トップ写真の解説
10月の中旬になろうかという時期,ギンヤンマたちはまだまだ元気です.十分に老熟したメスの腹部第2節には茶色のシミがあり,翅も濃い褐色にけぶっています.ガガブタの葉から葉へと飛び回り,次々に産卵を続けていきました.ギンヤンマの産卵ペアは結構敏感で近づきにくいのですが,老熟してくると,鈍感になるのか,あまり人を恐れないから撮影は楽になります.
産卵場所を移動るために飛び立ったペア.2010.10.10.
成虫
兵庫県では,成虫は春4月に出現し,10月頃まで,ほぼトンボシーズン全体でそのすがたを見ることができます.オスは,真夏の日中でも日当たりのよい池や水田の上をパトロールしています.夏の夕方には多数が群飛し摂食を行いますが,そういった場所は最近はほとんどなくなってしまいました.こういった黄昏飛翔ではメスもよく見かけますが,日中メスがどこで何をしているか意外とわかりません.日中にメスを見るのは産卵時がほとんどです.
オスのパトロール飛翔.2010.8.1.
幼虫
幼虫はかなり急速に成長します.新しく造成したビオトープからその年の間に羽化する個体があることから,一年二化する個体がいる可能性があります.また,様々のサイズの幼虫が周年にわたって採れることから,特に厳密に生活史がコントロールされている気配はありません.ギンヤンマ属の幼虫は,複眼が大きく両側に広がっているのが特徴です.ギンヤンマ属のそれぞれの種の区別は意外と難しいのですが,兵庫県に関しては,あとクロスジギンヤンマがいるだけです.下唇の動鉤外角が円いのがクロスジギンヤンマで,ギンヤンマは直角に近い形状をしていることで区別できます.
スタジオ写真.2011.3.5.