トップ写真の解説
これはヒヌマイトトンボの産卵を観察に出かけた時の写真です.この生息地ではアジアイトトンボがヒヌマイトトンボと混じって生息しており,一度,アジアイトトンボとヒヌマイトトンボの異種間交尾を見たこともあります.
単独植物組織内産卵.2012.7.15.
成虫
アジアイトトンボは,成虫越冬性のトンボを除くと,春最も早く現れるトンボの一つです.4月上旬にはもうその姿が見られます.もっとも,今から20年くらい前では,神戸では初見が4月下旬という感じだったので,温暖化のせいで出現が早くなりつつあるのかもしれません.成虫は秋の終わり近くまでずっと見られますが,盛夏の頃に一時的に個体数が少なくなるように見えます.一年二化以上の生活史を送っていることは間違いないと思います.アオモンイトトンボと同じく,午前中に交尾することが多く,メスは午後に単独で産卵します.
交尾.2010.9.18.
幼虫
アジアイトトンボの幼虫はアオモンイトトンボと似ていてまぎらわしい形態をしています.しかし,兵庫県南部地方では,越冬している個体については,尾鰓がアオモンイトトンボより幅が狭く先端も鋭く鋭角になる傾向があり,体色も一般に濃くなる傾向があります.また中央分節がアオモンイトトンボよりはっきりと出る傾向にあって,写真の中央鰓のように折れ曲がるように見える場合があります.夏に出るアジアイトトンボ幼虫はひとまわり小さくなり,尾鰓も太くなる傾向があって,アオモンイトトンボとほとんど区別がつかなくなってしまいます.こうなるとほとんどお手上げです.
スタジオ写真.2009.4.26.