羽化殻全長20mm前後．終齢幼虫では翅芽がわずかに左右に開いていて他種との区別点になるが，羽化殻では翅芽はほとんどの種で開いているので注意を要する．側棘は腹部第7節から第9節にまで存在し先端はあまり尖らないものが多い．背棘はない．下唇側片の内葉片先端は尖らない．下唇前基節は逆台形をしている．触角第3節はへら状をしている．

　本州，四国，九州に分布し，隠岐，対馬，五島列島にも産する．西表島での採集記録があるが，これは人為的移入か何かではないかと思われる．
　ダビドサナエ属各種は同定が難しい．モイワサナエはダビドサナエより触角の最大幅がやや広く形状も異なり，新潟県，長野県，群馬県，栃木県，茨城県より北の各道県に分布する．北海道にはモイワサナエしか分布しない．ヒラサナエの後頭角には，ダビドサナエよりはるかに大きな突起があって判別できる．ヒロシマサナエはモイワサナエよりさらに触角の最大幅が広く，どちらかといえばだ円形に近くなっており，しかも広島，岡山，鳥取，島根の各県の限られた場所にしか生息していない．クロサナエとは広く同所的に生息している．オスの場合は，肛上片上の突起物がクロサナエの方がダビドサナエより大きく後方に突出していることで判別できる．メスは判別が困難で，腹部第9節の側棘が腹部第10節の半分を超えない程度の長さであればダビドサナエといえる(槐ら，1994)．しかし上記すべての相違は微妙で，一般に同定は困難であるといえるだろう．
　なお，ヒメクロサナエとも間違えやすいので注意を要する．詳細はヒメクロサナエのページを参照してほしい．

　河川の上流から中流域にかけて，小さな淵や岸近くに堆積している砂の中に潜って生活している．幼虫期間は2年であると思われる．