No.805. 日本のトンボの記録種数が204種に.2021.9.9.

だいぶんお知らせが遅くなりましたが,この春に一つの報告と,一つの書籍の改訂版が出されました.

一つは「月刊むし」の2021年3月号(通巻601号)に掲載された,「日本初記録のサイジョウチョウトンボ(和名新称)を与那国島で採集」という小浜継男氏による報告です.これによって,日本で記録されたトンボの種数が204種になりました.

サイジョウチョウトンボ Rhyothemis regia regia は,2020年9月2日に,西条実氏によって,1オス1メスが,与那国島で採集されたのが初記録となります.台湾から飛来したと推測されています.オキナワチョウトンボの翅の黄色の部分をほとんど濃褐色にしたような色彩のチョウトンボで,10頭ぐらいはいたそうです.和名は,第一発見者の西条氏にちなんで付けられました.

もう一つは,尾園氏らの著作「日本のトンボ」の改訂版が出たことです.細かい点が改訂されているようですが,私にとって一番インパクトがあったのが,分類体系の見直しで,旧版ではムカシトンボが不均翅亜目に分類されていたのが,ムカシトンボ亜目を復活させたことでした.これは世界的な流れのようで,World Odonata List でも,かなり以前からムカシトンボ亜目 Suborder Anysizygoptera を導入していました.当サイトでもどうしようかと迷っていましたが,このたび「日本のトンボ」の改訂版が出たのを機に(といってもかなり遅れましたが),書き換えをすることにしました.

必要なところは直したつもりですが,まだ書き換えが残っているところがあるかも知れません.適時校正していきますので,間違いがありましたらご容赦ください.

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No.804. ベニイトトンボ.2021.8.26.

一月ほど前,「神戸のトンボ広場」にベニイトトンボの報告がありました.その生息池は私の以前からの観察地だと思われ,今日生息を確認しに行きました.この池は2018年の羽化が始まる直前に,幼虫の生息場所の藻がすべて取り除かれてしまい,その日から姿が見られなくなっていました.そしてその後は確認に出かけていなかったのです.今日という時期は,ちょっとベニイトトンボには遅いのですが,せっかくご報告をいただいたので,確認に行ってきました.結果2オスを目撃しました.

▲ベニイトトンボのオス.▲

今年は,ナゴヤサナエの再発見,コシボソヤンマの再来,ベニイトトンボの再発見と続き,ある意味いいことが続きました.今年姿が見られなかったアオヤンマも,来年の復活を期待したいものです.ここのベニイトトンボも,来年もう一度きちんと観察に来ることにします.

これ以外にも夏のトンボがたくさん飛んでいましたが,タイワンウチワヤンマとオオシオカラトンボを載せておきます.

▲タイワンウチワヤンマのオス.▲

▲オオシオカラトンボのオス.▲

ほんの1時間ほどの観察でした.やっと晴れの日が続きそうです.明日あたりからまた人のいない野外へ出ることにします.

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No.803. ダイサギがリスアカネを喰う.2021.8.16.

今日は,連日の雨の中,前線が南へ下がったので,北の方にトンボを見に行きました.やはり曇っていたせいでしょうか,成果はなし.といっても,ちょっとだけ日が射す時間帯があって,その瞬間にトンボたちがすがたを現しました.ウスバキトンボが縄張り活動をしたり,シオカラトンボが産卵したり,リスアカネも産卵していました.そしてヤブヤンマのオスが何度も目の前を行きすぎたり,ギンヤンマが産卵に来たりと,見ている分には退屈しない時間帯がありました.

▲ちょっと日が射したときに産卵にやって来たギンヤンマ.▲

そんなトンボたちをながめていると,ひょっこりダイサギが現れました.私の前方10mぐらいの所を忍び足で歩いて,キョロキョロしています.餌を探しているのでしょう.枯れ枝のところで立ち止まり,首を上に向けたとき何かを捕らえました.リスアカネです.枝先に止まっていたリスアカネを捕らえました.人間だとなかなか手づかみは難しいですが,いとも簡単にパクリとやったのには驚きました.

