さて,本日のPart-2.はグンバイトンボの観察です.この場所は以前からグンバイトンボがいたのは知っていましたが,数が少なかったのです.ただ,今年は5月20日の予備調査でそれなりの数が見られましたので,今日ここでは初めての産卵観察を行うことにしました.
▲産卵するグンバイトンボのカップル.オスメス両方にピントを合わせるのは結構大変です.
このグンバイトンボは,Part-1.の最後で紹介した,アオハダトンボのオスがしきりに求愛ディスプレイをしていたカップルです.Part-1.からの場面転換にまず登場してもらいました.グンバイトンボはどこで産卵しているのか?.オスは結構あちこちでついつい飛んでいました.何しろここでは初めてですので,あちこち結構探し回りました.
▲流れの横の草むらを飛ぶグンバイトンボのオス.
▲流れの上に枯れ枝に止まるグンバイトンボのオス.色づきが成熟を示す.
そしてやっと見つけることができました.10:51のことでした.今日は川の水が少なかったので,所々で水が伏流しています.そんな流れの切れた下流側の,ワンド的な雰囲気のあるところで産卵していました.
▲この川で始めて遭遇したグンバイトンボの産卵カップル.
▲オスはまわりを監視しながらメスの産卵を警護している.
クロイトトンボが産卵ペアにちょっかいをかけますと,オスは,軍配のように広がった脚の部分を大きく広げて見せ,威嚇?します.メスはメスで腹部を上に曲げて反応します.これはどういう意味があるのでしょうか? 交尾拒否姿勢に似ていますが…
▲クロイトトンボが産卵カップルにちょっかいを出した.グンバイトンボのオスは軍配脚を広げる.
▲しつこくクロイトトンボが飛ぶので,これ以上開かないというほどに脚を広げて威嚇?する.
産卵ペアがこれ1組だけのせいなのか,とても神経質で,私の動きに敏感に反応します.すぐに移動して別の場所へと,落ち着いて産卵しようとしません.だいたいトンボは,個体数が少ないと敏感になる傾向があるような気がします.
▲神経質にあちこち移動して産卵する.
▲移動中のカップル.
▲翅を震わせてオスが警護している.
そんなとき,第2のカップルがやって来ました.最初のカップルのオスは,例によってグンバイの脚を広げて威嚇しました.第2のカップルは,このカップルとすれ違うような感じで飛んで,少し離れたところまで移動してから産卵を始めました.このカップルは神経質ではなく,多少のことに動じず産卵を続けてくれました.
▲突然,また軍配脚を広げたと持ったら,もう1組のカップルがやって来たからだったのだ.
▲すれ違うように飛ぶ2組の産卵カップル.今度のオスは淡色部が水色になって成熟度がより進んでいる.
▲2組目のペアを追うことにした.どんどん飛んで移動していく.
▲やっと産卵を始めた.ここでゆっくりと産卵を続けた.
ということで,グンバイトンボの産卵観察は終わりました.
今日は午前中時間があるので,この川にいるトンボをできるだけ多く記録しようと考えました.例によってトンボ歳時記特集の「移り変わるトンボたち」です.まず,コヤマトンボが飛んできましたので,これを今後のオオヤマトンボやキイロヤマトンボの撮影に備えての,ヤマトンボ科の飛ぶ姿の撮影練習としました.
▲コヤマトンボのパトロール飛翔.写真撮影の練習も兼ねてしばらく観察をした.
結構成功した枚数が多くて,今後に役立ちそうかな.では続いて,春のトンボたちの生き残りです.まだ結構生き残っています.まあ,いっても6月2日ですから,いても不思議ではありません.まずはサナエトンボ類以外のトンボから.
▲老熟したシオヤトンボのメス.とても渋い感じがするトンボになっている.
▲ニホンカワトンボの交尾.老熟したオスメス,まだ産卵をすることができるのだろうか.
シオヤトンボはもう老熟して黄褐色のくすんだ色になってしまっています.別種かと思うほどです.ニホンカワトンボはこの川でほとんど姿を見ないのです.5月20日もまったく見ませんでした.しかし,1頭のオスが,そのまわりの数頭のメスとともに,流れの一角で頑張っていました.次は,なんといってもここは川ですので,サナエトンボの類いです.タベサナエ,ホンサナエがまだ頑張っていました.ホンサナエはメスが道路に落ちていました.事故でしょうか? 寿命でしょうか.
▲春一番に現れるタベサナエのオス.
▲ホンサナエのオス.
▲路上に落ちていたホンサナエのメス.まだ息はあった.今年は変なところでホンサナエのメスに出会う.
ホンサナエのメスが見つかったことで,この場所で繁殖している確信が持てました.ホンサナエの好む砂泥環境があまりないのですけどねぇ,ここは.さて,次に,今の時期に一番活動が盛んなサナエトンボ,ヤマサナエとアオサナエ.どちらも数頭いました.
▲ヤマサナエのホバリング飛翔.
▲アオサナエは数頭見られた.
最後がこれからのサナエトンボたち.オジロサナエとコオニヤンマです.オジロサナエは写真に撮っただけでも5頭以上が羽化をしていました.コオニヤンマは成虫の姿は見られませんでした.でも羽化殻がひっそりと残っており,もう出現していることは間違いないということです.
▲オジロサナエオスの羽化.処女飛行の直後.
▲オジロサナエのメス.川岸水面近くから飛び立ったので,今日羽化していたのだと思う.
▲コオニヤンマの羽化殻.合計3個みつけた.成虫は山の方に上がっているのだろう.
今日は5時間ほどの観察でした.たくさんのトンボたちが見られました.今の季節はもっとも多くの成虫を見ることのできる時期です.ということで,今日は終わりにします.