兵庫県の幼虫ガイド
H003. アオイトトンボ Lestes sponsa
アオイトトンボ終齢幼虫
写真1.アオイトトンボ終齢幼虫(しゅうれいようちゅう)尾さいをふくめた全長30mm前後.2011.6.16.
<特ちょう>
 アオイトトンボは腹部が細長く,あしが長い,アオイトトンボ型の幼虫です.体全体がやわらかく,表面はすべすべしています.写真2のように,下唇(かしん)はとても細長くなっています.写真3のように,尾さいは,中央のものが少し下に曲がるような形をしています.尾さいの色は,うすい色のものからこい色のものまで,採れる場所によってさまざまです.

アオイトトンボのあしゅうれいようちゅう アオイトトンボのうか
写真2.アオイトトンボの下唇はとても細く長い. 写真3.アオイトトンボの尾さいの形.


<よく似た幼虫との区別>
 アオイトトンボとよく似た幼虫に,オオアオイトトンボコバネアオイトトンボホソミオツネントンボオツネントンボがいます.
 このうち,ホソミオツネントンボとは,体の大きさや下唇の長さで区別できます.くわしくはホソミオツネントンボのページを見てください.また,オツネントンボとは,下唇の形で区別できます.くわしくはオツネントンボのページを見てください.さらに,コバネアオイトトンボとは,下唇の長さや,腹部横にあるはん点で,区別してください.くわしくは,コバネアオイトトンボのページを見てください.
 いちばん区別が難しいのは,オオアオイトトンボです.写真4,写真5を見てください.写真4はメスの場合です.メスには腹部の先のほう(腹部の第9節)の下がわに,産卵管(さんらんかん)のもとになるもの(原産卵管:げんさんらんかん)がついています.これをルーペで観察すると,写真4のようなちがいが見られますので,これで区別ができます.写真5はオスの場合です.オスには産卵管のもとになるものがありません.そのかわり小さな2つの突起(とっき)がついています.とてもわずかですが,その形に,写真5のようなちがいがあります.これで区別してください.これでできないときは,区別をあきらめて,「アオイトトンボのなかま」としておいてください.

アオイトトンボとオオアオイトトンボの原産卵管 アオイトトンボとオオアオイトトンボの原生殖器
写真4.アオイトトンボとオオアオイトトンボの原産卵管の比かく. 写真5.アオイトトンボとオオアオイトトンボの突起の比かく.


<さがす場所のヒント>
 アオイトトンボは池の住人です.秋になって産卵に現れます.卵はそのまま冬をこし,春に幼虫になります.幼虫はものすごく速く成長します.6月から7月には終齢幼虫になって,羽化してしまいます.ですから,幼虫の採れる期間は,5月から7月くらいの短い間です.6月から7月に羽化した成虫は,そのまま夏をこして,秋に産卵します.

アオイトトンボの産卵場所.
写真6.池の岸近くに生えている,背の高い植物に卵を産みつけます.かえった幼虫は,下に落ちて,水の中に入ります.