H098. シオヤトンボ Orthetrum japonicum
<特ちょう>
シオヤトンボはトンボ型の幼虫です.体の表面に泥(どろ)がたくさんついていることが多いですが,洗い流すと,表面がすべすべしたやわらかい幼虫です.よく動きまわります.
翅芽(しが)は左右に開かず,まっすぐ後ろにのびています.
触角(しょっかく)は糸のように細くなっています.腹部の横のとげ(
側棘:そっきょく)は第8,9節にあります.背中のとげ(
背棘:はいきょく)は小さく,第4−7節にあります.
<よく似た幼虫との区別>
オオシオカラトンボや
シオカラトンボともとてもよく似ています.しかし,
シオカラトンボには背中のとげがありませんので,区別できます.
オオシオカラトンボとの区別は難しいです.シオヤトンボの方が,体が細く小さいですが,それでは区別できません.いちばん確実な方法は,
下唇(かしん)を引きのばして
下唇側片(かしんそくへん)の上にある
側刺毛(そくしもう)の数をかぞえることです.写真3のように,
オオシオカラトンボはこの
側刺毛の数がふつう7本(ときどき8本)ありますが,シオヤトンボはふつう5本(ときどき6本)しかありません.
<さがす場所のヒント>
シオヤトンボは池や湿地(しっち)の住人です.ふつうの池でも,池のまわりに浅いところが広がっていれば,いることがあります.また,川の上流の浅い流れや,水がわきだして,じゅくじゅくしているようなところにも,住んでいることがあります.シオヤトンボの成虫は春にだけ現れます.
終齢幼虫は,秋から次の年の冬の終わりくらいの間に採れます.
写真6.産卵しているメス.池のまわりに広がる浅いところで卵を産んでいます.