▲リスアカネを捕食するダイサギ.▲

あまりに突然だったので,カメラの準備が整わずうまく撮れませんでしたが,アカトンボがくわえられているのは分かると思います.さらに餌を探す仕草を続けましたので,ゆっくりと後を追いかけました.止まっているシオカラトンボなどを捕るかも知れません.このダイサギ私のことを無視するかのように,気にせず餌を探しています.そのとき何かをパクリとやりました.口先で何かが暴れています.写真を撮って確かめると,トカゲでした.

▲トカゲを補食するダイサギ.▲

残念ながら,その後もトンボを補食する場面には出会えませんでした.鳥専門にねらっているわけではないので,トンボを補食するシーンには意外と出会いません.そういう意味では,珍しいシーンに出会った気がしました.

短いレポートでしたが,今日はここまでです.

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No.802. コシボソヤンマが帰ってきた.2021.8.11.

昨日・今日と,エゾトンボ系の姿を探しに行きました.昨日は,例年見られるハネビロエゾトンボの姿がなく,今日はタカネトンボを見に,山の池に行くことにしました.結果からいうと,まだタカネトンボには早かったのか,まったく飛びませんでした.池にいたのは,モノサシトンボ,オオアオイトトンボ(周辺),オオシオカラトンボ,そしてオオルリボシヤンマでした.

▲モノサシトンボのタンデム.メスはまだ赤い色をしている.▲

▲モノサシトンボの交尾2連.▲

▲池の周辺のササ原に潜り込んでいるオオアオイトトンボのメス.▲

池では,ネキトンボが羽化をしていました.別の所からもネキトンボの処女飛行個体が飛び出し,合計2頭見つけました.

▲ネキトンボの羽化.▲

オオルリボシヤンマは,1頭が池の上をすばしこく飛んで,摂食をしていました.さらに別の1頭は,産卵にやって来たメスを追いかけていました.まだ8月前半ですが,もうオオルリボシヤンマは産卵をしているのですね.早い感じです.

▲池の上を飛ぶオオルリボシヤンマのオス.▲

▲コウホネの中に潜りこんだメスの上でホバリングする,オオルリボシのオス.▲

▲コウホネの茂みの中でオオルリボシヤンマのメスに接近しているオス.▲

▲産卵するオオルリボシヤンマのメス.翅が傷んでいる.▲

ということで,目的のタカネトンボは今日はあきらめることにしました.11:00に池を離れ,帰りにコシボソヤンマの姿がないか,以前毎年行っていたポイントへ行ってみることにしました.この場所ではこの3年ほどコシボソヤンマの姿を見ていません.以前川が渇水によって干上がり,その次の年から姿がまったく見られなくなったのです.最後の確認は2018年でした.もう帰ってこないかなと思っていたのですが,今日産卵メスに出会いました.

流れをジャブジャブ上がっていくと,その水音で驚いたのか,メスが木の上に方に飛び上がりました.「あっ,いたっ」と,とても嬉しかったです.久しぶりのご対面です.

▲驚かせて飛び上がった産卵していたコシボソヤンマのメス.▲

でも,慌てることはありません.このコシボソヤンマのメスは,20分もすれば,必ず下りてきて産卵を再開します.過去の観察からその確率が非常に高いことを経験しています.

飛び上がってしばらくは.完全に静止した状態でじっとして止まっていました.そして約15分ほど経ったとき,翅を小刻みに震わせ始めました.体を温めているのでしょうか? もう間もなく飛び立つはずです.そして17分後,パッと飛び立ち,左右に行ったり来たりしながら下りてきて,初めに産卵していた木の切り株に止まり,産卵を再開しました.

▲木の切り株に止まって産卵を再開したコシボソヤンマのメス.▲

少しずつ後ずさりしながら,産卵を続けます.一度再開すると,ストロボを焚こうが近づこうが,お構いなしに産卵を続けるから不思議です.2度ほど飛び立ち,産卵場所を変えました.

