H049. タベサナエ Trigomphus citimus tabei
<特ちょう>
タベサナエはサナエトンボ型の幼虫です.腹部の一番先の第10節はつつ形をしていますが,あまり長くはありません.前あしと中あし(
脛節:けいせつとよばれる部分の先)の外側には小さなとげが出ています.腹の横のとげ(
側棘:そっきょく)は第6−9節にあります.また背中には目立つはっきりとしたとげ(
背棘:はいきょく)があります.はっきりとした背棘は,腹部の第5節から第9節にまでは必ずあり,さらに第4節にもふつうに,第3節にはときどき見られます.
触角(しょっかく)は棒のような形をしていて,はば広くありません.
翅芽(しが)は開かずまっすぐ後ろにのびています.
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写真2.第6−9節に側棘があり,背棘は第5−9節には必ずあります. |
写真3.触角は棒のような形で,翅芽はまっすぐ後ろに伸びます. |
<よくにた幼虫との区別>
タベサナエによくにた幼虫に,
フタスジサナエ,
コサナエ,
オグマサナエがいます.まず
コサナエは,兵庫県では北の方にしか住んでいませんので,兵庫県の中ほどや南の方で見つけた幼虫はたいてい
コサナエではありません.また逆に,兵庫県の北の方には
コサナエしかいませんので,写真1ににた幼虫がとれたら,たぶんそれは
コサナエでしょう.
タベサナエにははっきりとした背中のとげ(
背棘)がたくさんあるので,
フタスジサナエや
オグマサナエとの区別はかんたんです.また写真4のように,腹部の第10節もとても短いです.
<さがす場所のヒント>
タベサナエは池にも川にも住んでいます.川では,岸に植物が生えた場所の,砂や泥(どろ)がたまった岸近くの底にもぐっています.池に住むときは,山の中や林の中にあって,まわりに木や草が生えていて,落ち葉などが底にたまっているようなところが好きです.池の底の落ち葉の下や泥の中にもぐって生活しています.成虫のメスは,草が生えた岸辺で,空中から卵をばらまきます.よく見つかるので,住んでいるところさえ見つければ,採るのはわりあいかんたんです.
写真5.池のまわりに草が植物がたくさん生えている池で,空中から卵を産んでいるタベサナエのメス.