H050. オグマサナエ Trigomphus ogumai
<特ちょう>
オグマサナエはサナエトンボ型の幼虫です.腹部の一番先の第10節がとても細長くのびているのが特ちょうです.前あしと中あし(
脛節:けいせつとよばれる部分の先)の外側には小さなとげが出ています.腹の横のとげ(
側棘:そっきょく)は第6−9節にあります.また背中の小さなとげ(
背棘:はいきょく)が腹部の第9節にあります.からだをうら返しにすると,全体が黒っぽい色をしています.
触角(しょっかく)は棒のような形をしていて,はば広くありません.
翅芽(しが)は開かずまっすぐ後ろにのびています.
|
|
写真2.腹部の第6−9節に側棘があり,小さな背棘が第9節にあります. |
写真3.触角は棒のような形で,翅芽はまっすぐ後ろに伸びます. |
<よくにた幼虫との区別>
オグマサナエによくにた幼虫に,
フタスジサナエ,
コサナエ,
タベサナエがいます.まず
コサナエは,兵庫県では北の方にしか住んでいませんので,兵庫県の中ほどや南の方で見つけた幼虫はたいてい
コサナエではありません.また逆に,兵庫県の北の方には
コサナエしかいませんので,写真1ににた幼虫がとれたら,たぶんそれは
コサナエでしょう.
タベサナエにははっきりとした背中のとげ(
背棘)がたくさんあるので,区別はかんたんです.写真4のように,腹部の第10節もとても短いです.オグマサナエは,写真4のように,腹部の第10節の長さが一番細長いです.でもこの方法では,思ったより
フタスジサナエと見分けるのが難しいのです.もう少しかんたんな方法は,幼虫をうら返しにしたとき,オグマサナエは全体が黒っぽい色をしています.
フタスジサナエは明るい色をしています.
<さがす場所のヒント>
オグマサナエは池の住人です.草が生えた岸辺で,空中から卵をばらまきます.山の中や林の中にあって,まわりに木や草が生えていて,落ち葉などが底にたまっているような池が好きです.どちらかといえば,池の中には植物があまりないところが好きなようです.池の底の落ち葉の下や泥(どろ)の中にもぐって生活しています.
フタスジサナエにくらべると数が少ないので,見つけるのはちょっとむずかしいかも知れません.
フタスジサナエや
タベサナエにまじって見つかることが多いです.
写真5.池のまわりに草が植物がたくさん生えている池で,空中から卵を産んでいるオグマサナエのメス.