▲産卵場所を変えながら産卵を続けるコシボソヤンマのメス.▲

このまま彼女に付き合うと,たぶん2時間以上になると思いますので,20分ほどで切り上げることにしました.「あとはだれにも邪魔されず,頑張って産卵を続けてください.そしてその子孫が,またこの場所を飛び回る日が来ることを祈っています.」なんてちょっとキザな言葉を思い浮かべながら,産卵をあとにしました.

▲これから1,2時間は産卵を続けるだろう.頑張ってください.▲

毎年一回は顔を見たくなる兵庫県のトンボたち.コシボソヤンマとは,来年以降もまた出会えることができそうです.

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No.801. 夏の定番オナガサナエ.2021.8.7.

今日は天気予報では曇りですが,隣県の岡山県では朝のうち晴れの予報.だったら兵庫県も大丈夫だろうなどと勝手に決め込んで,夏の定番,オナガサナエの観察に行ってきました.明日から近づく熱帯低気圧が大雨を降らすかも知れない,と予報されているので,川の増水の前にぜひ行きたかったのです.しかし結果は逆,この暑さのせいか川の水が異常に少なく滞留して,いつもの観察ポイントでは,オナガサナエを誘引する水の流れのキラキラがほとんど見られません.そして,オスの姿もまったくありません.オスがこの場所を見放したということは,……,今日は手こずりそうな予感がしました.

一方水が少なくコカナダモがいっぱい茂っていたので,コオニヤンマがたくさん集まっていました.コオニヤンマはこういった藻に卵を貼り付けるのが好きなようです.案の定,一番に産卵に入ってきたのがコオニヤンマでした.

▲コオニヤンマは石の間に隠れるようにして産卵する.▲

いつものことですが,オスがいる川では,コオニヤンマのメスは,オスに見つからないように産卵をします.写真のように大きな石に囲まれた空間に入りこみ,低く飛んで産卵します.

▲腹端に赤い卵塊が見える.それをコカナダモに貼り付けるように産卵する.▲

▲オスは3頭ほど近くにいたが,結局このメスを見つけることはなかった.▲

さて,目的のオナガサナエですが,しばらく待っても飛ぶ気配がありません.そこで,少し移動してオスを探すことにしました.川幅が狭くなって少し流れがあるところへ行きますと,1頭だけオスが止まっていました.

▲流れの石に止まるオナガサナエのオス.▲

そこで,しばらくこの場所で待ってみることにしました.でも,まったくメスが入る感じがしません.今日はダメかな? と思い,また熱帯低気圧の雨の後で水量が増えたときに来るか,などと考えながら,いつもの場所に戻ってもう少し待つことにしました.わずかに水の流れのキラキラが残っているところで待つことにしました.しばらくすると,水面を猛スピードでオナガサナエらしき個体が飛びました.多分メスです.これは来る可能性があると,少し気をよくしたときでした.足下にメスが入りました.やはり水の流れのキラキラがあるところに入りました.

▲産卵にやって来たオナガサナエのメス.結構動きまわって産卵した.▲

気に入るポイントがないのでしょうか,あちこち動きまわって産卵しています.そのうちやっと落ち着いて産卵を始めました.ただこちらにお尻を向けています.位置を変えるために動くと逃げる可能性があるので,横向きになるのを辛抱強く待ちました.

▲産卵を続けるオナガサナエ.1分ほどで産卵を終えて飛び去った.▲

産卵後,2度ほど水浴びをしました.そして飛び立つとき,コオニヤンマに追われました.これは追飛などという生やさしいものではありません.捕食される危険があるのです.オナガサナエは突然飛行を止めヨシの中にポタリと落ちて,じっとしました.

▲コオニヤンマに襲われ,ヨシの中に落ちたオナガサナエのメス.▲

無事逃げることができたようです.

