいことが起因しています.ところで,クロサナエについては最近の文献上の記録があります(八木他,2002)が,これについては検討が必要と考えており,自身で確認がとれるまでは,保留にしています.
以上のリストは,神戸市内で記録のあるトンボリストです.番号は,日本産トンボリストの番号と区別するために,「K」で始まるようにしています.環境省レッドリスト掲載種については,左端にアイコンを付けて表示しています.レッドリストは
環境省による最新の見直し(2019年1月24日)に基づいています.また兵庫県のRDBランク(2022改定)を滅,A,B,C,注,調で,神戸市への迷入種については「迷」をつけています.神戸市のRDBランク(2020年改定)を種名の右側にアイコンで掲載しました.このうち,キイロサナエ,ハネビロエゾトンボ,マイコアカネ,オオキトンボについては,兵庫県のランクとの逆転が起きています.このうち前三者はこの2年間の間に特に兵庫県の状況が悪化したと判断されたためで,オオキトンボについては,全国的にみた兵庫県個体群の学術的貴重性を重視して,生息実態よりやや高く判定されているためです.
<本章の参考文献>
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