H034. ルリボシヤンマ Aeshna juncea juncea
<特ちょう>
ヤンマ型をした幼虫です.全体的に地味な茶色の幼虫で,あしや体にはっきりとした明るい色の部分がほとんどありません.写真2のように,オオルリボシヤンマの頭の横のへりにある明るい色のスジも,ルリボシヤンマにはありません.ルリボシヤンマには背中のとげ(
背棘:はいきょく)はありません.写真3のように,腹の横の部分にはとげ(
側棘:そっきょく)があります.ただし,第6節のとげは小さくてほとんど分からないときもあります.
|
|
写真2.頭の横のへりには明るい色のスジがありません. |
写真3.ルリボシヤンマの横のとげ.第6〜9節にあります. |
<似た幼虫との区別>
オオルリボシヤンマと同じ場所で採れることがあります.
オオルリボシヤンマは,頭の横のへりの部分に明るい色のスジが出ますが,ルリボシヤンマは出ません.また腹の先についている
肛錐(こうすい)とよばれる構造物も,
オオルリボシヤンマほどながくありません(写真3).
<さがす場所のヒント>
ルリボシヤンマは,日本では北の方の寒いところにたくさん住んでいるヤンマです.ですから,兵庫県では,すずしい高い山の上にだけ住んでいます.池にも見られますが,湿地(しっち)が好きなようです.時には,わき水でできた小さな浅い水たまりに幼虫がいることがあります.高い山へ出かけることがあったら,そういう水たまりがあれば,水の中をすくってみるとよいでしょう.卵は,9月に入ってから,湿地にころがっているかれ木や,生えている植物,コケの中などに,産みつけます.それから2年以上かかって成虫になります.ですから幼虫は一年中見られます.羽化を観察したいときは,6月終わりころにとりに行くと,羽化が近い
終齢幼虫をとることができます.
写真4.ルリボシヤンマの産卵.幼虫はこういった小さな水たまりの,岸近くの泥(どろ)の中にもぐっています.