さて,もう9:44で,暑くなってきました.汗はボタボタ流れ落ちています.本来ならあと数頭やって来るのを待つところですが,今日は条件も悪そうですし,オナガサナエはこれで良しとして,他のトンボたちを追いかけることにしました.一つ気になっていたのがギンヤンマです.ここは川ですが,ギンヤンマが行ったり来たりして飛んでいて,タンデムのペアも飛んでいるのです.川で産卵することは珍しいことではありませんが,いちおう記録しておきたいと思い追いかけました.

▲流れに揺らめくコカナダモに産卵するギンヤンマのペア.▲

▲結構近づくことができた.これはほぼノートリミングのサイズである.▲

もう一つこの川に数が多かったのは,ハグロトンボです.例年たくさんいますが,今年は特に多いように感じました.水位が低く,あちこちでコカナダモが顔を出していて,産卵環境が最適な状態なのでしょう.10:00を過ぎた頃から,産卵を始めていました.

▲ヨシの陰でコカナダモに産卵するハグロトンボのメス.▲

このメスはオスの縄張りで産卵していました.オスはときどき周りを飛んでメスを見張っています.ときどき近くに止まって,メスと同調的に翅を開いたり閉じたりします.これはきっと何かのコミュニケーションだと思います.何のお話をしているのでしょうね.

▲産卵するメス(左)の横に止まって,同調的に翅を開閉しているオス(右).▲

これ以外には,セスジイトトンボ,クロイトトンボ,シオカラトンボなどが見られました.セスジイトトンボは以前来たときよりだいぶん数が減っていました.シオカラトンボは流れの上を飛び回って活動していました.

▲セスジイトトンボの成熟したメス.▲

▲クロイトトンボのオス.数はかなり少なくなっていた.▲

▲未成熟のシオカラトンボのオスが,流れの横のヨシ原に潜り込んでいた.▲

ということで,わずか1時間30分ほどの観察でしたが,「生きている川」はトンボを初めとした生き物が生き生きと活動しており,心を安めてくれます.

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No.800. ナゴヤサナエの再確認に.2021.8.6.

仕事と天気のかみ合わせが悪く,この何日かの晴れの日は仕事が入ってでかけられませんでした.明日からは天気が悪くなりそうで,今日がチャンスの一日です.前から懸案になっていたナゴヤサナエをきちんと記録に撮ることを目的に出かけました.

▲紛れもないナゴヤサナエです.よく生き残ってくれていました.▲

朝9時頃現地に到着し,川をのぞきました.ナゴヤサナエが飛んでいました.早速ウェーダーに履き替え,川に入りました.オスは3頭飛んでいました.最初はなかなかピントが合わず,ボケピンの山でした.空がカッと晴れると,ナゴヤサナエが飛ばなくなりました.やはり暑いのでしょうか.しばらく待っていると日が雲に隠れ日射しが弱くなりました.すると再び飛び始めました.

▲まっすぐこっちへ飛んでくるオス.▲

ナゴヤサナエは夏のトンボですが,最近のこの暑さは,彼らたちにはかなり厳しいように思えました.もっと早い時間帯に来るべきかも知れません.などと考えていると,私の方にまっすぐ飛んできたナゴヤサナエのオスが,私のカメラに止まりました.至近距離でのご対面です.しかしカメラに止まられては,記録はできません.

▲目の前でターンしようとするオス.▲

オスは一度だけ岸の草に止まりかけたのですが,そこにいたコフキトンボに邪魔されて,止まりませんでした.残念です.結局最後まで,目の届く範囲では止まることはありませんでした.

▲ナゴヤサナエのオスの飛翔.▲

11:00前まで粘りましたが,やがて飛ばなくなりました.こちらも暑さにやられそうなので,この辺で止めました.夏は林の中でヤブヤンマに限ります.ヤブヤンマを見に行くことにしました.が,残念なことに池が干上がっていました.水がなければヤブヤンマは来ませんので,早々にあきらめました.しかしあと見に行くトンボがありません.

