H005. コバネアオイトトンボ Lestes japonicus
<特ちょう>
コバネアオイトトンボは腹部が細長く,あしが長い,アオイトトンボ型の幼虫です.体全体がやわらかく,表面はすべすべしています.写真4のように,
下唇(かしん)は細長くなっていますが,
アオイトトンボほどではありません.写真2のように,
尾さいには,中央に茶色のスジが走っていて,それと直角に交わるように,こげ茶色の帯が3つあります.腹部の横には,それぞれの節に,黒っぽいはん点が1つずつあります.このようなはん点は,アオイトトンボのなかまでは,コバネアオイトトンボにしかありません.
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写真2.コバネアオイトトンボの尾さいの形ともよう. |
写真3.コバネアオイトトンボの腹部の横にあるはん点. |
<よく似た幼虫との区別>
コバネアオイトトンボとよく似た幼虫に,
アオイトトンボ,
オオアオイトトンボ,
ホソミオツネントンボ,
オツネントンボがいます.これらのトンボとは,腹部の横のそれぞれの節にある,黒っぽいはん点があるかないかで,区別してください.それぞれの節にはん点が1つずつあるのは,コバネアオイトトンボだけです.
<さがす場所のヒント>
コバネアオイトトンボは池の住人です.ほかのアオイトトンボのなかまのように,水面からつきでた植物の,茎(くき)や葉に産卵しますが,産卵する植物に,好みがあります.クログワイやカンガレイという,やわらかい植物が好きです.ときどきですが,固いヒメガマにも産卵することがあります.ヒメガマへの産卵は
ビデオに記録があります.産卵は秋に行われます.卵はそのまま冬をこし,春に幼虫になります.幼虫はものすごく速く成長します.6月から7月には
終齢幼虫になって,羽化してしまいます.ですから,幼虫の採れる期間は,5月から7月くらいの短い間です.6月から7月に羽化した成虫は,そのまま夏をこして,秋に産卵します.
写真6.池の水面からつきでている,カンガレイという植物に産卵する,コバネアオイトトンボのメス.