トップ写真の解説
ルリボシヤンマのメスの淡色部は,緑色をしているものが普通です.写真のような淡色部が青色のメスは兵庫県ではお目にかかったことがありません.他地域で撮られた青色メスの写真を見てみると,胸部の淡色部が緑がかった色彩をしています.この写真のように,本当に淡青色一色というのはかなり珍しいのではないかと思います.ただ,翅の感じからはまだ若い個体のようで,今後老熟していくと色が変わっていく可能性はあります.いくら近づいてもまったく逃げようとしなかったメスでした.
青色型メスの産卵.2009.9.19., 岐阜県.
成虫
7月に入ってから羽化し,秋の中頃まで飛んでいます.オスは湿地の中の水たまりの上を,ホバリングを交えて飛び,メスを待っているようです.産卵は単独で朽木などの植物組織内に行われます.
オスのなわばり飛翔.2011.9.25.
幼虫
最初の年は卵で越冬し,その後幼虫でおそらく1〜2回越冬します.幼虫を飼育していると,水面から顔を出して,上空を見るような仕草をすることがあります.これは,おそらく水面に落ちてくる小昆虫などを監視しているのでしょう.水生昆虫だけでなく落ちてきた陸生昆虫も補食しているのかも知れません.ルリボシヤンマの幼虫は,湿地ではないところにある小さな水たまりなどで採れることがあります.関西ではもともと高層湿原などを好むトンボですから,小規模な水たまりに対する選好性があるのかもしれません.写真の幼虫も,山裾の畳1畳くらいの広さの水たまりですくったものです.オオルリボシヤンマに似ていますが,前下唇の長さが明らかに短いので,区別できます.
スタジオ写真.2011.5.14.