H062. タカネトンボ Somatochlora uchidai
<特ちょう>
タカネトンボはトンボ型の幼虫です.
翅芽(しが)はまっすぐ後ろにのびています.
触角(しょっかく)はやや太く長いです.体はやや固い感じです.腹部の横のとげ(
側棘:そっきょく)は第8,9節にありますが,いずれも小さいです.背中のとげ(
背棘:はいきょく)第3−9節にあります.写真2のように,
下唇(かしん)を引きのばして,
下唇側片(かしんそくへん)を見ると,その上の
側刺毛(そくしもう)の数はふつう9本で,
腮刺毛(さいしもう)の数はふつう14−16本の間です.
<似た幼虫との区別>
トラフトンボ,タカネトンボ,
エゾトンボ,
ハネビロエゾトンボは,いずれもとてもよく似ていて,区別が難しい幼虫です.この中で,
トラフトンボについては,
トラフトンボのページを見てください.
残りの2種,
エゾトンボと
ハネビロエゾトンボとの区別は,とても難しいです.写真3のように,
背棘の形で見分けるか,写真4のように,
下唇を引きのばして,
側刺毛や
腮刺毛の数で見分けるしかありません.幼虫を採った場所も参考になります.タカネトンボは池,
エゾトンボは湿地(しっち),
ハネビロエゾトンボは小さな川に,ふつう住んでいます(例外もあります).
<さがす場所のヒント>
タカネトンボは池の住人です.すずしいところにある池が好みで,高い山の上の池や,林にかこまれて,日当たりのよくない池に,よく集まります.写真5のように,池の底にたくさんの落ち葉がたまっているところでよく見つかります.幼虫は一年中採れますが,
終齢幼虫は,ふつう5,6月にしか採れません.
写真5.産卵にやって来たメス.腹の先を水につけ,水滴(すいてき)とともに卵を岸に飛ばして,産卵します.