No.635. ネキトンボとナツアカネ.2018.9.23.

今日は久しぶりの晴れの予報.ただ,午後からは曇ってくるとのこと.まあアカトンボは午前中が勝負ですからこれでも十分成果は得られそう.ということで,兵庫県の北部へ出かけてきました.ねらいはネキトンボ.そしてうまくいけばナツアカネも見られるかもしれません.

▲今日の空もよう,青空と秋の雲.見た目は良いが,日が隠れるので困る.

現地には9:20に着きました.快晴とまではいかず,太陽は雲に隠れたり出てきたりということを繰り返すような状態です.雲は秋の雲になっています.池を覗きますと,もうネキトンボが産卵をやっていました.日が差さないと樹林に囲まれた池は暗く感じられます.

▲あっちへ行ったりこっちへ行ったり,オスに追われたりと,産卵場所があちこち移動してねらいにくい.

そしてしばらくすると日が差し始め,こうなると一気に数ペアのネキトンボが産卵に入ってきました.そしてこの後,ここを去る10:20まで,産卵が途切れることはありませんでした.一つのペアが産卵しているのはせいぜい数分ですから,30ペア以上は産卵に来ていたと思われます.一度に5,6頭が産卵していることもあったりしました.

▲岸近くにはコナギが生えていて,その中に入り込んで産卵する.

たくさんが産卵に来ると,どれをねらおうか迷ってしまいます.群れになっていると捕食者をうまくかわすことができるらしいのですが,まさにネキトンボにかわされている感じがしました.ですから一つのペアに集中するということはできず,近くに来たものを片っ端から撮影するといった感じです.産卵が終わると,メスは上空へ飛んで逃げます.オスはそれを追いかけますが,たいがいは逃げられてしまいます.

▲岸から離れたところはコカナダモやヒシが生えていて,ネキトンボの大好きな産卵ポイントとなっている.

▲産卵が終わるとメスは上空へ舞い上がる.別のオスがそれを追いかける.

上空へ舞い上がるのは産卵が終わったメスだけではありません.連結したままのペアが上空へ舞い上がることもありました.これはどう解釈すればよいのでしょう.観察した感じでは,メスはもう産卵を止めて飛び上がりたいのだが,オスがそれを放さないというふうに見えました.このペアは再び水面に降りてきて,連結打水産卵を行いました.考えてみれば,オスは連結しているメスの産卵が終わったことをどうやって知るのでしょうね.昨日のマイコアカネでは,産卵する気のないメスを振り回すように打水を試みて失敗するオスを複数見ました.連結産卵はオスメスの同調した動きが要求されるわけですが,考えれば,その同調性,そして終わりの合図など,オスメスのコミュニケーションに関して興味深い疑問が残っています.

▲連結のペアが上空へ舞い上がった.オスは無理矢理引き戻そうとしているのだろうか?.

30分もするとちょっと休憩をとりたくなりました.最近トンボが減ったと嘆いていますが,これだけ産卵密度が高いと,なんか,昔のトンボの濃かったころを思い出しました.休憩中もまだまだ産卵は続きます.

▲とにかく次々と産卵に来るので,何ペアを記録したかまったく分からない.

1時間ほどで,ちょっと産卵のピークが過ぎた感じがしました.十分記録が撮れましたので,「うまくいけばナツアカネ」というプランを実行することにしました.移動する途中に別の池を覗いてみましたら,もうキトンボが止まっていました.まだ腹部が赤くなく黄褐色の状態の若いオスです.同時に,夏の名残のチョウトンボ,二化目が頑張っているショウジョウトンボなどがいました.車を止めていた近くの水田では,アキアカネがいました.そろそろ降りてきて集まりつつあるのですね.あと2週間もすれば,アキアカネでいっぱいになるでしょう.

▲キトンボのオス.池に現れていた.この時期の方がキトンボという名にふさわしい感じである..

▲チョウトンボの生き残り.9月下旬まで生き残っている個体が見られるが,数は激減している.

▲ショウジョウトンボのオス.割合若い個体に見える.おそらく二化目の個体であろう.

▲アキアカネが降りてきていた.まだ数は少なく3,4頭だった.

キトンボとチョウトンボが同時に池にいるという図は,あまり経験がありません.黄色と青紫色の近鉄カラーです.さてここを後にして,例年ナツアカネが来ている湿地へ出かけていきました.11:06に到着.湿地のまわりの草原を歩きますと.オスのナツアカネが単独で飛び上がりました.ホバリングしてこちらの様子をうかがっているようです.

▲草原を歩くと,パッと飛び立ってホバリングする.

ナツアカネはもうここへ来ていました.でももう産卵は終わったのでしょうか.このオスはまだ完全に体が赤くなっていなくて,とても若い個体のように見えます.時期的にまだ早いかとも思いました.諦めずにしばらく待っていると,産卵しているナツアカネを見つけました.予定通りに事が運ぶと気持ちがいいものです.

▲連結打空産卵するナツアカネのペア.2粒の卵が同時に落ちている写真がある.これは珍しい.

空からは強い太陽が照りつけ,こうなるとピントも合わせやすいです.先のネキトンボの大量のピンボケ生産とは違って,ほとんどピントが来ていました.産卵が終わってもう少しうろうろしていると,ノシメトンボのメスが単独で産卵していました.止まったので近寄ると逃げ,もう産卵せず上空へと飛び去りました.ノシメトンボの季節ももうすぐのようです.

▲ノシメトンボのメス.単独打空産卵を行った後止まったもの.

ネキトンボ1時間,ナツアカネ30分と,予定通りに事が運び,昼食をとって,ナゴヤサナエを見に行くことにしました.ただ,昼食をとっているとにわかに空が曇り始め,日が差さなくなりました.まあ様子だけでもということで出かけましたがダメでしたね.河原にナツアカネがぽつんと止まっていました.

