トップ写真の解説
この池は毎年春に1回はのぞく池です.5mX10m程度の小さな池ですが,沈水植物が豊富に茂っています.以前にはこの付近にはこういった小池がたくさんあって,この池を含めて,コバネアオイトトンボなどもたくさん飛んでいました.この一帯で住宅地の造成が進んでいますので,今はこの池が最後の砦という感じですが,もう風前の灯火です.
春の朝,クロスジギンヤンマを求めて池をのぞきますと,案の定1頭のメスが産卵をしていました.池の反対側でばかり産卵していてなかなか近づけなかったのですが,やっとカメラが届く距離に入りました.日陰が好きなのでしょうか,薄暗いところばかりで産卵していました.色も緑色が濃く,腹部にかけて黄色になっていくという,他のヤンマにはない独特の色彩です.
春の朝,クロスジギンヤンマを求めて池をのぞきますと,案の定1頭のメスが産卵をしていました.池の反対側でばかり産卵していてなかなか近づけなかったのですが,やっとカメラが届く距離に入りました.日陰が好きなのでしょうか,薄暗いところばかりで産卵していました.色も緑色が濃く,腹部にかけて黄色になっていくという,他のヤンマにはない独特の色彩です.
単独植物組織内産卵.2018.5.15.
成虫
兵庫県では,成虫は春4月に出現し,平地では6月ころまで,山地では7月になっても見られます.オスは,樹木が隣接したやや暗い感じの池で,抽水植物の間を丹念に確かめるように飛んで,メスを探します.神戸では,1990年代では,だいたい4月20日前後が羽化時期でしたが,最近はもう少し早くなっているような感じがします.
オスのパトロール飛翔.2021.5.22.
幼虫
クロスジギンヤンマの幼虫は通常1年で成長して,晩秋にはほぼすべてが終齢幼虫になっています.そして翌春かなり早い時期に羽化します.かつてはいやというほど採れた幼虫でした.しかし,最近は生息する池が減っているようです.人工的につくったトンボ池ビオトープにはよく入ってきます.ギンヤンマとは,下唇の動鉤の外角の形状で区別し,本種はそこが円くなっています.幼虫にはおそらく羽化前年の夏に休眠などをして成長をそろえるしくみが存在していると思います.冬を越している幼虫はほぼ終齢ばかりです.
スタジオ写真.2011.3.13.