トップ写真の解説
2011年に,神戸市内でムカシトンボの産卵を見ることができましたが,どういうわけか兵庫県の他の場所で産卵に出会う機会がありませんでした.やっとのことで,神戸市外で産卵に出会うことができたのがこの写真です.メスは,産卵を始めるまでは非常に敏感で,ちょっとした刺激にも反応して逃げてしまいます.しかし一度落ち着いて産卵を始めてしまうと,カメラを近づけても平気で産卵を続けました.
メスの産卵.2013.5.25.
成虫
4月中に羽化して,早ければその下旬から摂食飛翔する個体が見らます.5月に入って成熟すると,メスは,お昼頃に,源流域のジャゴケ,フキ,ウワバミソウ,ワサビなどに産卵しにやって来ます.オスは,流れの上を,往ったり来たりしながら飛び回り,メスを探します.成虫は6月にはもうほとんど姿を消しています.
オスのパトロール飛翔.2016.5.14.
幼虫
ムカシトンボの幼虫は,以前ほどたくさん取れる場所がなくなってきました.ムカシトンボは源流域で生活しているので,あまり開発の手が入らないと思っていましたが,鉄砲水を防ぐための工事がムカシトンボの生息するような源流域で時々行われていて,環境が変化した場所があったりします.また木が切り倒されて明るくなってしまったりすると,産卵植物などに影響が出て,微妙に環境が変わってしまいます.さらに,最近は,源流域でも水が涸れる場所が増えたように思います.そんなこんなで,幼虫が減っているように感じます.
幼虫は数年間,源流の流れの中で,レキの下や中にもぐって暮らします.そして羽化する年の冬の終わり,水から出て約1ヶ月間陸上生活をします.
幼虫は数年間,源流の流れの中で,レキの下や中にもぐって暮らします.そして羽化する年の冬の終わり,水から出て約1ヶ月間陸上生活をします.
野外写真.2010.8.22.