▲河原の草地にぽつんと止まっていたナツアカネのオス.

ナゴヤサナエに出会ったのは2013年が最後ですから,もう5年間出会っていないことになります.生息地周辺に大きな工事が入りましたので,生き残っているかどうかが心配です.昨年か一昨年に工事が終わったので,今年行ってみたのですが.シオカラトンボとハグロトンボが飛んでいただけでした.もう季節的にも終わっている可能性はありますので,来年はきちんと調べてみたいと思います.なかなか兵庫県の全種を見守るというのは大変です.

アカトンボの最盛期まで,あと2週間という感じでした.ネキトンボは夏から繁殖活動をやっていますから....

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No.634. マイコアカネとアオイトトンボ.2018.9.22.

今日は,少し前の週間予報では雨でしたが,一昨日あたりから晴れ間が出るとの予報に変わってきました.データ放送で見ると,マイコアカネの生息地あたりは,午前9時から晴れマークになっていました.あまりデータ放送は当たらないのですが,全体に回復基調の天気であることは間違いないので,9:30位に着く予定で出かけました.

▲到着したときにオスはもう水辺に出ていた.マイコアカネのオス.

夏に来たとき水がほとんどありませんでしたので,それを心配していました.現地に着いて,池が満水であったのを見て.ほっとしました.空は重たい曇り空でしたが,遠くの方には雲の切れ間に青空が見えています.気温が25度ほどあったことも幸いしたのか,マイコアカネは池に出ていました.9:50,雲がややうすくなり,そこから薄日が差しました.現金なものでとたんにマイコアカネが産卵に入りました.

▲薄日が差したと思ったらすぐに産卵ペアがどこからともなくやって来た.

▲打水した直後.水紋ができている.水紋の中心の白い物体(点)はおそらく卵である.

▲私が近寄るとスゲの間に入り込み産卵する.

▲スゲの間の水面に打水する.連結打水産卵である.

でもこれもほんのひとときのことでした.再び空広く鉛色の雲が垂れ込めました.しばらく待ってもトンボに動きがありませんので,池の周囲を少し歩いて移動することにしました.すると,この曇り空の下,アオイトトンボが産卵しているのを目にしました.さすが寒地系のトンボ,日が差していない曇り空なんて気にしないのですね.

▲曇り空のもとで,ヒメガマの葉に産卵をしていたアオイトトンボのペアたち.産卵痕が見える.

さらに移動すると,アオイトトンボがすぐ近くで産卵しているのを見つけました.まわりに良い産卵基質になる植物がないのか,次々のこの場所にアオイトトンボが集まってきました.そしてついに3ペアでの産卵ショウを見せてくれました.

▲連結植物内産卵するアオイトトンボのペアたち.

▲アオイトトンボのペア2つが所狭しと産卵する.

▲さらに3ペア目が産卵にやって来た.

▲アオイトトンボのペア3つが,同時に産卵している.

▲産卵して命をつなぐペアもあれば,こうやって自然の食物連鎖に取り込まれていくペアもいる.

移動した先には,ポツポツとマイコアカネのオスが止まっていました.空はまだまだ晴れ間が見えるような雰囲気ではありません.マイコアカネのオスと戯れながら,晴れ間が出るのを待ちました.兵庫県南部全般的に午後からは晴れるということですから,それを信じて12時まではここで粘ることに決めていました.

▲マイコアカネのオス.ここのマイコアカネは近づくのにかなり苦労する.2m位寄ると飛び立つのだ.

そうすると,何と言うことでしょう.12:00を過ぎるとあれほど厚かった雲が,天頂の方から割れ始めました.空気が暖かくなり,日が差し始めたのです.するとあっという間にマイコアカネが産卵に入りました.本当にアカトンボのなかまの産卵は日差しに影響されます.

▲産卵に入ってきたかと思ったが,まったく打水しないペアであった.メスの脚が伸びていることに注目!.

しばらく産卵に入ったペアを追いかけてみましたが,一向に打水しません.それよりオスの動きとメスの動きが逆なのです.オスは水面の方に降下しようとしますが,メスは上空へ逃げようとしているように見えます.どうやらこのペア,メスに産卵する気がないようです.オスも難儀なメスを捕まえたようですね.

▲メスの腹部が背側に反っていることに注目.連結して産卵するのを嫌がっているのだ.

▲こういう急降下姿勢は普通はあり得ない.オスとメスで「へ」の字になって降下するのだ.

▲打水直後のように見えるが,打水の水紋ができていない.打空しているだけなのだ.

▲ついにメスが草につかまって,オスに従うのを止めた.それでもオスはメスを放さなかった.

産卵を追いかけていると,交尾態のペアが入ってきました.交尾は飛びながら行われますが,ときどきは静止します.

▲産卵を観察していると,突然交尾態が飛び始める.メスは単独で入ってきたのを捕まえたのだろうか.

▲交尾状態になっているペアも,なかなか近寄ることができない.本当に神経質だ.

空も青空が広がり,産卵があちこちで見られるようになりました.マイコアカネのペアは割合に神経質でなかなか近寄れなかったのですが,目の前で産卵している2ペアのうち,今交尾を解いた方のペアは割合に近くで産卵をしてくれています.そこで,これを徹底的にマークすることにしました.

▲交尾を解いて産卵を始めたペア.実はこの隣にもう一つ産卵ペアがいたのだが,こちらに乗り換えた.

▲こちらに向かって打水したペア.

▲通常はこのようにオスとメスが協力して,「へ」の字になって下降しようとする.

▲打水した瞬間.

▲そして飛び上がって,....

▲再び打水する.

▲メスの脚はきれいに折りたたまれている.協力して産卵しているときはこうなるのだ.

▲打水した後,水紋ができている.

▲その後も産卵を続けるマイコアカネのペア.

