神戸のトンボたち
K014. ベニイトトンボ Ceriagrion nipponicum
連結植物組織内産卵.2010.7.30.,神戸市内.
連結植物組織内産卵.2010.7.30.,神戸市内./神戸市RDB:
 神戸市内での記録は,北区,西区,垂水区,須磨区,東灘区にあります.いままで神戸市内で観察された池は標高120m以下の,いずれも街中の,かんがい用として使われなくなったような池で,ヨシ,ハス,スイレンなどが一面に繁っているようなところです.水は決してきれいとはいえません.標高の高いところでは見つかっていませんが,北区の記録は標高320mとなっています.
 このトンボの分布について,松本氏(1982)は「明石市東部から西区櫨谷町,伊川谷町に広がる明石層群と称される準平原状洪積丘陵周辺にのみ見いだされる.好んでヒツジグサの葉裏に産卵するところから,本種はやや深い水域にすむらしい.以前は現在の神戸市街地の丘陵下の池,例えば西代蓮池,さらには伊丹市周辺にもいたと推定される.」と述べています.神戸市周辺の記録としては,明石公園というのもあります.
 私が発見した池のうち,名谷町のいくつかの池は本四道路の垂水ジャンクションの真下にあたり,現在は影も形もなくなりました.その他の池も水質がとても悪くなっており,姿がほとんどみられなくなっています.また兵庫県南部地震によるため池の崩壊,そしてその補修によって本種が消えた池もあります.櫨谷町から垂水近辺にかけてそこそこ見られる池はあったのですが,今はすべてなくなってしまいました.神戸市立名谷小学校にトンボ池が作られたとき,ここにいち早く現れたのが本種で,幼虫もいて繁殖していました.しかしもう今はその状態にないと思われます.
 また東灘区の付属住吉中学校のビオトープ池に本種が出現したという連絡を受けたことがありました.私は確認に出かけておりませんが,Webには以下のように記載されています.「神戸では珍しいイトトンボ。それがビオトープに繁殖している。ビオトープの水草は明石の方で埋め立て寸前の池から持ってきたので、その池の住人だった可能性が高い。(http://homepage2.nifty.com/hirouchi/anma.html,2000年07月08日)」現在ここ以外の確実な産地は,市内では1ヶ所だけとなっています.
付属住吉中学校で出会える動物たち,2000.7.8., http://homepage2.nifty.com/hirouchi/anma.html.