兵庫県の幼虫ガイド
H035. ギンヤンマ Anax parthenope julius
ギンヤンマ終齢幼虫
写真1.ギンヤンマ終齢幼虫(しゅうれいようちゅう).全長45−50mm.2011.3.5.
<特ちょう>
 ヤンマ型をした幼虫で,つかまえると活発に動きます.色は黄緑色から茶色までいろいろなものがいます.色は少しすき通ったような感じに見えます.一番大きな特ちょうは,写真2のように,目が大きく横に広がっていることです.これはギンヤンマのなかまの特ちょうで,クロスジギンヤンマも同じように広がっています.ギンヤンマには背中のとげ(背棘:はいきょく)はありません.写真3のように,腹の横の部分にはとげ(側棘:そっきょく)があります.


ギンヤンマのはいきょく ギンヤンマのそっきょく
写真2.ギンヤンマには,背中のとげがありません. 写真3.ギンヤンマの横のとげ.腹部第7〜9節にあります.


<よく似た幼虫との区別>
 クロスジギンヤンマの幼虫は,ギンヤンマととてもよく似ています.ふつうに見ただけでは区別がつきませんが,よく使われる方法が一つだけあります.それは下唇側片(かしんそくへん)の形のちがいです.ただこれも,なれないとなかなかむずかしいので,何度もしっかり観察して,できるようになってください.写真4にあるように,クロスジギンヤンマ下唇側片の先はまるくなっていますが,ギンヤンマの下唇側片の先はやや角ばっています.

ギンヤンマのかしんそくへん クロスジギンヤンマのかしんそくへん
写真4.ギンヤンマの下唇側片.先が角ばっています. 写真5.クロスジギンヤンマ下唇側片.先がまるまっています.


<さがす場所のヒント>
 ギンヤンマはあちこちで見られる一番ふつうのヤンマです.住んでいるところもいろいろあって,池,水田,湿地(しっち),用水路,流れのゆるい川,そして学校のプールにいることもあります.ただし,写真6のように,水生植物に卵を産みますので,そういった植物がたくさん茂っているような場所でないといけません.学校のプールでは,水面に浮かんだ木の枝や葉やゴミなどに卵を産みつけているようです.幼虫の成長ははやく,卵から一年たたないうちに成虫になることもあります.幼虫は一年中とれます.羽化が近い終齢幼虫も一年中とれます.小さくても,エサさえしっかりやれば元気に成長し,羽化させることができます.飼いやすい幼虫です.ただし,秋にとれた幼虫は,次の春まで羽化しないことがあります.

ギンヤンマの産卵場所.
写真6.ギンヤンマの産卵.ギンヤンマは水生植物に卵を産みつけます.幼虫はそういった池の植物の茎につかまって生活しています.