■見分けのチェックポイント
羽化殻全長24mm前後.典型的な個体では,側棘は第8,9腹節,背棘は第3−9腹節にあり,側刺毛は8,9本,腮刺毛は9-13本前後である.背棘はエゾトンボ属他種に比べて細く鋭い.下唇側片上には淡褐色の細かい斑点が数多く存在する.尾毛先端部が肛上片先端部とほぼ同じ位置にくる.触角は7節からなる.肢の腿節の褐色環状斑は明瞭ではない.
■分布と類似種
北海道,本州(神奈川県を除く),四国(香川県を除く),九州(大分県と熊本県のみ)に分布する.北海道には,本種と非常によく似た種であるモリトンボ,キバネモリトンボ,タカネトンボ,コエゾトンボ,ハネビロエゾトンボすべてが分布しているので,見分けるのが非常に難しい.なお,本州(キバネモリトンボが分布する一部の地域を除く),四国,九州などでは,原則として類似種はタカネトンボとハネビロエゾトンボしかいない.
■生態
幼虫は,浅い湿地に生える植物の根元や,薄く水がたまった湿地の落ち葉の堆積物が重なっているところ,また樹林の中や湿地にある流れがよどんでいるところの底の泥をすくうと見つかる.湿地の水がなくなると,わずかにしめった泥の中に潜り込んでいる.