トップ写真の解説
オナガサナエは夏のサナエトンボです.産卵はそんな夏の朝早くから行われます.ようやくクマゼミが鳴き出したころ,メスが次々と産卵にやってきました.このメスは5:57に産卵に入ってきました.まだ顔面や翅の前縁部などに夜露の名残と思われる水滴がついています.
産卵中のメス.2018.8.1.
成虫
兵庫県下では5月下旬ころから羽化が始まります.羽化は夜間に行われることが多く,朝早く生息地を訪れても羽化殻が残っているだけということがふつうです.明るいときに羽化個体を見ることはあまりありません.未熟な間は川を離れ近くの山に移動するといわれています.成熟すると川に戻ってきて,平瀬部分の石の上などに止まってメスを待ちます.産卵はほぼ一日中みられますが,やはり10時くらいまでが多いように感じます.流れの上に停止飛翔して,オレンジ色の卵の塊をぽたぽたと落とします.観察するためには,ツルヨシが適度に茂り,まわりから見えないようなところがポイントになります.こういった産卵ポイントを見つけると観察は容易です.
オスの腹部挙上姿勢.2011.8.7.
幼虫
オナガサナエの幼虫は,レキ底の川の瀬の部分でよく採集されます.アオサナエに比べるとやや黄色っぽかったり黒っぽかったりしていて,触角の形状や側棘の数が異なるので区別できます.幼虫期間は少なくとも2年です.
スタジオ写真.2009.5.4.