そこで,兵庫県の北西部にタイワンウチワヤンマがやって来ていないか見に行くことにしました.タイワンウチワヤンマは境港市にまでやって来ています.もうそれからかなり経ちますので,兵庫県の北部に入っていてもおかしくありません.ちょっと県境を越え,鳥取県との境目ぐらいの池を4つほどのぞいてみました.まあ,結果はダメでした.池にはリスアカネがたくさんいました.

▲訪れた一つの池.▲

▲活動するリスアカネ.▲

ヤブヤンマを見に行った場所でも,リスアカネはいましたし,産卵もやっていました.

ということで,日向を歩くともうぶっ倒れそうになりますので,この辺で止めることにしました.

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No.799. タイワンウチワヤンマを見に行った.2021.8.1.

タイワンウチワヤンマの産卵をどうしても記録したくて,今日は少し遠出をして,観察をしました.この場所は毎年のように来ているところで,産卵に結構やって来るのです.

▲ときどき飛んで縄張りをパトロールするタイワンウチワヤンマのオス.▲

ここへは毎年8月の中旬にやって来るのですが,少し早いせいか,個体数はあまり多くありませんでした.それでも,メスは4回入ってきました.うち2回は遠くで交尾して雄に連れ去られてしまい,観察はほとんどできませんでした.あとの2回は目の前にやって来ましたが,すばしこく動きまわり,目的の打水の瞬間を写真に収めることはほとんどできませんでした.

▲産卵にやって来たメス.▲

▲打水場所のねらいを定めているメス.▲

▲2回目に入ってきたメス.植物の茎のあるところに打水している.▲

なかなか難しいトンボです.あとはオオヤマトンボが飛んでいました.

▲オオヤマトンボのオス.▲

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No.798. タイワンウチワの産卵観察に行ったが.2021.7.27.

タイワンウチワヤンマの産卵を見たくて,近所の森林公園へ昨日・今日と出かけていきました.タイワンウチワヤンマはウチワヤンマより植生の豊かな池が好みのように思えます.浮葉植物がびっしりと茂った池にもよく入りこんでいます.最近のため池の荒れ方を思うと,人の手で管理された公園の池の方が,景観が素晴らしいです.希少種はなかなか入りこまないのですが,普通種を観察するなら,こういった公園が一番いいように思います.

▲森林公園の池.▲

▲池の畔でメスを待つタイワンウチワヤンマのオス.▲

タイワンウチワヤンマの産卵は,ウチワヤンマと違い,同じ場所で産卵を続けることが少ないようです.ウチワヤンマのように,交尾態で他のオスに邪魔されない産卵場所を探索することをしないからかも知れません.オスはメスを捕まえると短時間で交尾を終え,すぐにメスを放します.

▲短時間の交尾のあと,オスがメスを放した瞬間.▲

メスは二日間で3頭入ってくるのを見ました.そのうち2頭は交尾をしただけですぐに飛び去ってしまいました.産卵をしたのは1頭でしたが,これもオスに追いかけられ,交尾を強要されて,結局は飛び去ってしまいました.

▲産卵に入ったタイワンウチワヤンマのメス.▲

目的は達することができませんでしたが,他のトンボたちは次々に産卵をしてくれました.ショウジョウトンボ,コシアキトンボ,チョウトンボなどです.

▲ショウジョウトンボの産卵.▲

▲コシアキトンボの産卵.▲

▲チョウトンボの産卵.▲

この池には珍しくムスジイトトンボがいました.ムスジイトトンボはどちらかといえば数が少ないクロイトトンボ属です.あとセスジイトトンボもいました.こちらもいないいないと騒いでいたのですが,ことしはちょこちょこ出会えています.アオモンイトトンボの交尾も見ました.

▲ムスジイトトンボのオス.下のセスジイトトンボより青みが強い.▲

▲セスジイトトンボのオス.▲

▲アオモンイトトンボの交尾.▲

まあ,普通種ばかりでしたけど,この池ではムスジイトトンボを探すというのも隠れた目的でした.後日これをねらいにまた来たいと思います.

