K--?. クロサナエ Davidius fujiama
神戸産写真記録・標本記録なし.
神戸市でのクロサナエの記録は,八木他(2002)の附表にあります.これは兵庫昆虫同好会と県立人と自然の博物館の合同調査によって,六甲産地で記録されたものです.記録は,「確認,VIII.5, 幼虫」,「確認,IX.9, 幼虫」となっているので,幼虫を現場で目視確認したことが分かります.採集の場合は個体数を書いています.
考察の文章を読むと,同定は博物館の担当者がおこなっているようで,信頼ができるものと考えられますが,本種が神戸市で初めての記録というにしては(拙著「神戸のトンボ」を参考文献に挙げておられます),初記録ということも含めて,まったく考察でそのことがふれられていません.一方ムカシトンボやヒメクロサナエについては考察されています.調査をした方は,水生昆虫の同定にはまだ不安があることを正直に述べられています.クロサナエの幼虫はダビドサナエとの区別が非常にむずかしく,メスの場合は専門家でも確実な同定はできません.ましてや実体顕微鏡を使わず,現場で確認はオスであっても困難でしょう.
こういった事情があるので,私として,本種を神戸のトンボのメンバーとして加えることを現段階では保留しておきます.またくわしい情報を得たら,公開します.なお現地は,環境的には生息していてもおかしくない環境ではあります.
八木剛・中西明徳・青田紀子・植田義輔・岡本俊治・勝又千寿子・金子留美子・古賀督尉・杉野広一・高島昭・谷口日出二・谷口幸生・檜山咲美・林成多・水野辰彦・山崎敏雄・山本勝也・吉田武,2002.六甲山のブナ林とその周辺の昆虫相.きべりはむし,30(1):1-45.兵庫昆虫同好会.神戸.