H101. ベッコウトンボ Libellula angelina
<特ちょう>
ベッコウトンボはトンボ型の幼虫です.体の表面に泥(どろ)がたくさんついていることが多いです.
翅芽(しが)は左右に開かず,まっすぐ後ろにのびています.触角(しょっかく)
触角(しょっかく)は糸のように細くなっています.腹部の横のとげ(
側棘:そっきょく)は第8,9節にあります.背中のとげ(
背棘:はいきょく)は,第3−9節にあります.
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写真2.第8,9節に側棘が,第3−9節に背棘があります. |
写真3.ベッコウトンボとヨツボシトンボ背中のとげの位置のちがい. ベッコウトンボには腹部の第9節にも背中のとげがあります. |
<よく似た幼虫との区別>
パッと見た感じでは,
オオシオカラトンボ,
シオヤトンボ,
シオカラトンボと,とてもよく似ています.まず
シオカラトンボには背中のとげがありませんので,区別できます.
オオシオカラトンボや
シオヤトンボとは,背中のとげの位置のちがいで区別します.ベッコウトンボには腹部の第8,9節に背中のとげがありますが,
オオシオカラトンボや
シオヤトンボには,第8,9節にとげはありません.
また
ヨツボシトンボともとてもよく似ています.こちらも,背中のとげの位置で区別します.写真3のように,
ヨツボシトンボには,腹部の第9節にとげがありませんが,ベッコウトンボにはあります.ただし,ベッコウトンボは,兵庫県では絶滅(ぜつめつ)した可能性が高く,見つかることはまずないでしょう.なお,ベッコウトンボは,1994年以降「種の保存法」という法律で,採集が禁止されています.知らずに採ってしまった場合は,逃がす(にがす)ようにしてください.知った上で採ると,罪に問われます.
<さがす場所のヒント>
ベッコウトンボは池の住人です.とくに,水面から高くつきでた背の高い植物がたくさん生えている,水のきれいな池を好みます.成虫は春にだけ現れます.
終齢幼虫は,秋から次の年の冬の終わりくらいの間に採れます.幼虫は,池の底にたくさん積もった植物のかれた茎(くき)や葉の中にもぐりこんで生活しています.
写真6.むかし,ベッコウトンボが生活していた場所.背の高い植物がたくさん生えています.