H047. ヒメサナエ Sinogomphus flavolimbatus
<特ちょう>
ヒメサナエは小さなサナエトンボ型の幼虫です.体全体が固い感じです.写真3のように,
触角(しょっかく)は平たくだ円形をしていて,急な角度で内側を向いています.写真2のように,腹の横のとげ(
側棘:そっきょく)は第8,9節にあります.また背中には小さなとげ(
背棘:はいきょく)が第6−9節にありますが,先がとがっていない丸いふくらみになっていて,第6,7節のものはとても小さいです.
翅芽(しが)はまっすぐ後ろにのびています.
|
|
写真2.腹部の第8,9節に側棘があり,6−9節に背棘があります. |
写真3.触角は急な角度で内側を向いています. |
<よくにた幼虫との区別>
ヒメサナエは,全長が15−18mm程度のとても小さい幼虫ですので,20mmをこえる
ヒメクロサナエ,
オナガサナエ,
アオサナエとまちがえることはないでしょう.大きさがよく似ているのは全長17mm程度の
オジロサナエです.しかし写真3のように,
オジロサナエは
触角が三角形をしていますので,だ円形で内側を向いているヒメサナエと,区別できます.
<さがす場所のヒント>
ヒメサナエは川の住人ですが,あまりどこにでもいるトンボではありません.メスは,写真4のような,川の上流の小石が底にたまっているようなところで,産卵します.こういったところで幼虫が見つかることがありますが,ヒメサナエの幼虫は川を下っていく性質があって,もっと下流の方でも見つかります.そのときでも,小石の中にもぐって生活しているようで,
オナガサナエや
アオサナエなどといっしょに採れることが多いです.
写真4.産卵するメス.上流の小石がころがっているようなところで産卵します.幼虫は川を下って移動します.