兵庫県の幼虫ガイド
H005. コバネアオイトトンボ Lestes japonicus
コバネアオイトトンボ終齢幼虫
写真1.コバネアオイトトンボ終齢幼虫(しゅうれいようちゅう)尾さいをふくめた全長30mm前後.2011.6.11.
<特ちょう>
 コバネアオイトトンボは腹部が細長く,あしが長い,アオイトトンボ型の幼虫です.体全体がやわらかく,表面はすべすべしています.写真4のように,下唇(かしん)は細長くなっていますが,アオイトトンボほどではありません.写真2のように,尾さいには,中央に茶色のスジが走っていて,それと直角に交わるように,こげ茶色の帯が3つあります.腹部の横には,それぞれの節に,黒っぽいはん点が1つずつあります.このようなはん点は,アオイトトンボのなかまでは,コバネアオイトトンボにしかありません.

コバネアオイトトンボのびさい コバネアオイトトンボの腹のよこのはん点
写真2.コバネアオイトトンボの尾さいの形ともよう. 写真3.コバネアオイトトンボの腹部の横にあるはん点.


<よく似た幼虫との区別>
 コバネアオイトトンボとよく似た幼虫に,アオイトトンボオオアオイトトンボホソミオツネントンボオツネントンボがいます.これらのトンボとは,腹部の横のそれぞれの節にある,黒っぽいはん点があるかないかで,区別してください.それぞれの節にはん点が1つずつあるのは,コバネアオイトトンボだけです.


アオイトトンボとコバネアオイトトンボのかしんのながさ アオイトトンボとコバネアオイトトンボのびさいのひかく
写真4.アオイトトンボとコバネアオイトトンボの下唇の比かく. 写真5.アオイトトンボとコバネアオイトトンボの尾さいの比かく.


<さがす場所のヒント>
 コバネアオイトトンボは池の住人です.ほかのアオイトトンボのなかまのように,水面からつきでた植物の,茎(くき)や葉に産卵しますが,産卵する植物に,好みがあります.クログワイやカンガレイという,やわらかい植物が好きです.ときどきですが,固いヒメガマにも産卵することがあります.ヒメガマへの産卵はビデオに記録があります.産卵は秋に行われます.卵はそのまま冬をこし,春に幼虫になります.幼虫はものすごく速く成長します.6月から7月には終齢幼虫になって,羽化してしまいます.ですから,幼虫の採れる期間は,5月から7月くらいの短い間です.6月から7月に羽化した成虫は,そのまま夏をこして,秋に産卵します.

コバネアオイトトンボの産卵場所.
写真6.池の水面からつきでている,カンガレイという植物に産卵する,コバネアオイトトンボのメス.