■見分けのチェックポイント
羽化殻全長22mm前後.通常,側棘は第8,9腹節,背棘は第2−9腹節にありいずれも明瞭で,側刺毛は6本程度,腮刺毛は8−10本程度である.背棘は,後ろにいくほどに先が後方に曲がるように伸びる.第9腹節の側棘はその先端部が肛側片の先端にはとどかない長さである.♂の肛上片上には1対の丸い突起がある(矢印).
■分布と類似種
本州,四国,九州に分布する.オオトラフトンボは,第9腹節の側棘が長く,その先端部が肛側片の先端部に達するほどになる.エゾトンボ属の各種とは,第2腹節に背棘があること,第5腹節以降の側棘が後方に曲がること,下唇側片先端の切れ込みが深いこと,などの形態で区別できる.
■生態
水生植物が繁茂する池沼の,植物の根際や植物性沈積物などをすくうとよく採れる.曽根原(1972)によると,飼育下では,孵化から羽化まで10.5〜11.0ヶ月というから,一年一化が可能であることがわかる.しかし兵庫県南部で,成虫の飛翔期に若齢幼虫が採れるので,自然条件下では二年一化している個体もいるものと推察される.