トップ写真の解説
グンバイトンボは,写真のように,よく集団で産卵をしているのを見かけます.一説によると,あるペアがすでに産卵をしている場所は捕食者などの危険が少ないということを意味し,そこに選択圧が働いて,グループ産卵が進化したということです.しかし産卵しやすい場所に,結果として集結しているだけだという議論も成り立ちます.ただ,集団でいるトンボは写真に撮りやすいなど,人の動きに対して鈍感になる傾向が感じられ,これは産卵ペアの警戒が緩んでいることを意味すると考えられるので,私は前者の説を信じています.
グループ産卵をしているグンバイトンボたち.2013.6.30.
成虫
5月下旬くらいから羽化を始めます.成虫は8月末まで見ることができますが,たくさんの個体が見られるのは,盛夏が訪れる前の6,7月あたりです.産卵時,オスは直立します.これは歩哨姿勢といって,メスの前胸をつかんで直立し,他のオスやトンボの接近に備えています.他のオスが近づくと,軍配状の足を開いて翅を震わせ,威嚇する行動が見られます.
樹林の中のテネラルなオス.2010.6.10.
幼虫
モノサシトンボ科の幼虫の尾鰓は,大きく長いです.本種の尾鰓はモノサシトンボに比べると少し短いですが,それでもよく目立ちます.尾鰓や体はクチクラが硬く,さわるとごつごつした感じがします.産下された卵は1,2週間で孵化し(11日というデータがある;関西トンボ談話会,1984),幼虫はおそらく1年で羽化に至ります.ヨシなどの根際の砂泥の中にもぐって生活しています.
スタジオ写真.2009.4.29.