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No.797. ナゴヤサナエが生き残っていた.2021.7.18.

梅雨明けが宣言され,いよいよ夏が来ました.今日は,夏のヤンマなどを観察に出かけることにしました.目的地へ行く途中,ナゴヤサナエの生息地に立ち寄ることにしました.ナゴヤサナエは,2013年に観察して以来姿を見ることができないままでいました.その後も何度となく観察に出かけましたが,すべて不発でした.ただ,これまでは過去の成功体験に囚われ,夏の終わりから秋口にかけての観察ばかりでした.しかし真夏から出現していることは事実でしたので,今日は梅雨明けの夏一番に行ってみることにしました.

現地に着いて水面を見ますと,ナゴヤサナエらしいトンボが上流に向かって通り過ぎるのを目撃しました.すぐに姿が見えなくなったので,しばらく待ってみました.30分くらいしたとき,また現れました.写真を撮って確認すると,間違いなくナゴヤサナエでした.生き残っていたのです.

▲水面を独特のスタイルで飛ぶナゴヤサナエのオス.▲

これに気をよくし,ウェーダーをはいて,川に入りました.しかしその後30分以上待っても,すがたを現しませんでした.時間が経ち暑くなってきたせいかもしれません.また個体数が非常に少ないようです.これは後日仕切り直しです.もう少し季節が進めば個体数も増えるかも知れませんし….

ということで,次の目的地へ出かけました.夏のヤンマを見る前にちょっとだけ一つの池をのぞいてみました.オオイトトンボ,ショウジョウトンボ,チョウトンボ,シオカラトンボ,キイトトンボなどが活動していました.クロスジギンヤンマもまだ飛んでいました.

▲キイトトンボの産卵.▲

▲池の日陰を選んで飛ぶクロスジギンヤンマのオス.▲

さて,目的はヤブヤンマ.目的地に着いて,しばらく待ちました.オスが2頭入ってきましたが,数回旋回して飛び去りました.1時間ほど待ってもメスは産卵にやって来ませんでした.そこで,池の周囲を少し回ってみることにしました.私が待っていたところと反対側でヤンマが産卵していました.よく見ると,ネアカヨシヤンマでした.ネアカも早い時期から産卵しているのですね.

▲あちこち移動して産卵を続けるネアカヨシヤンマのメス.▲

例によって,あちこちを移動しながら,産卵を続けていました.まだ若いせいか,敏感で,近づくのが結構大変でした.ある程度追いかけ回したら,ヤンマの方も嫌気がさしたのか,産卵を中断して木に止まりました.

▲木に止まったネアカヨシヤンマのメス.▲

最後はこの時期の午後といえば,ヒヌマイトトンボです.今年は産卵が見られるか,というところです.なかなか産卵を見ることができませんでしたし,とにかく暑いので,長時間待つことができません.見に行ったときに産卵をしてくれていないととても体が持ちません.ところが,今日は,ジャストタイミングでした.何年も通って,初めてです.

▲ヨシの林の中で産卵をするヒヌマイトトンボ.▲

小さいので近づきたいのですが,ヨシの中で産卵しているので,近づくことができません.さらにヒヌマイトトンボの産卵中のメスは,モートンイトトンボと同じくらい敏感で,人間の気配を感じるとすぐに産卵を止めてしまいます.実はこの写真のメスは3頭目です.今日は他の2頭のメスも産卵行動をとったのですが,私の動いた気配でどこかへ消えてしまいました.これももっと近づきたかったのですが,もうこのままの位置で撮ることにしました.

▲ヒヌマイトトンボの産卵.▲

産卵観察中,背中に陽が当たり,ものすごく暑いです.長靴に当たる直射日光が強くて,長靴の中の足が痛いほどです.あとで気温を測ると37度ありました.体温より高い気温です.

▲ヒヌマイトトンボのオス.▲

だんだんと息苦しくなり,呼吸も上がって,ふらふらしてきました.熱中症になりかけなのかも知れません.ということで,まだ産卵を観察できるかも知れませんが,ここで終わりにしました.帰りはクーラーをガンガンにかけ,体を冷やしたところ,やっと平常に戻りました.いやはや,命がけの観察ですね(笑).

