■見分けのチェックポイント
羽化全長36mm前後で終齢幼虫は32mm前後.触角は7節,時に6節のものもあり,短く糸状.下唇側片の先端部は深く切れこみ歯列をなす.側刺毛は4本,腮刺毛は10本前後.下唇中片前縁中央の一対の突起は,外側がやや尖っている.翅芽はハの字に開く.側棘・背棘ともにない.肛上片・肛側片ともに先がするどく尖り,ほぼ同長.尾毛は短い.
■分布と類似種
沖縄島北部に分布する.別亜種のミナミヤンマ C. brunneus costalis は徳之島以北,九州南部および四国南部にまで分布し,もう一つの亜種アサトカラスヤンマ C. brunneus keramensis は渡嘉敷島と阿嘉島に分布している.いずれの幼虫もほとんど区別がつかないほど類似している.したがって,分布域で判別するしかないであろう.同所的に分布しているオキナワミナミヤンマとは,下唇中片前縁中央の一対の突起の外側が尖っているのがカラスヤンマ,円いのがオキナワミナミヤンマとして判別できる.また生きた幼虫の腹面は,カラスヤンマでは頭部と腹部先端を除いて黄褐色をしているのに対し,オキナワミナミヤンマでは一般に全面黒褐色である.
■生態
森林の中を流れる河川に生息している.流れの勾配がやや緩く水がゆったりと流れているところに小さな粒の礫や砂が堆積した部分があれば,そういった中にもぐっている.オキナワミナミヤンマといっしょに採集される.別亜種のミナミヤンマが大きな石の下側の砂礫が浅く堆積しているところに隠れているのとは,少し異なっている.もっとも,そういったところをまだ調べたことがないので,ミナミヤンマと同様の場所にも生活している可能性はある.