最後まで追いかけた後,ペアは離れて,メスは上空へ飛び去っていきました.飛び去るメスを複数のオスが追いかけていきます.そして産卵はまだ続きます.目の前に交尾態のペアが止まりました.

これを撮影したのが失敗のもと,ISO感度を下げて,シャッター速度を落としたのですが,そのまま次の産卵を撮ってしまいました.おかげでプレプレ,写っていたのは3コマだけでした.このペアもよく見ていると,メスが産卵をしたがらないペアでした.

▲実はこのペアも,メスが産卵を嫌がっているのだ.メスの腹部が背側に反っている.

▲メスは脚を伸ばしもがいているように見える.このオスは産卵を終えたメスを捕まえたのかもしれない.

▲このペアも途中で止まってしまった.そして,この後オスがメスを放した.

ひとしきり産卵ショウが終わると,産卵を終えたメスが目の前に止まりました.また,暑い日差しのもと,オスが腹部挙上姿勢を取り始めました.やっと秋晴れの空になりました.でも,産卵は一時に集中してあっという間に終わりました.

▲産卵を終えてオスに放されたマイコアカネのメスが板の上に止まった.

▲腹部挙上姿勢を取り始めたマイコアカネのオス.

産卵場ではたくさんのギンヤンマが低い位置を旋回しながら飛んでいました.初めのうちはメスを探しているのだろうと思っていました.しかし,実はマイコアカネをねらっていたのです.一頭のオスをあっという間に捕まえたと思ったら,さーっと木の上の方の枝に止まり,もぐもぐタイム.

▲マイコアカネのオスをもぐもぐと食べているギンヤンマのオス.

マイコアカネの産卵場はギンヤンマの狩りの場になっていたのです.道理でマイコアカネの多くが神経質なのが分かりました.ギンヤンマを警戒して,少しの動きにも敏感に反応するように学習していたようです.このように考えると,止まっているオスに近づくが非常に難しかった理由も納得がいきます.でもギンヤンマさん,マイコアカネは数が減っているのであまり食べないでください.

マイコアカネの観察の合間にショウジョウトンボが産卵をしていましたので,ちょっと記録しておきました.

▲水面近くを飛んで,連続打水産卵をするショウジョウトンボのメス.

▲このメスも産卵途中でよく止まる.

さらに,アジアイトトンボやアオモンイトトンボもそこそこの数交尾していました.二化目なのでしょうね.

▲アジアイトトンボの交尾.ここでは,注意深く観察すると,産卵も見られそうである.

▲アオモンイトトンボの交尾.

曇りの空模様に悩まされましたが,最後の1時間で今日の目的を果たすことができました.この後ミルンヤンマを見に立ち寄りましたが成果はなく,今日はここまでとしました.

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No.633. ミヤマアカネの産卵.2018.9.18. -Part.1

2週間ほど観察に出なかったので,昨日一昨日ともうすっかり秋のトンボに様変わりしていたのを感じました.アカトンボの季節に入っているのですね.アカトンボとして割合に早い時期に繁殖活動を始めるのがナニワトンボとリスアカネ.そこでこれをまず片付けました.今日は,これまたやや早い時期に繁殖活動を始めるミヤマアカネを見に行くことにしました.帰り道にオオルリボシヤンマが見られる池があるので,これをついでに見に行くことにしました.

▲今日のメインターゲット,ミヤマアカネ.私は地味なメスの色彩の方が好きである.

▲ミヤマアカネのオス.正面から撮ってみた.

ではまずミヤマアカネから.現地に着いたのが9:30ころでした.早速川を覗くと,ミヤマアカネが連結状態になって産卵をしている姿が上から見えました.ここのミヤマアカネは川の個体群ですので,実は非常に心配していました.それは,西日本集中豪雨がちょうど羽化期の前後に当たり,幼虫が流されてしまったのではないか,さらにまた台風20号,21号の風と豪雨,その後の長雨と,川が相当に荒れた時期があったからです.最初産卵ペアを2組見た後,ポツンポツンと止まっているミヤマアカネが川の上から見えましたが,以前のように群れている感じではありませんでした.丹念に様子を確認しながら川を上っていって,浅い側流のある部分を見つけ,そこを覗いてみますと,またペアが産卵していました.ここに決め,川に降りました.

▲川の上から見つけたペア.岸近くの植物の中で産卵をしている.

先ほどのペアは,川岸に近い部分で,打水産卵をしていました.9:44です.結構大きく移動しながら産卵するので,動きが予想しづらく,うまく記録が取れません.それに空には雲が広がっていて,どうもすっきりとしません.オスやメスの単独個体はそこそこ見られましたので,次の産卵に期待することにしました.ふと横をペアが横切りました.交尾個体です.産卵はまだまだこれからということを予感させてくれました.9:51です.

▲交尾ペアがやって来て静止した.空は曇っている.

近づくとこの交尾ペアは飛び立ち,場所を移動しました.この交尾が終われば産卵を開始すると思われるので,後をついていきました.別の所に止まってしばらくすると日が差してきました.ミヤマアカネの輝きは,太陽直射光の下でないとその本領を発揮しません.

▲別の場所へ移動したとき,日が差してきたので,そこをもう一枚パチリ.

いつまで待っても交尾が終わりそうもないので,止まっている個体の記録を撮っていると,産卵ペアがやって来ました.先ほどの交尾ペアでしょうか.日が差してきたこともあるのでしょう,その後も産卵ペアが途切れずにやって来ました.入れ替わり立ち替わりあっちへ行ったりこっちへ行ったり,もうどのペアを撮影しているのか分からなくなりました.

▲右へ左へ移動して産卵を続けるミヤマアカネ.

▲これはこの後急降下して打水する直前の姿勢である.オスが産卵動作の主導権を握っているのが分かる.

▲打水直前の状態.水面に水紋ができていないので打水直前であることが分かる.

