トップ写真の解説
ゴールデンウィークに入った初日,オスと交尾態になったメスが次から次へと池を訪れて,産卵していました.ご存じの通り,トラフトンボは,写真のような卵塊を作って,1回だけ打水してその卵塊を沈水植物に絡ませるような産卵を行います.池で交尾を解かれた後,やや高いところで卵塊形成を行っているメスです.
卵塊を作りつつあるメス.2016.4.30.
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成虫
トラフトンボは,兵庫県では4月の中下旬に羽化します.羽化した成虫は近くの林縁の草地などに移動し,摂食飛翔などをしながら,未熟な期間を過ごします.このとき,風がよけられ,日当たりのよいところに集まっているようです.4月の終わりになるともう成熟し,池で繁殖活動を行います.池の周辺で交尾が行われ,交尾態で放卵場所を探し回って,ここという場所が見つかったらオスはメスを放します.メスは一度だけ打水して,池周辺に止まって卵塊を形成します.卵塊が形成されると,メスは水面をなでるようにして放卵します.卵は水を含んでふくらみ紐状になって,沈積物にからみつきます.6月に入るころには成虫が見られなくなります.
オスのパトロール飛翔.2012.5.4.

幼虫
トラフトンボの幼虫は脚が長く,エゾトンボ科の幼虫の特徴を備えています.4月頃になって,水温が上がってくると,岸近くの植物沈積物の中で盛んに活動しています.成虫の飛ぶときに幼虫が採れないので,おそらく一年一化だと思われます.
フィールド写真:羽化間近な終齢幼虫.2008.4.20.