■見分けのチェックポイント
羽化殻全長34mm前後.体表面は泥でおおわれていることが多い.複眼は小さく頭部の前側部についている.側棘は第6−9腹節にあるが,第6腹節のものは小さく不明瞭である.腹部腹面から見たとき,第5腹節より前の腹節に側棘と見間違うような突起(矢印)が見えるが,これは腹節の後縁がひだ状になったふくらみであって側棘ではないので注意を要する.肛上片(epi.)は肛側片(par.)よりやや長く,尾毛(cer.)は肛側片とほぼ等長である.♂の肛上片上の下付属器原器は二叉状になっていて,肛上片の上に発達している.♀の原産卵管先端は,生きた幼虫では第10腹節の後縁に達するが,羽化殻では,腹節が伸びるので,第9腹節後縁を越えるものの第10腹節後縁にはとどかなくなっている.
■分布と類似種
北海道,本州,四国,九州,屋久島にまで分布する.北海道では産地が限られる.ヤンマ科の中では特異な形態で,触角が長く腹部も棒状である.沖縄本島にはオキナワサラサヤンマが生息している.形態は類似しているが分布域は重ならない.
■生態
湿地に生活し,♀はほとんど水のないところに産卵する.本種の幼虫は非常に見つけにくい.多くの♀が産卵している場所や,羽化殻が取れる場所の近辺の水たまりをくまなくすくってもまず幼虫は見つからないが,時に小さな水たまりに見つかることがある.水のない湿った落ち葉の下にいたとの報告もある.羽化殻は結構見つかる.