オオキトンボは絶滅危惧IB類に指定されています.しかし兵庫県ではまだ各地でその姿を見ることができます.これはため池の多さと,本種の移動力によるところが大きいと思われます.産卵は,写真のように,水落がなされ,岸から浅い部分がなだらかに続くようなため池で行われます.連結打泥産卵が中心ですが,水が多いときは打水産卵もします.
連結打泥産卵中のカップル.2014.10.19.
成虫
初夏に羽化し,夏には一時的に姿を消しますが,どこで生活しているかよく分かりません.夏の時期の採集例が少なく,また集団でいるといった報告もありませんので,かなり分散しているのではないかと思います.草原を好むようですのでそういったところに分散しているのかも知れません.また山地で見つかったという例がありますので,樹冠部で生活している可能性もあります.
交尾.2014.10.19.
幼虫
オオキトンボの幼虫は,背棘が第9腹節にまでありますので,キトンボを除く他のアカネ属と区別ができます.側棘は太く,まっすぐ後方を向き,第8腹節のそれは,第9腹節の後端にはとどきません.腹部背面の模様も独特で,慣れてくると,採集した瞬間にキトンボかオオキトンボだと区別がつきます.キトンボとはよく似ていて,側刺毛の数などを使って区別します.しかし時に確実に区別ができない場合があります.卵で越冬し,翌春孵化しますが,他のアカネ属に比べて遅い目に幼虫が出現するようです.
スタジオ写真.2011.6.14.