▲翅のバンドが本当に可憐さを際立たせている.

そんな間にも交尾個体が一つ二つとやって来ます.だいぶんミヤマアカネの数が増えてきたように思えました.浅い側流のあるこの場所を選んだのは正解だったようです.産卵ペアの中には,例によって私の陰に入って産卵するものがいました.股の下をくぐるようにして産卵するので,真上からの撮影になります.

▲私の股の下で産卵するペア.

▲交尾カップルや連結で止まるカップル,川は賑やかになってきた.

ひとしきり撮影をしましたが,いつの間にか空はどんより曇り空.ストロボ光に頼った撮影になっています.曇ってきたせいか,トンボの動きが少し鈍りました.私も一休みです.

そんなとき,川の横を一人のご婦人が通りかかりました.私に向かって「ミヤマアカネですか?」と聞かれました.まさかトンボの名前を知っているとは思いもよりませんでしたので,思わず「トンボを見ています.」とちょっとちぐはぐな返事をしてしまいました.続けて「いますか?」と聞かれたので,「今年は大雨や台風で川が氾濫するほど荒れたので心配していましたが,たくさんいます.」と答えました.すると,「よかった.」と言って立ち去られました.この川のミヤマアカネ,地元の人もよく知っているんですね.地域のみなさんに愛されているのかもしれません.

さて,まがりなりにも記録も取れたし移動しようかと思ったとき,空から太陽が顔を出し,さらに日向のやや流れの速い部分で産卵するペアが入りました.やっぱりミヤマアカネは太陽の日差しの中でこそ美しさが生えますので,このペアを徹底的に記録することにしました.

▲やや速い側流の部分で産卵をしようと飛んでいるペア.

▲草の間を飛んだり,私の足下を飛んだり,とにかく日向で飛び回るペアであった.

日向の明るさもあって,ピントも合わせやすく,たくさんの記録が取れました.特に打水する瞬間をねらったのですが,これもうまくいきました.

▲例によってこれから急降下する直前の姿勢.

▲とにかく足下を飛ぶので,打水の瞬間も真上からになる.

▲草の間にもぐり込みながら産卵を続ける.

▲打水後飛び上がってきたところ.

▲打水の瞬間.日が差していると水の透明感が際立つ.今日いちばん気に入っている写真.

▲本当に足下から離れないので,見下ろすアングルになるが,水の輝きが入るのでまあいいか.

▲再び打水の瞬間がヒット.やはり写真は明るいところで撮るに限る.

▲その後も産卵は続く.産卵を見始めてから5分経過している.

このペアはやがて,オスがメスを放しました.ほんの少しだけ,オスが警護しメスが産卵するような仕草が見えましたが,メスはすぐに静止しました.すると,オスがこれを見て怒ったのか(あくまで擬人化),止まっているメスのすぐそばで翅を激しく震わせながらホバリングを続け,産卵を催促しているようでした.仕方なくメスは飛び始めました.オスは再び警護飛翔的な動作をしましたが,メスは産卵せずまたすぐに止まりました.すると今度は,このオスはメスにつかみかかり,メスを引き剥がそうとしました.メスはオスに引っ張られてオスもろとも落下しました.このオスよほど警護産卵がしたかったのでしょうね.それならメスを放さなかったらよかったのに….まあ強引なオスもいるものですね.

▲オスがメスを放した.その後警護産卵的な動作が少しの間見られた.

▲止まったメスのそばでしつこく翅を震わせてホバリングする警護オス.

▲もう一度,オスは警護飛翔的な状態になった.

▲ついに堪忍袋の緒が切れたか,オスはメスにつかみかかった.

▲オスはメスの頭をつかんで,草からメスを引き剥がそうとした.

▲これにはメスもたまらず,オスもろとも落下した.

▲メスはたまらず飛んでオスから逃れた.

オスはやがて諦めてメスのそばを離れました.そしてオスの邪魔が入らないと分かったとき,メスは単独産卵を始めたのです.オスとメスの駆け引き,面白かったですね.

▲オスがいなくなったとき,メスは単独で流れの上を低く飛び始めた.

▲そして,少しの間産卵をしたのだ.

▲産卵を終えて,草に止まり,休息した.

メスの産卵は短時間で終了し,しばらく静止した後,どこかへ姿を消しました.ミヤマアカネは,成熟・未熟,オス・メスを問わず,流畔の草むらで同所的に生活しています.ですから他のトンボのように,上空へ飛んで逃げていったということは起こらないのです.この点コフキトンボと似ています.

さて,今日は次のオオルリボシヤンマの観察があるので,ここで昼食をとり,移動することにしました.移動しようと川を歩いていると,まだ交尾しているペアがいました.10:40,まだまだこの後繁殖活動は続くようです.

▲帰り際に見つけた交尾カップル.まだまだ産卵は続きそうだ.

最後にミヤマアカネのオスの顔拡大写真で Part  1 を締めくくります.全体に赤っぽくてリンゴの実を見ている気がします.

▲ミヤマアカネのオスの顔の拡大写真.

では次はオオルリボシヤンマです.(Part.2へ続く)

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No.632. オオルリボシヤンマの産卵.2018.9.18. -Part.2

今日は2カ所に出かけてきました.ここで紹介するのはその2カ所目です.ミヤマアカネの観察を終えての帰り道,三度目の正直,オオルリボシヤンマを見に行きました.過去2回はオオルリボシヤンマの産卵に巡り会えず,タカネトンボに出会っただけでした.さて,今日はどうでしょう.

現地に入ったのは12:20です.池に入ると,コウホネの間からオオルリボシヤンマのメスが浮き上がるように飛び立ちました.いました.そして池を回ってみると,開水面のある部分で,4頭のメスが産卵を行っていて,これもまた産卵を中止し,少し飛び上がってホバリングしました.

▲3mほど横を通っただけで,産卵を一時中止し,飛び上がって様子を見る.

