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a.第3径挟脈 IR3 が先端の方で分枝しない(1)(2).・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2.
b.第3径挟脈 IR3 が先端の方で分枝する(3a)(4c) .・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3.
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a.中室 r+m には横脈がない(1).・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・サラサヤンマ属
b.中室 r+m に4本程度の横脈がある(2).・・・・コシボソヤンマ属・コシボソヤンマ
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a.腹部第3節が明らかにくびれている.縁紋の長さは短い(3).・・・・ミルンヤンマ属
b.腹部第3節はくびれない.縁紋の長さが長い(4).・・・・・・・・・・・・・・・・アオヤンマ属
図3.ミルンヤンマ♂とアオヤンマ♂の後翅翅脈. (Brachytrini [2]).
第4,5径脈 R4+5 と中脈前枝 MA は,ほぼ最後まで平行に走る.
第3径挟脈 IR3 は先の方で分枝する.(a,c)
第3径脈 R3 は,ミルンヤンマで縁紋内縁より内側で後方に曲がる(b).
第3径脈 R3 は,アオヤンマで縁紋内縁付近で後方に曲がる(d).
アオヤンマ属は縁紋 pt が非常に細長い.
V.Aeshnini (Fraser (1957) による)
Aeshnini は,翅脈に関しては比較的まとまった一群で,翅脈だけでの区別が難しい.
Fraser (1957) も,トビイロヤンマ属とギンヤンマ属など(他は外国産または飛来種の属)を翅脈によって分けた後は,生殖器によって分類を進めている.
Fraser (1957) が翅脈として取り上げたのは,第3径脈 R3 の曲がり方,肛三角室 at の有無,肛角部の形状である.浜田・井上(1985)は,これらに径分脈 Rs が弧脈 Arc のどの位置から出ているかといったことなどを加えて検索表をつくっている.
図4.カトリヤンマ♂とヤブヤンマ♂の後翅翅脈 (Aeshnini [1]).
中脈前枝 MA は,後方に曲がるあたりで第4,5径脈 R4+5 から離れるように膨らむ(a,e1).
ヤブヤンマで
は,中脈前枝 MA が第4,5径脈に合流するような横脈の発達が見られる(e2).
第3径挟脈 IR3 は先の方で分枝する.(b,f).
第3径脈 R3 は,縁紋内縁より内側で後方に曲がる(c)か,または縁紋内縁付近で曲がる(g).
ヤブヤンマは,前翅の縁紋の長さが後翅の縁紋の長さより長い.
図5.Aeshnini の前翅第1次結節前横脈 Anp 比較.
写真は角度が一定でないのでカトリヤンマのものもある程度傾いているが,
比較すると,亜前縁脈と一番直角に近い角度で交わっていることがわかる.
先に第4,5径脈 R4+5 と中脈前枝 MA との関係性が連続的に変化していると述べたが,第3径脈 R3 の曲がり方も,
Aeshnini 内で連続的に変化をしている.すなわち,カトリヤンマ属においては,第3径脈 R3 は縁紋内縁より内側で後方に緩やかに曲がっている
(5c)が,ヤブヤンマ属やルリボシヤンマ属(ただしマダラヤンマ
Aeshna soneharai を除く)においては,これがちょうど縁紋内縁くらいの位置で曲がっており
(6g)(7c),マダラヤンマやトビイロヤンマ属では,これが縁紋外縁近くで曲がるようになって
(8g)(9e),その曲がり方も急角度になってくる.ギンヤンマ属に至っては,縁紋外縁近くで,第3径脈 R3 は,いったん縁紋側に膨らんでから後方に角度を変えるように曲がる
(10i).つまり曲がる位置が次第に外側に,そして急角度になっていくような連続的変化が見られる.
この連続的変化は翅脈の進化を考える際に重要な形質となりそうだが,検索キーとしては,連続的すぎて分けにくい形質でもある.そこで,肛三角室の有無,肛角部の有無,径分脈の出る位置,小膜部 mb の有無などを加えて,検索表を作成する必要が出てくることになる.余談になるが,ルリボシヤンマ属の中でマダラヤンマだけは,翅脈で見るとむしろトビイロヤンマ
Anaciaeschna jaspidea に近い(トビイロヤンマの標本は現在欠落).幼虫も実は外観がそっくりである.「ルリボシヤンマ属」的な形質は,径分脈の出る位置くらいのものであろう.
図6.ルリボシヤンマ♂とマダラヤンマ♂の後翅翅脈 (Aeshnini [2]).
中脈前枝 MA は,後方に曲がるあたりで第4,5径脈 R4+5 から離れるように膨らむ(a,e).
第3径挟脈 IR3 は先の方で分枝する.(b,f).
第3径脈 R3 は,縁紋内縁付近で後方に曲がる(c)か,または縁紋外縁近くで曲がる(g).
径分脈 Rs は弧脈 Arc の中央より少し前方で分枝する.