ということで,今日はおしまいにしました.疲れました.

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No.796. 街中の公園めぐり.2021.7.11.

梅雨明けはまだですが,今日は天気予報と違って,朝から青空が出ていました.そろそろ夏のヤンマが出てきそうですが,ヤンマが見られそうなところは雨の予報.そこで,自宅上空の青空を信じて,街中の公園巡りをすることにしました.ねらいはタイワンウチワヤンマです.そろそろすがたを現す時期になりましたから….

まずは一つ目の緑地公園.公園の駐車場に車を止め,中の池の畔に着くと,早速目的達成です.タイワンウチワヤンマが池の畔で活動をしていました.

▲体色が鮮やかな若いタイワンウチワヤンマ.▲

そのほかには,チョウトンボ,コシアキトンボ,ショウジョウトンボ,シオカラトンボ,クロイトトンボ,ギンヤンマなどが見られました.

▲シオカラトンボのオスとメス.メスは産卵中.▲

▲ショウジョウトンボのオス.▲

次は公園ではありませんが,ずっと以前コフキトンボがものすごい数いた池の様子をちょっとのぞいてみることにしました.この池は本当に住宅街のまん中にぽつんと残された池です.しかし,トンボの姿はほとんどなく,コフキトンボが3頭ほどと,ウチワヤンマ,コシアキトンボ,シオカラトンボが1,2頭見られただけでした.池はプランクトンが大量に出ているのでしょうか,入浴剤を入れたような緑色をしていました.あのコフキトンボの大群は遠い夢物語になりつつあるようです.

▲かろうじて生き残っていたコフキトンボのオス.▲

ということで目的地の親水公園に行きました.ここはガガブタが密に茂っていて,浮葉植物で水面が覆われた池です.田園地帯の池は,外来生物のせいでしょうか,最近は浮葉植物がびっしりと茂る池が激減しています.結局外来生物が侵入しにくい都会の真ん中にある,人の管理が入っている池にこういった水生植物は生き残っています.この池にはクロイトトンボとチョウトンボ,そして隣の池にウチワヤンマがいました.まだタイワンウチワヤンマは出ていませんでした.

▲街中の親水公園で,ガガブタやヒシの葉に産卵するクロイトトンボたち.▲

こういう池は,かつては,トトロの森のような田園地帯にあったものでした.本当に田園地帯は生物的に荒れが目立ちます.

次は,公園ではありませんが,散策路が周囲にめぐらされている,ため池ミュージアムの一つの池です.ここには,チョウトンボ,コフキトンボ,ショウジョウトンボ,ギンヤンマ,アオモンイトトンボがいました.この池に来たのは午後になっていましたので,アオモンイトトンボが産卵をしていました.見ようと思うとなかなか出会えないのに,ちょっと寄ったときには,2頭が目の前で産卵しているんですね.

▲チョウトンボはたくさんいたが,齢がだいぶん進んでいる感じがした.▲

▲アオモンイトトンボの産卵.腹部を大きく曲げるときは翅を開く.▲

街中の池を回るだけでも,結構時間がかかるものです.今日はあと一つにしました.今年何度となく通った,ウチワヤンマとコフキトンボの池です.でも,コフキトンボは数が減っていました.池の外には,若いやや小型のコフキトンボがいて,二化目のように思えました.またウスバキトンボが池の外で群飛していました.

▲まだ若い感じがするウチワヤンマオス.▲

▲コシアキトンボが相変わらず元気である.▲

▲池の外の道路上でウスバキトンボが摂食飛翔をしていた.▲

結局最後まで快晴状態で,半袖で腕が真っ赤に日焼けしました.この時期は本当はヒメサナエやオジロサナエも見に行きたいのですが,豪雨のあとの山中林道は怖いですので,もう少しして水が引いてから行くことにします.

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