▲飛び上がるとホバリングするので,オートフォーカスで写真が撮れる.

まあこれは儀式みたいなもので,こちらが動かずじっとしていると,すぐに水面に下りて産卵を再開します.

▲開水面で産卵をするオオルリボシヤンマたち.全部で3個体が写っている.

メスが複数いると警戒心がやや緩む傾向が見られます.できるだけ近づきたいので,よく止まる基質のあるところの近くに陣取って近づくのを待つことにしました.しかし警戒してなかなか近くの枯れ枝のあるところにやって来ませんでした.まあこんなものかと思って,場所を変えました.うまいことに岸近くで産卵している個体があったのでそっと近づいて近距離で撮影ができました.

▲岸近くで産卵してくれたオオルリボシヤンマ.枯れ葉の上に止まっているが何に産卵しているのだろう.

▲スギの葉に産卵するオオルリボシヤンマ.

▲朽木に産卵するオオルリボシヤンマ.

この後,近くに源流域があったので,ミルンヤンマを探しに行きましたが,まったく姿はありませんでした.そして再び池に戻ってきましたら,今度は目の前のアサザの群落のところで産卵する個体がいました.この個体はあまり神経質ではなく,40cmくらいのところでストロボを焚いてもまったく動じませんでした.

▲目の前で産卵したオオルリボシヤンマ.こういう個体は助かります.

▲アサザの葉の表面に産卵するオオルリボシヤンマ.

至近距離で撮ったので,最後に顔写真で締めくくります.この写真を撮ったとき,正体不明の黒いヤンマが入りました.よく見るとルリボシヤンマのオスでした.コウホネの間にもぐり込んだり,岸近くの水草の辺りを丹念に見回しながら飛んでいます.メスを探しているのです.

▲オオルリボシヤンマのメスの顔.

そうそう,おまけを一つ.昨日から静止個体の写真を撮ると,どういうわけかシャッターを切った瞬間に飛び立ってしまい,飛び立つ瞬間が記録されていました.今日もまたそれが起きました.相手はオオアオイトトンボ.ここの池オオアオイトトンボがたくさんいるようです.

▲オオアオイトトンボが飛び立った瞬間.下に落ちるようにして飛び立っている.

また秋が深くなったらオオアオイトトンボを見に来てみることにします.うまくいけば,ここでルリボシヤンマも見られるかもしれません.一石二鳥をねらって観察に来てみましょう.今日は両方合わせても4時間ほどで観察が終了.トンボが予定通りいてくれると,短時間で観察が終えられます.

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No.631. リスアカネとマユタテアカネと.2018.9.17.

「チャンスは徹底的に攻めろ」とはいつもの口癖です.今日は昨日の池にもう一度出かけることにしました.リスアカネやナニワトンボが飛ぶこの時期に,水が落とされ,なんとか日が差す時間があり,そして何よりそこにリスアカネとナニワトンボが数多く集結している.これをチャンスと言わずしてなんと言いましょう.今日は,メインターゲットをリスアカネにして,記録を撮ることにしました.なんせ,ナニワトンボとリスアカネはセットみたいなものですから.

リスアカネは,ナニワトンボより少し時間的に早く池にやって来ます.9:30くらいに池に入りました.今日は昨日より雲が厚く,まだ日が差していません.少しすると雲がうすくなり薄日が差してきました.とたんに,リスアカネが産卵に入りました.9:54です.

▲9:54,本日最初のリスアカネのペアが産卵に入ってきた.割合に神経質で近づくのが難しかった.

アカネ属は,日陰で産卵するものでも,日が差しているときの方がよく産卵にやって来ます.これなどはまさにそれです.撮影を終えて少ししたときに,マユタテアカネが交尾態になって飛んでいるのを目にしました.次はマユタテアカネを記録することにしました.

▲マユタテアカネの交尾.オスの赤とメスの黄色とヒメコウホネの葉の緑がいいコントラストをつくっている.

交尾を終えるとすぐに産卵を始めました.地層の間から湧き水が出ていて,水落をした池底に小さな流れをつくっています.その湿地状の流れのところで産卵を始めました.

▲10:08,マユタテアカネの産卵.湧き水でできた池底の流れで産卵している.

今日のマユタテアカネは割合に明るいところで産卵していたので,ピントは合わせやすかったです.今日も打泥するところを集中的にねらい,うまくメスの腹端が水中に突き刺さっているところを撮ることができました.とにかくマユタテアカネは打泥のストロークが高いので,どこに打ちつけるか勘でシャッター切るしかありません.下の写真がその瞬間です.

▲メスの腹部先端が水に突き刺さっている瞬間.マユタテアカネ.

さて,マユタテアカネの産卵が終えるやいなや,次のリスアカネの産卵ペアが入ってきました.最初のペアは割合に神経質で,近づくことが難しかったのですが,今度のペアは近づいてもあまり一気に逃げるというような行動は取りません.

▲10:12から10:14までの間産卵を続けていた,本日2組目のリスアカネのペア.

このペアは,産卵の最後の方で連結を解き,警護産卵に切り替えました.全くの偶然でしたが,オスがメスを放す直前の姿勢が写真に写っていました.オスが上方に向かって離れようとしているのでしょう.オスの体がメスに対して直角に上を向いています.

▲リスアカネのオスが連結を解こうとしている瞬間.オスは上の方に飛ぼうとしている.

その後,一定の距離を取って,オスはメスを見守っています.これもちょうどいい位置で飛んでくれたので,オスとメスの両方にピントが来ました.こういうことってなかなかないのですけどね.

▲連結産卵から警護産卵に移行した.メスの腹端から卵が落ちている.

▲ホバリングして警護しているリスアカネのオス.

▲その下方でメスは単独産卵を続ける.

