トップ写真の解説
1980 年ころは,フタスジサナエは,植生豊かなため池に出かけると群れるようにして飛んでいました.しかし,最近はそういったところは非常に少なくなりました.ここは,まだ,春になるとフタスジサナエがそれなりに飛び回っているところです.産卵をねらいにゴールデンウィークに足しげく通った結果,早朝と夕方に産卵に来ることが多いことが判明しました.これは早朝の個体.オスたちが水辺にやってくる前に,オスに煩わされることなく,サッサと産卵を済ませて樹林へ帰っていくのでした.
メスの停止飛翔産卵.2015.5.5.
成虫
兵庫県南部では,4月の中下旬から羽化が始まります.羽化は5月の上旬には終わるようで,あと6月ころまで成虫が見られます.産卵は,池の岸辺の浅いところで停滞飛翔をし,体を振って池岸の方に卵をばらまきます.
オスの静止.2012.5.19.
幼虫
フタスジサナエは第10腹節が長く伸びています.おそらく,泥の中にもぐったとき,第10腹節を上に曲げて泥の上に出し,呼吸をしているのでしょう.オグマサナエとよく似ていますが,腹部腹面が緑褐色または明るい褐色をしており,オグマサナエの濃褐色と異なるので区別がつきます.またフタスジサナエの腹部第10節はオグマサナエより少し短くなっています.幼虫で越冬し,冬を終齢幼虫で越したものだけが春に羽化する春季種です.
スタジオ写真.2016.3.29.