H004. オオアオイトトンボ Lestes temporalis
<特ちょう>
オオアオイトトンボは腹部が細長く,あしが長い,アオイトトンボ型の幼虫です.体全体がやわらかく,表面はすべすべしています.写真2のように,
下唇(かしん)はとても細長くなっています.写真3のように,
尾さいは,中央のものはそれほど下に曲がることはありません.
尾さいの色は,うすい色のものからこい色のものまで,採れる場所によってさまざまですが,どちらかといえば,こい色のものが多いようです.
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写真2.オオアオイトトンボの下唇は,とても細くて長い. |
写真3.オオアオイトトンボの尾さいの形. |
<よく似た幼虫との区別>
オオアオイトトンボとよく似た幼虫に,
アオイトトンボ,
コバネアオイトトンボ,
ホソミオツネントンボ,
オツネントンボがいます.
このうち,
ホソミオツネントンボとは,体の大きさや
下唇の長さで区別できます.くわしくは
ホソミオツネントンボのページを見てください.また,
オツネントンボとは,
下唇の形で区別できます.くわしくは
オツネントンボのページを見てください.さらに,
コバネアオイトトンボとは,
下唇の長さや,腹部横にあるはん点で,区別してください.くわしくは,
コバネアオイトトンボのページを見てください.なお,これらのページでは,アオイトトンボと比かくしていますが,オオアオイトトンボとアオイトトンボはとてもよく似ているので,オオアオイトトンボとの比かくだと考えてください.
いちばん区別が難しいのは,
アオイトトンボです.写真4,写真5を見てください.写真4はメスの場合です.メスには腹部の先のほう(腹部の第9節)の下がわに,産卵管(さんらんかん)のもとになるもの(原産卵管:げんさんらんかん)がついています.これをルーペで観察すると,写真4のようなちがいが見られますので,これで区別ができます.写真5はオスの場合です.オスには産卵管のもとになるものがありません.そのかわり小さな2つの突起(とっき)がついています.とてもわずかですが,その形に,写真5のようなちがいがあります.これで区別してください.これでできないときは,区別をあきらめて,「アオイトトンボのなかま」としておいてください.
<さがす場所のヒント>
オオアオイトトンボは池の住人ですが,産卵する場所が変わっています.写真6のように,高い木の上で産卵するのです.卵からかえった幼虫は,木から落ちて,水の中に入ります.ですから,卵を産むのは,池の水面に上に大きくのびた枝(えだ)になります.つまり,オオアオイトトンボがいる池は,まわりに木があって,それらの木の枝が水面にはりだしているようなところです.産卵は秋に行われます.卵はそのまま冬をこし,春に幼虫になります.幼虫はものすごく速く成長します.6月から7月には
終齢幼虫になって,羽化してしまいます.ですから,幼虫の採れる期間は,5月から7月くらいの短い間です.6月から7月に羽化した成虫は,そのまま夏をこして,秋に産卵します.
写真6.池の水面上にのびている,高い木の枝に産卵する,オオアオイトトンボのペア.