今日はギンヤンマが格別多く,あちこちで産卵を見せてくれました.そしてアクシデントを観察することもできました.まずはアクシデントから紹介していきましょう.
▲写真1:4頭がもつれ合って水面に落ちたギンヤンマ.
事を発見したのは私ではなく,別の調査員M氏でした.どうやら連結で飛ぶペアに2頭の♂が同時に体当たりして水に落ちたようです.写真1の一番上のを見るとギンヤンマは4頭おり,メスが1頭オスが3頭もつれ合っているようです.
しばらくすると,1頭がこの中から逃げ出し,残りが3頭になりました.残りの3頭の状態を見ると,体当たりしたオスがタンデムになっているオスの上に乗りかかっていて,そのオスは水の中に沈んでいます.そしてそのオスにメスが連結していて,かわいそうに頭を下に向けて逆立ち状態になっています.
3枚目の写真ではメスが逃げ出しています.残りはオス2頭になりましたが,体当たりした方のオスが,残ったオスに対してタンデムを形成しようとしています.
▲写真2:残されたオスはダメージが大きいのか水から脱出できずもがいている.
体当たりしたオスはやがて飛び去りました.残されたオスは,水面から飛び立とうとしてもがいていますが,なかなか叶いません.老熟して翅が水を十分はじかないのかもしれません.
しばらくすると水から抜け出し,ふらふらしながら飛び去りました.ギンヤンマも連結していればメスを独占できるというわけでもなく,オスたちのメスを獲得しようとするエネルギーは凄まじいものですね.
さて,次は普通の産卵です.数ペアが産卵していました.いずれも老熟が進んでいて,もうギンヤンマの季節も終わりを感じさせます.ただ,今は10月10日,こんなにギンヤンマがまだ元気に飛んでいるというのは,20年くらい前では考えられなかったでしょう.温暖化のなせる業のような気がしてなりません.
▲写真3:ガガブタの葉で産卵するギンヤンマのペア.
ギンヤンマの連結産卵は,この写真3の一番上のようなショットが典型的でしょうね.が,私はなかなかチャンスがありませんでした.やっと気に入ったのが撮れたという感じです.このペアは少しずつ移動しながら産卵するので,移動の瞬間を撮ってやろうと頑張ってみました.
▲写真4:抽水植物に産卵するギンヤンマのペア.
この池は浮葉植物が多くないので,写真4のような形の産卵が多いです.このペアは翅もぼろぼろで,身体もシミだらけ.もう後何回産卵ができるか,という感じですね.
さて,兵庫トンボ研究会の調査会が終わってから,加東市の方にカトリヤンマの産卵を見に行きました.ほとんど期待せずに行きましたが,なんと,夕方5時過ぎまで産卵活動を行っていました.
▲上:カトリヤンマの産卵,中:カトリヤンマの静止,下:オオアオイトトンボ.
ここにはオオアオイトトンボもたくさんペアで飛んでいて,下に池がないような場所で産卵もしていました.まあ,カトリヤンマを見に来て正解でした.