兵庫県の幼虫ガイド
H101. ベッコウトンボ Libellula angelina
ベッコウトンボ終齢幼虫
写真1.ベッコウトンボ終齢幼虫(しゅうれいようちゅう).全長18mm前後.1992.10.12.
<特ちょう>
 ベッコウトンボはトンボ型の幼虫です.体の表面に泥(どろ)がたくさんついていることが多いです.翅芽(しが)は左右に開かず,まっすぐ後ろにのびています.触角(しょっかく)触角(しょっかく)は糸のように細くなっています.腹部の横のとげ(側棘:そっきょく)は第8,9節にあります.背中のとげ(背棘:はいきょく)は,第3−9節にあります.

ベッコウトンボのそっきょくとはいきょく ベッコウトンボとベッコウトンボのちがい
写真2.第8,9節に側棘が,第3−9節に背棘があります.
 
写真3.ベッコウトンボとヨツボシトンボ背中のとげの位置のちがい.
ベッコウトンボには腹部の第9節にも背中のとげがあります.


<よく似た幼虫との区別>
 パッと見た感じでは,オオシオカラトンボシオヤトンボシオカラトンボと,とてもよく似ています.まずシオカラトンボには背中のとげがありませんので,区別できます.オオシオカラトンボシオヤトンボとは,背中のとげの位置のちがいで区別します.ベッコウトンボには腹部の第8,9節に背中のとげがありますが,オオシオカラトンボシオヤトンボには,第8,9節にとげはありません.
 またヨツボシトンボともとてもよく似ています.こちらも,背中のとげの位置で区別します.写真3のように,ヨツボシトンボには,腹部の第9節にとげがありませんが,ベッコウトンボにはあります.ただし,ベッコウトンボは,兵庫県では絶滅(ぜつめつ)した可能性が高く,見つかることはまずないでしょう.なお,ベッコウトンボは,1994年以降「種の保存法」という法律で,採集が禁止されています.知らずに採ってしまった場合は,逃がす(にがす)ようにしてください.知った上で採ると,罪に問われます.


<さがす場所のヒント>
 ベッコウトンボは池の住人です.とくに,水面から高くつきでた背の高い植物がたくさん生えている,水のきれいな池を好みます.成虫は春にだけ現れます.終齢幼虫は,秋から次の年の冬の終わりくらいの間に採れます.幼虫は,池の底にたくさん積もった植物のかれた茎(くき)や葉の中にもぐりこんで生活しています.

ベッコウトンボの産卵場所.
写真6.むかし,ベッコウトンボが生活していた場所.背の高い植物がたくさん生えています.