兵庫県の幼虫ガイド
H006. ニホンカワトンボ Mnais costalis
ニホンカワトンボ終齢幼虫
写真1.ニホンカワトンボ終齢幼虫(しゅうれいようちゅう).全長31mm前後.2009.1.3.
<特ちょう>
 ニホンカワトンボはカワトンボ型の幼虫です.体全体が固い感じです.写真3のように,尾さいの長さは腹部の長さの半分か,それより少し短いくらいです.尾さいは固く,両側の尾さい側さい)はぶ厚く,中央の尾さい中央さい)はうすく板のようです.触角(しょっかく)は第1節が長くなっています.写真2上のように,側さいの後ろの角は,角ばっています.


<よく似た幼虫との区別>
 ニホンカワトンボは,アサヒナカワトンボととてもよく似ています.写真3のように,ニホンカワトンボの方が,アサヒナカワトンボよりひとまわり大きくなっています.それ以外でいちばんよく使われる区別点は,尾さいの形のちがいです.写真2のように,ニホンカワトンボでは,後ろの角が角ばって,とがっています.それに対してアサヒナカワトンボでは,角ばらず,まるい感じです.ただし,尾さいはちぎれて再生するときがあり,そのときは,ニホンカワトンボでも,角ばらずまるいときがありますので,注意してください.

ニホンカワトンボとアサヒナカワトンボのびさい ニホンカワトンボとアサヒナカワトンボのひかく
写真2.ニホンカワトンボとアサヒナカワトンボ尾さいの比かく.
ニホンカワトンボでは,後ろの角が角ばっています.
アサヒナカワトンボでは,後ろの角はそれほど角ばっていません.
写真3.ニホンカワトンボとアサヒナカワトンボの全体の比かく.
ニホンカワトンボの方がアサヒナカワトンボより,ひとまわり大きい.
どちらも,尾さいの長さは腹部の長さより短く,半分かそれ以下.


<さがす場所のヒント>
 ニホンカワトンボは川の住人です.兵庫県では,かなり上流から,平地をゆったりと流れる川にまで,はば広く生活しています.写真4のように,メスは川にころがっているかれ木に,好んで,卵を産みつけます.成虫は春に現れます.産みつけられた卵はすぐにかえって幼虫になり,秋までには終齢幼虫になります.幼虫は,川の落ち葉の下などにもぐりこんで生活しています.

ニホンカワトンボの産卵場所.
写真4.川に転がっている,しめったかれ木に,産卵しているメス.