兵庫県の幼虫ガイド
H052. フタスジサナエ Trigomphus interruptus
フタスジサナエ終齢幼虫
写真1.フタスジサナエ終齢幼虫(しゅうれいようちゅう).全長24mm前後.2011.3.5.
<特ちょう>
 フタスジサナエはサナエトンボ型の幼虫です.腹部の一番先の第10節が細長くのびているのが特ちょうです.前あしと中あし(脛節:けいせつとよばれる部分の先)の外側には小さなとげが出ています.腹の横のとげ(側棘:そっきょく)は第6−9節にあります.また小さなとげ(背棘:はいきょく)はほとんど目立ちません.触角(しょっかく)は棒のような形をしていて,はば広くありません.翅芽(しが)は開かずまっすぐ後ろにのびています.春に,生きた幼虫の泥(どろ)を洗い流すと,腹の横がうっすらと黄緑色をしていることが多いです.

フタスジサナエのそっきょくとはいきょく フタスジサナエとフタスジサナエ
写真2.腹部の第6−9節に側棘があり,背棘は目立ちません. 写真3.触角は棒のような形で,翅芽はまっすぐ後ろに伸びます.


<よくにた幼虫との区別>
 フタスジサナエによくにた幼虫に,オグマサナエコサナエタベサナエがいます.まずコサナエは,兵庫県では北の方にしか住んでいませんので,兵庫県の中ほどや南の方で見つけた幼虫はたいていコサナエではありません.また逆に,兵庫県の北の方にはコサナエしかいませんので,写真1ににた幼虫がとれたら,たぶんそれはコサナエでしょう.
 タベサナエにははっきりとした背中のとげ(背棘)がたくさんあるので,区別はかんたんです.写真4のように,腹部の第10節もとても短いです.オグマサナエは,写真4のように,腹部の第10節の長さが一番細長いです.でもこの方法では,思ったよりオグマサナエと見分けるのが難しいのです.もう少しかんたんな方法は,幼虫をうら返しにしたとき,オグマサナエは全体が黒っぽい色をしています.フタスジサナエは明るい色です.

ヤマサナエの産卵場所.
写真4.フタスジサナエとよくにた,オグマサナエコサナエタベサナエの,腹部の一番先の,第10節の長さをくらべたもの.
<さがす場所のヒント>
 フタスジサナエは池の住人です.草が生えた岸辺で,空中から卵をばらまきます.山の中や林の中にあって,池のまわりに木や草が生えていて,落ち葉などが底にたまっているような池が好きです.池の底の落ち葉の下や泥の中にもぐって生活しています.池がよごれていなければ,よく見つかる幼虫ですので,わりあいかんたんにつかまえることができます.

フタスジサナエの産卵場所.
写真5.植物がたくさん生えている池で,空中から卵を産んでいるフタスジサナエのメス..