兵庫県の幼虫ガイド
H100. ヨツボシトンボ Libellula quadrimaculata asahinai
ヨツボシトンボ終齢幼虫
写真1.ヨツボシトンボ終齢幼虫(しゅうれいようちゅう).全長20mm前後.2009.5.2.
<特ちょう>
 ヨツボシトンボはトンボ型の幼虫です.体の表面に泥(どろ)がたくさんついていることが多いです.翅芽(しが)は左右に開かず,まっすぐ後ろにのびています.触角(しょっかく)は糸のように細くなっています.腹部の横のとげ(側棘:そっきょく)は第8,9節にあります.背中のとげ(背棘:はいきょく)は,第3−8節にあります.

ヨツボシトンボのそっきょくとはいきょく ヨツボシトンボとベッコウトンボのちがい
写真2.第8,9節に側棘が,第3−8節に背棘があります.
 
写真3.ヨツボシトンボとベッコウトンボ背中のとげの位置のちがい.
ベッコウトンボには腹部の第9節にも背中のとげがあります.


<よく似た幼虫との区別>
 パッと見た感じでは,オオシオカラトンボシオヤトンボシオカラトンボと,とてもよく似ています.まずシオカラトンボには背中のとげがありませんので,区別できます.オオシオカラトンボシオヤトンボとは,背中のとげの位置のちがいで区別します.ヨツボシトンボには腹部の第8節に背中のとげがありますが,オオシオカラトンボシオヤトンボには,第8節にとげはありません.
 またベッコウトンボともとてもよく似ています.こちらも,背中のとげの位置で区別します.写真3のように,ベッコウトンボには,腹部の第9節にとげがありますが,ヨツボシトンボにはありません.ただし,ベッコウトンボは,兵庫県では絶滅(ぜつめつ)した可能性が高く,見つかることはまずないでしょう.


<さがす場所のヒント>
 ヨツボシトンボは池の住人です.とくに,水面から高くつきでた背の高い植物がたくさん生えている池を好みます.成虫は春にだけ現れます.終齢幼虫は,秋から次の年の冬の終わりくらいの間に採れます.幼虫は,写真4のように,池の底にたくさん積もった植物のかれた茎(くき)や葉の中にもぐりこんで生活しています.

ヨツボシトンボの産卵場所.
写真6.産卵しているメス.背の高い植物の間に入りこんで,水面に直接卵を産みつけます.