トップ写真の解説
コバネアオイトトンボは通常連結産卵をしますが,ときどき写真のように単独産卵するメスを見ることがあります.初めから単独産卵している場合もあると思いますが,連結産卵の終盤,オスが自発的にメスを放して,メスが単独産卵に移行する場合があります.この写真はその例です.連結植物内産卵をするトンボでは,こういう行動はあまり見かけられません.
単独植物内産卵.2010.10.16.
成虫
成虫は6月ころに羽化し,いったん林床などに潜り込んで池畔から姿を消します.9月下旬になるとカンガレイやクログワイの繁茂する池にやってきて繁殖活動を行います.ヒメガマなどにはほとんど産卵しませんが,植生の状態によってはヒメガマにも産卵することがあります(ビデオに記録があります).一年一化の生活史を営んでいると考えられます.
連結植物組織内産卵.2010.10.16.
幼虫
コバネアオイトトンボの幼虫の側稜には一対の褐色斑点があり,他のアオイトトンボ属の幼虫と簡単に区別できます.また下唇がアオイトトンボやオオアオイトトンボより短くなっています.写真の幼虫の複眼は,どういうわけかウルトラマンのように光り輝いています.卵は休眠して冬を越し,翌年春に孵化,短期間で幼虫が成長して,6月ころに羽化を迎えます.幼虫の出現期間は短いです.
スタジオ写真.2011.6.11.