5月の半ばが過ぎましたので,ムカシトンボを見に行ってきました. 本来はもっと早いほうがいいのですが, 今年はトンボの出現が遅いので,この日に設定してみました.天気予報は晴れでしたが,11時ころから曇り始め,もう一つパッとしない天気でした.しかしムカシトンボは結構飛んでいて,今が盛りという感じでした.
9時過ぎに現地に入りました.すぐにムカシトンボのオスが入ってきました.しかし,その後はパラパラという感じでした.とにかく待つだけということで,メスがやって来るのを待ちました.10時過ぎ,はっきりとメスと分かる個体が,産卵基質となる植物をていねいに探すような飛び方をしました.
後を追いかけていくと,産卵を始めました.このムカシトンボ,普段あまり産卵しないような植物への産卵動作を行いました.例えばシダの表面や,大きな葉を持つ植物の葉柄などです.しかしすぐにムリだと判断したのか,最終的にはミツバ?の葉柄に産卵を行いました.今までの観察では,産卵植物は目で判断しているようで,それであまり失敗はないように見えるのですが,このメスは試行錯誤しているように見えました.まだ産卵経験が少ないのでしょうか.
この後,空が曇ってきて,しばらくトンボの動きがありませんでした.それでも12時を過ぎたころから,メスがポツポツ入って来るようになりました.その中に近づいてもなかなか逃げない人なつっこいメスがいて,この娘としばらく時間を過ごすことにしました.ただ,この娘,やたら植物深くもぐり込むので,なかなか写真になりません.
ひとしきり写真を撮ったので,邪魔な草を手で動かしてみました.でも全然逃げません.でも,片手で草を押さえ,もう片手で撮影というのはあまりうまくいきません.しかも,草がいっぱいで,ストロボの光が草に遮られて,うまくトンボに届きません.仕方ないので,見通しのよいところに出てくるのを待ちました.産卵を始めてから30分たらず経ったとき,やっと,草の中から出てきて見通しのよいところで産卵してくれました.
今年は川のトンボが少ないと前に述べましたが,ムカシトンボに関してはそれを感じることはありませんでした.ムカシトンボの幼虫は,腹部をピタリと岩に貼り付かせ,石のすき間にもぐり込んでいますので,もともと流されることのないように適応しているようです.今日はここまで.