その後,メスは単独産卵を続け,しばらく後に飛び去っていきました.そのときナニワトンボのオスがメスを捕まえて樹上に飛んで行くのを見ました.木の上で交尾しています.10:25,足下でナニワトンボが産卵しているのを見ました.これ,先ほど交尾していたペアかもしれません.短時間で産卵を終えてメスは飛び去っていきました.

▲10:25,ナニワトンボが足下で産卵をしているのを見つけた.

その後2ペアほどリスアカネの産卵が見られました.今日はハンディのビデオカメラを持って行っていたので,リスアカネの産卵を至近距離まで寄って撮影してみました.この産卵ペアは人なつっこいペアでしたが,やはりさすがのリスアカネもそこまでは寄せてくれませんでした.もう一組のペアは超神経質で,近づくことすらままなりませんでした.

空が曇ってきました.こうなるとアカネ属のトンボたちの動きは鈍くなります.今までかろうじて薄日が差していたのに,これでは待つしかありません.11:09,次の産卵ペアが入りました.最後は例によってオスがメスを放して単独産卵に移行.このオスは警護をしませんでした.そしてメスはすぐに産卵を終えて飛び去りました.

▲11:09,産卵に入ったリスアカネのカップル.本日5組目だったと思う.

記録も十分取れたし,時間的にもそろそろ引き上げることを考え始めたときでした.ナニワトンボが単独産卵をしているのを見つけました.普通はこういうメスをオスが見つけて交尾し,連結産卵をすることになるのですが,このメス,最後までオスに見つかることなく単独産卵を続けました.なんせ,地面すれすれで産卵しているので,なかなか目につきません.産卵を終えた後,しばらく静止して飛び去りました.疲れたのでしょうか….

▲11:16,足下で単独産卵するナニワトンボのメス.砂利の色に同化してなかなか見分けにくかった.

▲約3分間,あちこち移動しながら産卵を続けた.

▲産卵が終わって静止した.メス単独では疲れるのだろうか,連結産卵では静止はあまり見かけない.

ということで,今日は引き上げることにしました.最後に止まっているオスを撮影してからと思い,リスアカネとナニワトンボのオスに向かってシャッターを切りました.でも面白いことに,ことごとく,シャッターを切った瞬間に飛び立ち,その飛び立った瞬間,あるいは飛び立とうとした瞬間が写ってしまいました.不思議なこともあるものです.

▲いずれも飛び立とうとする瞬間のリスアカネのオス.

▲いずれも飛び立った瞬間のナニワトンボのオス.どちらも同じような姿勢をしているのが面白い.

さて,明日はどこへ行こうか….

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No.630. ナニワトンボの観察.2018.9.16.

いやはや,9月に入ってからの天気は大変なものでした.台風21号が9月4日上陸し,その後は長雨,そしてどんよりとした曇り空の連続でした.唯一晴れたのが台風前後の3日,5日で,また10日にも晴れ間が見えましたが,なんとこれらの日は仕事が入っていて観察できず.天気とこちらのスケジュールが合わず,半月観察がストップしました.

まあ愚痴を言っても仕方ないので,今日は気持ちを入れなおして,ナニワトンボの観察に出かけてきました.ただ,2個の大型台風とその後の長雨で降水量が大幅に増え,例年ならこの時期の各地のため池はたいがい水を落としているのですが,今年はほとんどのため池が満水状態.ナニワトンボは水落をしたため池にやって来るので,今日は水落をしているため池探しから始めなければなりませんでした.とりあえずよく行くため池を覗きました.しかし満水で望みなしなので,その近くのため池を見て回りました.この池のナニワトンボがそちらへ避難している可能性があるからです.案の定,同じ谷続きの池の一つが水を少し落としていました.

▲満水状態が多い中,ナニワトンボ的な環境が現出されているため池の岸辺.

環境的にはナニワトンボがいても良さそうです.現にオスが3頭ほど姿を見せていました.ただ,池岸が濡れていて,沈水植物のオオフサモがまだ半乾きの状態で岸の上に横たわっていました.2,3日前に水が落とされたという感じでした.

▲樹木の陰に止まってメスを待つナニワトンボのオス.非常に敏感で近寄り難かった.

現地到着は10時前,産卵はだいたい10時半くらいに始まります.しかし待てども待てども,ナニワトンボは産卵にやって来ません.岸で縄張りを持っていたマユタテアカネがメスを見つけ,交尾,産卵をしてくれました.

▲樹陰で縄張りを持っているマユタテアカネのオス.

▲メスが入って,このオスがそれを捕まえ,交尾となった.マユタテアカネの交尾.

▲交尾後すぐに産卵を始めた.マユタテアカネは打泥のストロークが大きく,撮影が非常に難しい.

▲打泥の瞬間.今日はこればかり狙ってシャッターを切ったが,唯一ピントが来た1枚である.

あと,リスアカネがやってきたり,アオイトトンボやギンヤンマが水面に落ちていたり,それなりに待っている間にいろいろなことはありました.ギンヤンマは助けてあげて,羽が乾くように木に止まらせました.

▲リスアカネもいても良さそうな環境であるが,このオス1頭だけが姿を見せていた.

▲他のトンボに追われたのだろうか,アオイトトンボが水面に落ちてもがいていた.

▲このギンヤンマのメスは,水面に落ちたのを見ていないので,かなり長い間この状態だったものと思われる.

▲助けてあげて木に止まらせた.頭を掃除している.

池では,クロイトトンボ,アオイトトンボ,ギンヤンマが飛び交っていました.またタイワンウチワヤンマもいましたしチョウトンボの生き残りがオオフサモの群落の中で産卵していました.水落をして時間が経っていないのでまだナニワトンボが集まってきていないのだろうかなどと考えながら,12時まで待ち,この池を後にしました.気温はだんだんと上昇してきて青空が広がりはじめています.こういうときは諦めないことが肝心なので,近くに水落をした別の池はないか探しましたら,林の影にほとんど水がない池がありました.思わず「しまった」と心の中で叫んでしまいました.

