神戸のトンボたち
K002. ホソミオツネントンボ Indolestes peregrinus
オスの静止.2009.4.18.,神戸市北区.
オスの静止.2009.4.18.,神戸市北区.
 日本産トンボの成虫で越冬する3種のうち,神戸市では最もよく出会うのが本種です.どちらかといえば湿地的環境が好みで,春に水田横の用水路などのそばに止まっているのをよく見かけます.市内の記録は,北区,西区,垂水区,須磨区,長田区,灘区,東灘区にありますが,他の区にもいる可能性は十分にあり,全市に分布する種といえましょう.
 成虫で越冬するため,成虫期間が長く,夏の終わりころから翌年の初夏に至るまで生き続けていると考えられます.幼虫の時期は春から初夏にかけてで,田んぼには必ず水がある時期です.水田の生活者であるアキアカネが農薬が原因して減少していることが指摘されています(神宮字ら,2009).本種も今後大きく数を減らす,あるいはすでに減っている可能性があります.
神宮字 寛, 上田 哲行, 五箇 公一, 日鷹 一雅, 松良 俊明,2009.フィプロニルとイミダクロプリドを成分とする育苗箱施用殺虫剤がアキアカネの幼虫と羽化に及ぼす影響.農業農村工学会論文集,77(1):35-41.