トップ写真の解説
サラサヤンマは,あえて水のない湿土や朽木を選んで産卵を行います.このメスは,湿土,朽木,そして苔むす朽木へと場所を変えて産卵を続けました.産卵に来るのは15:00を過ぎてからが多く,オスのパトロール活動が一段落したころを狙っているようです.オスに見つからないように草の間を飛んで産卵場所を探します.しかし時にオスに見つかって交尾を強要されることもあります.
苔むす朽木への産卵.2012.5.24.
成虫
4月に現れて7月くらいまでに姿を消します.5月下旬頃になると,オスは湿地の上を長時間ホバリングをしながら,狭い範囲を行き来します.そこはオスの縄張りです.縄張りになる場所にはたいがいくぼみがあって,雨が降るとそこには水がたまるようなところです.しばらく飛ぶと,そのくぼみの周りにある草の茎や樹木の低い位置に止まります.メスは朽木や泥の中に産卵をします.
オスのパトロール飛翔.2010.6.5.
幼虫
幼虫は湿地の水たまりにいることもありますが,探しても見つからないことがほとんどです.乾燥した状態では石の下などに潜んでいることもあるということです.飼育すると水から出ないという報告があります.幼虫期間は,飼育によると1または2年くらい.湿地性のトンボは,乾燥など厳しい条件を乗り切るため,幼虫期間がフレシキブルになっていると考えられます.ヤンマ科の中では触角がやや太く長いのが特徴的で,水がないようなところで生活し餌を捕るために,センサーとして特化しているのかもしれません.
亜終齢幼虫たち.スタジオ写真.静岡県産.