デジタルトンボ図鑑−羽化殻編
オニヤンマ上科/ミナミヤンマ科 検索表
 ミナミヤンマ科は,少し前までオニヤンマ科の中のミナミヤンマ亜科として位置づけられていたが,その後ミナミヤンマ科に昇格された.日本産のミナミヤンマ科はミナミヤンマ属1属からなり,ミナミヤンマ,オキナワミナミヤンマ,イリオモテミナミヤンマの3種が含まれる.さらに種ミナミヤンマは,徳之島から四国の範囲に分布するミナミヤンマ,沖縄本島に分布するカラスヤンマ,渡嘉敷島・阿嘉島に分布するアサトカラスヤンマの3亜種に分けられている.いずれの幼虫もほとんど見分けがつかず,わずかに違いのあるオキナワミナミヤンマを除いて,形態だけから同定することは困難である.したがって,分布域から判断するしかないであろう.各種・亜種はかなり離れた島々に分布しているので,偶然の飛来というのはまずないと考えてよい.
 オニヤンマ科の幼虫がミナミヤンマ科の幼虫と似ているので(右図),次の2点で区別するとよい.まず側刺毛の数が異なり,通常,ミナミヤンマ科は4本,オニヤンマ科は6本である.また,オニヤンマ科の幼虫には第8,9腹節に小さな側棘が認められるが,ミナミヤンマ科にはそれが認められない.一度実物を見たら,外観だけですぐに判別できるようになる.
 細長い体形はヤンマ科に似ているものの,ミナミヤンマ科は下唇がスプーン状で顔の下半分をマスクのように覆っており,板状の下唇を持つヤンマ科とは明らかに異なる.さらに,ミナミヤンマ科は翅芽がハの字に広がっている.
検索キー01
01.沖縄本島に分布する.・・・02
− 徳之島から四国の範囲に分布する.・・・ミナミヤンマ属−ミナミヤンマ
− 渡嘉敷島・阿嘉島に分布する.・・・ミナミヤンマ属−アサトカラスヤンマ
− 西表島に分布する.・・・ミナミヤンマ属−イリオモテミナミヤンマ
検索キー02
02.下唇中片先端部の1対の突起先端が尖っている.・・・ミナミヤンマ属−カラスヤンマ
− 下唇中片先端部の1対の突起先端が円い.・・・ミナミヤンマ属−オキナワミナミヤンマ
  a.カラスヤンマ, b.オキナワミナミヤンマ.


幼虫の全形

オニヤンマ  ミナミヤンマ