トップ写真の解説
いわゆる普通種は,どうしても観察が後回しになりやすいものです.私にとってのダビドサナエもこの類いで,この時期,クロサナエ,ヒメクロサナエ,ヒラサナエ,コサナエ,フタスジサナエ,オグマサナエ,タベサナエ,と,たくさんのサナエトンボの観察が重なってしまい,条件のよい日にはどうしてもそちらへ行ってしまうことになります.2018年,意を決して,ダビドサナエの観察に時間を割きました.2日がかりでやっと1頭のメスの産卵をカメラに収めることができました.普通種ほど,いざ狙うとなると,気力の上で,なかなか難しいものがあります.
停止飛翔産卵.2018.5.17.
成虫
4月下旬には羽化しているようですが,水温の低い山間部では少し遅くなるようです.5月ころから流れの石に止まったりして繁殖活動を行います.6月中にはその姿がだいたい見られなくなります.メスは流畔の植物の陰などで空中から卵を落とすようにして産卵します.
葉上で休むオス.2009.6.6.
幼虫
ダビドサナエの幼虫は,流れの際の砂泥をすくうとよく採れます.クロサナエと似ています.オスは肛上片上の突起物の形状で簡単に区別できますが,メスの区別が非常に難しいです.羽化まで2年かかるようで,成虫の出現期にも小さなものが網にかかります.
スタジオ写真.2016.4.10.