トップ写真の解説
昔は水田のトンボという印象があったミヤマアカネですが,最近は水田ではあまり見られず,川で生き残っています.写真はかなり流速のある小川で産卵しているところですが,もっと流れの緩い浅いところで産卵することが多いように思えます.水の透明感がきれいです.
連結打水産卵.2018.9.18.
成虫
兵庫県下では,成虫は普通7月頃から出現し11月頃まで見ることができます.通常は羽化した場所を大きく離れることはなく,未熟な成虫は生息地付近にとどまっています.成熟してもオス・メスは混在して生息地にとどまっています.しかし兵庫県の産地での市民参加の標識調査によって,成虫は別の河川へと移動することがあることが確かめられました.8月の下旬頃から産卵シーズンに入ります.オスはメスを追いかけて交尾し,初めのうちは連結産卵,後にメスを放して単独産卵に移行することが多いようです.メスは流れの縁の石や流れに揺らぐ植物に腹端を打ちつけて産卵しているのをよく見ます.水面にも産卵します.
交尾.2009.9.13.
幼虫
ミヤマアカネの幼虫は,マユタテアカネの幼虫に非常によく似ています.マユタテアカネは元来止水性の種ですが,ミヤマアカネのいるような河川にも結構入り込むことが多いのです.確実な区別点は前下唇の形状でしょう.ミヤマアカネの方が,横幅に対する縦幅がやや短くなっています.体型はミヤマアカネの方が全体的にやや円みがあって,マユタテアカネは頭部の逆三角形,腹部横のラインなどがやや直線的に見えます.
産下された卵はそのままで休眠して越冬し,翌春孵化します.幼虫は急速に成長し初夏に羽化するという,典型的なアカネ属の生活史を有しています.幼虫の微小生息場所を調べた研究では,幼虫は,若齢期には流れのない水域で暮らしていて,大きくなるにつれて流水環境へ移動するといわれています(Higashikawa, 2016).
産下された卵はそのままで休眠して越冬し,翌春孵化します.幼虫は急速に成長し初夏に羽化するという,典型的なアカネ属の生活史を有しています.幼虫の微小生息場所を調べた研究では,幼虫は,若齢期には流れのない水域で暮らしていて,大きくなるにつれて流水環境へ移動するといわれています(Higashikawa, 2016).
スタジオ写真.2019.6.21.