▲移動した先のため池の岸辺の状況.大きく水が落とされている,というか抜かれていた.

まあ,とりあえず池に入って林縁を歩いてみましたら,ナニワトンボがたくさん飛んでいます.こちらで待っていたらよかったと後悔したことはいうまでもありません.

▲ここのナニワトンボは日向に止まる個体が多かった.

▲あちこちに止まっているオスの姿が見られた.

▲ナニワトンボの顔面には,マユタテアカネのような眉斑がある.

▲腹部の先端に障害があるナニワトンボのオス.

▲青い赤とんぼの名にふさわしく,本当に青い(青白い).

いやはや本当にやられました.ロケハンはていねいにやらねばなりませんね.最初に見つけた池があまりにナニワトンボの生息環境的だったので,一も二もなくそこに決めてしまったのですが,こちらの池が正解でした.でも,諦めずにこの池にたどり着いたことが幸いしました.1ペアのナニワトンボが産卵をしにやって来たのです.12:30です.時間的にはもう本日最後の産卵でしょうね.

▲水落としされたため池の岸で産卵を始めたナニワトンボのカップル.

▲羽の動きを同調させて,見事に連結飛翔をするナニワトンボ.

▲卵を撒くときは,体を下方に振る.

▲結構よく動き回って産卵する.

▲メスにもオスと同様の眉斑があることが分かる.

▲池岸の縁の方に向かって移動していく産卵ペア.

▲池岸の縁の壁になった部分の前で産卵を続ける.卵が落ちているのが分かる.

このペアは途中でオスがメスを放し,連結産卵から警護産卵に移行しました.昨日遅くまで映画を見て起きていたのが災いし,目がしょぼしょぼしてピントが合いません.大量のピンボケを出してしまいました.撮影するのは難しいトンボではないのですけどね.

▲オスが突然メスを放した.連結産卵から警護産卵への移行である.

▲オスはメスの後を追うように寄り添って産卵に付き合う.メスの腹端から卵が落ちている.

▲単独産卵になると,上下の振れるような動きは小さくなり,ほぼ水平状態で産卵を続ける.

▲卵を撒くときにわずかに腹部を下に振る.卵が落ちている..

▲ホバリング状態での産卵.

▲卵が腹部先端から落ち始めた瞬間である.

ということで,なんとか目的を果たし,13:00ころに池を後にしました.

この「諦めない」という言葉は,先日NHKテレビでやっていた昆虫写真家栗林慧さんののドキュメンタリーで,栗林さんが言っていた言葉です.何日も諦めずに写真を撮る姿が描かれていました.私などとても足下にも及びませんが,「写真を撮るなら絶対に諦めない」というのには共感しています.

9月の前半が飛んでしまい,この後もあまり天気予報は芳しくありません.9月中に観察したいトンボがまだたくさん残っています.これから,ペースを上げていかねばなりません.最後にナニワトンボの顔で締めくくります.

▲ナニワトンボオスの顔面.

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No.629. オオルリボシヤンマを見に行ったが...2018.8.31.

私的トンボ暦の夏の最後の日です.今日はもう一度オオルリボシヤンマを見に行くことにしました.道が途中でまた通行止めになっていて,回り道して到着したのが14:00ころでした.オオルリボシヤンマは結果的にやって来ませんでした.オスが上空で摂食飛翔しているだけでした.

▲上空の梢の間で摂食飛翔をするオオルリボシヤンマのオス.

代わりといっては何ですが,前回と同様,タカネトンボが産卵にやって来ました.2回産卵に入りました.1回目は気づくのが遅れ,すぐに逃げられてしまいました.2回目はコウホネの中にもぐり込んでの産卵.私も大胆にコウホネの葉をかきわけて撮影しました.意外と逃げないものですね.

▲最初に入ってきたタカネトンボのメス.右に見える苔むした岸壁に卵を飛ばす.

▲上4枚はコウホネの間で産卵するタカネトンボのメス.

というわけで16:00ころまで待っていましたが成果は以上でした.そうそう,ヤブヤンマのメスが池に入ってきて,産卵場所を探すような飛び方をしましたが,結局産卵に至らず飛び去ってしまうということがありました.まだヤブヤンマ生きているんですね.対して,以前見られたオオシオカラトンボやモノサシトンボは姿を消していました.近くにはアカトンボの姿も全くなく,静かな山の池でした.

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No.628. 近所まわり,2018.8.26.

今日は,自分のあしもとのトンボ調査をしてみることにしました.家から歩いて出かけ,一万から一万五千歩程度の範囲のトンボ調査です.歩数計を身につけて歩き,近くの池や川の近くの小径を歩いて,主にアカトンボがいるかどうかを調べました.

まず最初のコンクリート三面貼りの川,シオカラトンボ,オオシオカラトンボ,そして,ハクセキレイ?(鳥の名前はよく分かりません)がハグロトンボを加えているのに出会いました.

▲ハクセキレイ?が,ハグロトンボをくわえている.

▲三面貼りの川に突き出た枝の先に止まるオオシオカラトンボ.

鳥はトンボを食しますが,口にトンボをくわえている場面には,意外と出会いません.家から5分のところでこういうシーンに出会えるとは,ラッキーです.そのまま30分ほど歩き続け,近くの環境のよいため池に着きました.ガガブタが満開で,タヌキモも花を咲かせています.ギンヤンマをはじめとしたトンボたちも飛び回っていました.ただ,住宅街のため池は,子どもたちが簡単に入れないように,高い柵をしています.今日は長靴も持ってきていませんので,遠くからながめるだけにしました.ただ,柵のすぐ近くの草むらに,タイワンウチワヤンマのメスが止まっていました.

▲家の近くの,比較的環境のよい池.

