■見分けのチェックポイント
羽化殻全長21mm前後.終齢幼虫では翅芽がわずかに左右に開いていて他種との区別点になるが,羽化殻では翅芽はほとんどの種で開いているので注意を要する.側棘は腹部第7節から第9節にまで存在し先端は尖っている.背棘はない.下唇側片の内葉片先端は尖らない.下唇前基節は逆台形をしている.触角第3節はへら状をしている.
■分布と類似種
本州,四国,九州に分布する.ダビドサナエ属各種は同定が難しい.モイワサナエはクロサナエより触角の最大幅がやや広く形状も異なり,新潟県,長野県,群馬県,栃木県,茨城県より北の各道県に分布する.北海道にはモイワサナエしか分布しない.ヒラサナエの後頭角には,クロサナエよりはるかに大きな突起があって判別できる.ヒロシマサナエはモイワサナエよりさらに触角の最大幅が広く,どちらかといえばだ円形に近くなっており,しかも広島,岡山,鳥取,島根各県の限られた場所にしか生息していない.ダビドサナエとは広く同所的に生息している.オスの場合は,肛上片上の突起物がクロサナエの方がダビドサナエより大きく後方に突出していることで判別できる.メスは判別が困難で,腹部第9節の鋭い側棘が腹部第10節の半分を超える程度の長さであればクロサナエといえる(槐ら,1994).しかし上記すべての相違は微妙で,一般に同定は困難であるといえるだろう.
なお,ヒメクロサナエとも間違えやすいので注意を要する.詳細はヒメクロサナエのページを参照してほしい.
なお,ヒメクロサナエとも間違えやすいので注意を要する.詳細はヒメクロサナエのページを参照してほしい.
■生態
山地の上流,源流域に生息する.流れは細くても比較的水量の多い場所で,岸近くの岩の間や小さな淵にたまった砂にもぐり込んで生活している.幼虫期間は2年だと思われる.成虫の姿を確認しづらい種で,オスもメスも,普段は樹上生活をしているようである.