H053. ミヤマサナエ Anisogomphus maacki
<特ちょう>
ミヤマサナエはサナエトンボ型の幼虫です.写真1の矢印のように,前あしと中あし(
脛節:けいせつとよばれる部分の先)の外側にはっきりとした大きなとげが出ています.後ろあしにはそのとげはありません(写真1).腹の横のとげ(
側棘:そっきょく)は第7−9節にあります.また小さなとげ(
背棘:はいきょく)が,第9節の背中の部分に見えます.
触角(しょっかく)は棒のような形をしていて,はば広くありません.
翅芽(しが)は開かずまっすぐ後ろにのびています.
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写真2.腹部の第6−9節に側棘があり,8,9節に背棘があります. |
写真3.ミヤマサナエとミヤマサナエの比較. |
<よくにた幼虫との区別>
ミヤマサナエによくにた幼虫に,
ホンサナエがいます.写真3のように,ミヤマサナエでは腹部の第7−9節にだけ横のとげ(
側棘)がありませんが,
ホンサナエではそのとげは腹部の第6−9節にあります.しかし,
ホンサナエの中には腹部の第6節の横にとげがないものがいますので,確実な区別点にはなりません.もう一つの区別点は,写真3のように,腹部の第9節の形が,ミヤマサナエとはちがいます.ミヤマサナエでは黄矢印のようにカーブが急になっています.これは全体的な感じですが,ミヤマサナエの方が
ホンサナエより黒っぽく,腹部もうすっぺらい感じがします.
<さがす場所のヒント>
ミヤマサナエは川の住人です.用水路などではほとんど見つかることがありません.大きな川で,砂がたっぷりと底に積もっているようなところを好みます.下の写真は,メスがやって来るのを待っているミヤマサナエのオスです.このような川の砂の中にもぐりこんで生活しています.なお,ミヤマサナエは,兵庫県では見つけるのがとても難しいトンボですので,ほとんど採れることはありません.
写真6.産卵にやって来るメスを待つオス.砂がたっぷりとたまった,はばの広い川に住んでいます.