トップ写真の解説
オグマサナエの産卵は今までなかなか見ることができませんでした.たまに観察できても,アプローチできるような場所ではありませんでした.この年は,4月29日に産卵を目撃したので,その池で必ずオグマサナエの産卵を見ることができるという決意で,観察に臨みました.結果,夕方に産卵に来ることが分かりました.続けて2頭が産卵に入ったのです.これはそのうちの1頭です.春の夕方は気温が下がり涼しくなるのでトンボたちは活動しないという思い込みが,今まで観察の芽を摘んでいたようでした.
メスの停止飛翔産卵,2015.5.2.
成虫
羽化は4月中旬で,かなり短期間で終わります.4月下旬には繁殖活動が始まり,5月の下旬には個体数の減少が感じられ,6月に入るとすぐに成虫が見られなくなります.産卵は停止飛翔産卵で,体を軽く振って空中から地岸に向かって卵をばらまきます.
メスの静止,2012.5.12.
幼虫
オグマサナエはコサナエ属の中ではもっとも腹部第10節が細長くなっています.フタスジサナエと同所的に生息していることもあって,採集するとどちらか迷うことが多いのですが,たくさん採集して比べてみると,かなり体形や色彩が違うことが分かります.オグマサナエの方が全体的に一回り大きく,ややいかつく感じられます.色彩は,コントラストの強い黒っぽい色をしていて,特に腹部腹面が全体的に黒くなっています.
幼虫で越冬し,おそらく終齢幼虫で冬を越した個体だけが春に羽化します.成虫が飛ぶ時期にも幼虫が採れ,幼虫期間は2年以上と考えられます.
幼虫で越冬し,おそらく終齢幼虫で冬を越した個体だけが春に羽化します.成虫が飛ぶ時期にも幼虫が採れ,幼虫期間は2年以上と考えられます.
スタジオ写真.2016.3.29.