続 トンボ歳時記
No.586. ダビドサナエの産卵観察.2018.5.17.

今日は,昨日ロケハンした川の中流域のダビドサナエの産卵観察に出かけることにしました.今日も朝のうちは所用があって,現地に着いたのは11:30ころでした.天気は曇りでときどき日が差すという,昨日と同じような感じでした.着いたときは日差しもあり,オスのダビドサナエが,昨日に比べると,結構多く出てきていました.

▲今日は川面に出てきているオスの個体数は,昨日よりは多かった.

オスはあちこちに止まっていますが,私の観察ではオスのねらいは正確.メスが産卵に来そうな所に止まっています.下の写真のように,川岸が少し崩れ,水際に平坦な部分ができているような小さな場所です.私はここに草やコケが生えていると完璧と考えています.

▲こういう所にオスはよく止まる.おそらくメスが産卵に入りやすい立体構造を持った微小環境なのだろう.

さて,待てども待てども,メスはやって来ません.川の中流域というのは,どこの微小環境も同じように見えて,ここというポイントを絞るのが難しいのです.それでも,昨日最初に目をつけた場所が一番可能性があると思っていました.

▲上のような環境は川の岸には随所にあって,的を絞りにくい.

そして時刻は14:00を過ぎました.昨日は14:30ころに着いたので,その頃に今日はやめようと考えていました.天候も昨日と似ているし,これ以上待っても昨日の繰り返しのようになると予想して,後日晴れの日に,早朝から来ようと心を決めていました.そのとき,暖かい空気に入れ替わったみたいに急にぽかぽかした感じになり,空も急に明るくなりました.すると,オスが2頭,ぱたぱたと樹上から降りてきて,流れの石の上に止まりました.

▲14時ころ,暖かい空気に包まれたかと思うと,オスが川面に降りてきた.

クロサナエの観察でもよく感じていたのですが,オスが降りてくる前後にメスが産卵することが多いのです,案の定,すぐ後にメスが産卵しているのを見つけました.ポイントは昨日の一番候補,下の写真の矢印部分,まさにそのポイントでした.やはり,裸の地面ではなくて,草が生えている方を好んでいるようです.

▲昨日目星をつけていた産卵しやすそうなポイント.ここに産卵に入ってきた.写真は昨日撮影したもの.

▲草の生えた上で産卵をしている.腹部先端から卵がまさに落ちようとしている.

▲しばらくほとんど位置を変えずにホバリングしながら産卵を続けた.いずれも落下する卵が写っている.

▲その後,いろいろと位置を変えながら産卵を続けた.3枚上の写真の石は,環境写真の白矢印の横の石.

いつもよくあることなのですが,この産卵,もう帰ろうという考えが固まったときだったのです.帰ろうと思うとねらいのものがやってくる.本当に不思議です.ということで,今日は終わりにしました.

最初,ダビドサナエは源流域で狙おうと考えていたのですが,「権兵衛」さんのアドバイスで中流域に変更して正解でした.感謝!.また一つ未記録が埋まりました.このトンボ歳時記・観察記でも,10年間で,ダビドサナエの産卵を特集したのは,これが初めてです.