羽化殻全長35mm前後．腹部第5節の幅より第6節の幅の方が明らかに狭い．腹部第9節の最大幅に対する正中線の長さが他のアジアサナエ属より長い．触角第3節はやや平たい棒状をしている．前肢・中肢脛節先端の突起は長く明瞭である．松木・斉藤(1996)は千葉県産の羽化殻を用いて詳細な観察を行っている．それによると，背棘は腹部第8，9節または第9節だけにあり稀に背棘を欠く個体もあること，側棘は腹部第6節から第9節または第7節から第9節にあること，が記載されている．またメスにおいては，原産卵弁が長く，第8腹節側棘より長いか等長であるとしている．

　群馬県，山梨県両県を除く，新潟県，栃木県，茨城県以南の本州，四国，九州，そして種子島に分布する．ヤマサナエと分布域が重なっており，その区別が難しい．慣れてくれば，第9腹節の幅と長さの比で，多くの場合見分けられるようになる．メスの場合は，キイロサナエの原産卵弁が長いこと，そしてそれが腹部第8節の側棘より長いか等長であることで区別できる(松木・斉藤，1996)．側棘や背棘配置を用いる場合は，その変異に注意する必要がある．

　河川中流域を中心に生息するが，用水路のような素掘りの水路にも生息する．かなり細かい砂や泥の堆積している部分に潜り込んで生活している．ただ水が停滞している部分には少なく多少なりとも流れがあるところに多く見つかる．羽化は5月下旬から6月上旬にかけて行われ，石の上や水際の地面に羽化殻が残されている．