トップ写真の解説
シコクトゲオトンボの産卵を記録しようと出かけました.しかし,メスはいるにもかかわらず,産卵している姿が見られないのです.実は,メスは産卵しているとき非常に神経質で,少しでも他者の気配がすると産卵を中止し,腹部を上げてしまいます.時には飛んで上方へ移動します.そしてそのまましばらくじっとして様子を見ています.シコクトゲオトンボの産卵観察には,産卵を止めたメスが産卵を再開するまで待つという根気が必要です.あるいは,メスがこちらを発見するより先にこちらが産卵メス見つけるかです.そうやって撮影したのがこの写真です.
しばらく産卵を中止していたメスが産卵を再開した.2012.7.8., 徳島県.
成虫・幼虫
シコクトゲオトンボは四国4県にだけ分布する日本特産種です.兵庫県の隣県,徳島県・香川県にも分布しています.四国の山中では,その環境さえ整っておれば,比較的普通に見られます.しかし,産地へ行っても,薄暗い林内を音もなくスーッと飛ぶので,なかなか発見しづらく,いい加減な観察では見落としてしまいます.ところがしばらく経って目が慣れてくると,次々と見えてくるから不思議です.身近にいるトンボではないので,その生態や生活史については,観察記録を持っていません.幼虫期間は2,3年だろうといわれています(杉村ら,1999).成虫は5月中下旬から9月にかかるまで見られるといいます.
オスの静止.2014.7.5., 徳島県.