H063. エゾトンボ Somatochlora viridiaenea
<特ちょう>
エゾトンボはトンボ型の幼虫です.
翅芽(しが)はまっすぐ後ろにのびています.
触角(しょっかく)はやや太く長いです.体はやや固い感じです.腹部の横のとげ(
側棘:そっきょく)は第8,9節にありますが,いずれも小さいです.背中のとげ(
背棘:はいきょく)第3−9節にあります.写真2のように,
下唇(かしん)を引きのばして,
下唇側片(かしんそくへん)を見ると,その上の
側刺毛(そくしもう)の数はふつう8本で,
腮刺毛(さいしもう)の数はふつう10−12本の間です.
<似た幼虫との区別>
トラフトンボ,
タカネトンボ,エゾトンボ,
ハネビロエゾトンボは,いずれもとてもよく似ていて,区別が難しい幼虫です.この中で,
トラフトンボについては,
トラフトンボのページを見てください.
残りの2種,
タカネトンボと
ハネビロエゾトンボとの区別は,とても難しいです.写真3のように,
背棘の形で見分けるか,写真4のように,
下唇を引きのばして,
側刺毛や
腮刺毛の数で見分けるしかありません.幼虫を採った場所も参考になります.
タカネトンボは池,エゾトンボは湿地(しっち),
ハネビロエゾトンボは小さな川に,ふつう住んでいます(例外もあります).
<さがす場所のヒント>
エゾトンボは湿地(しっち)の住人です.泥(どろ)がいっぱいたまっていて,その上を浅く水が流れているような場所が好みです.しかしこのような場所をすくっても,なかなか幼虫は採れません.植物が生えていれば,その根もと近くにもぐっていることがあります.また小さな水たまりができていれば,そこに入っていたりします.湿地をていねいにすくうしか方法はありません.幼虫は一年中採れますが,
終齢幼虫は,ふつう5,6月にしか採れません.ただ最近,エゾトンボは,兵庫県では数が減っていて,ほとんど見つかりません.
写真5.産卵にやって来たメス.湿地の水の上を腹部の先でたたくようにして卵を産みつけます.