▲タイワンウチワヤンマのメスが止まっていた.

この池を目指した理由は,この近くの池に,むかしナニワトンボがいたからです.その後姿を消しましたが,また来ていないかという期待があったからです.もう一つはマイコアカネです.写真の池に生息していて,その未熟な個体が池の横の小径の木陰によく止まっていたのです.まだ生き残っていれば,今日出会えるかもしれません.

▲マユタテアカネのオス.木陰にたくさん止まっていた.尾部付属器も赤みを帯び成熟が進んでいる.

▲マユタテアカネのメス.ノシメ斑があるタイプ.飛び立とうとする瞬間である.

▲マユタテアカネオスの顔面拡大.前回撮影し忘れた.名前の由来の眉斑がある.

まずはマユタテアカネを見つけました.最初はなかなか目につきませんでしたが,1頭見つけると,次々に目につくようになります.もう腹部も赤くなり,出番を待つばかりの状態になっています.そして,目を凝らすと,その中にマイコアカネが混じっているのを見つけました.メスの方が多く見つかりました.生き残っていたのですね.上の写真の池のヒメガマの群落内で繁殖活動を行うのでしょうね.

▲マイコアカネのオス.まだ若干成熟に達していない感じである.

▲マイコアカネのメス.

▲マイコアカネのメスには,小さな眉斑がある.

さらに木の枝の先端に止まっているトンボはいないかと探してみましたら,リスアカネが止まっていました.リスアカネとナニワトンボはセットみたいなものですから,ナニワトンボもいる可能性があると期待感が膨らみました.

▲リスアカネのオス.

▲リスアカネの顔面拡大.特に特徴的な模様はない.

その後小径を山の方に向かって歩いて行きました.池の横を通ると,必ずと言って良いくらいマユタテアカネがいました.しかし,ナニワトンボは見つかりませんでした.

▲小径の木漏れ日の中で,腹部挙上姿勢をしているマユタテアカネのオス.

池のそばの小径での観察を終え,川の方に下りてみました.川は濁っていて,何もトンボが飛んでいません.川のそばの水田にもほとんどトンボの姿がありません.水田は,先日の台風のせいでしょうか,水がたくさんたまっていて,コナギが生え,トンボが好みそうな湿地状態になっています.稲はもちろん植えられていますが,それでもこんな環境でもトンボがまったくいないというのは,本当に水田地帯はトンボのすみかでなくなったと感じます.そんなことを考えながら歩いていると,やっとのことで,シオカラトンボを4頭ほど見ました.

▲イネの葉に止まるシオカラトンボ.水田地帯ではトンボの数が本当に少ない.

川の方は,本流に流れ込む小さな流れにハグロトンボが2頭ほど飛んでいるのを見ただけでした.大水が流れたようで,川底が荒れていて,こういった支流に残されたツルヨシの群落にハグロトンボがしがみついているのでしょう.川の堤防の上にシオカラトンボがいました.

▲川のそばの小径に止まっているシオカラトンボのメス.

今日は,全部で14,535歩,約10km歩きました.家の近くにもまだトンボはたくましく生き残っていることを再確認しました.マイコアカネがいたのがよかったです.

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No.627. アオモンイトトンボのカニバリズム.2018.8.25.

台風一過とはいかず,昨日も一日中風の強い日でした.ときどき晴れ間は見えましたけど,トンボを見に行く気にはなりませんでした.今日は風も弱まり,青空が見えています.前回アオモンイトトンボの産卵が見られなかったので,今日は時間を早めて12:40ころに池に行ってみました.

▲アオモンイトトンボ.水色のアンドロモルフ(雄色型)のメス.産卵しているメスは目につかなかった.

でも,やはり,産卵している個体が見当たりません.メスはいずれも摂食しているばかりです.オスもたくさん飛んでいました.まあ,それでもめげずに探し回りましたら,1頭だけ産卵しているメスを見つけました.非常に小型で,多分二化目の個体と思われます.写真では大きさが分かりませんが,後ほどそれは明らかになります.

▲やっとのことで,産卵しているメスを見つけた.アオモンイトトンボ.

▲写真では分からないが,かなり小型の個体である.おそらく二化目である.

▲あちこち移動しながら産卵する.

▲上の方から見ると,背景の色に同化して,保護色になっているのが見て取れる.

さて,小さいながらも,場所を次々に移動しながら,一生懸命に産卵を繰り返しています.まわりの普通サイズのメスは,食べてばかり...とそのとき,別のメスが視界を横切ったと思ったら,産卵しているメスに食いついて水面に転がり落ちました.

▲産卵メスを突然襲った不幸.大きさがかなり違うのが分かるであろう.

あーあ,共食いだ.上の写真を見れば,その大きさの違いがはっきりすると思います.食いついた方が普通サイズのメスで,食いつかれた方が産卵していた小型のメスです.アオモンイトトンボは結構獰猛なことは知っていました.よく他種のイトトンボを食しているのを見かけます.餌食になるのは小型のイトトンボが多く,ヒヌマイトトンボやアジアイトトンボなどを見たことがあります.

▲前バネのつけ根に食いついている.まずは飛べなくする魂胆なのだろうか.

▲食いつく位置が少しずつ上に上がっていっているのが分かる.

▲食いつかれたメスは腹部をまるめてもがいているが,まったく効果なし.弱点を知っているようだ.

▲さらに食いつく位置が上にいった.体の一部に穴があいている.

▲食いつく位置がとうとう首もとまでやって来た.

まあ,同種のメスを食べてしまうなんて,種の繁栄という視点からいったらめちゃくちゃな感じです.小さいので同種と気づかないのか,普段から同種でも平気で食べているのかは分かりません.上の最後の写真から7分後,頭と胸の半分がなくなっていました.捕食者のおなかの中に入ってしまったのでしょうか.もうこれ以上見る気もしませんでしたので,観察を終えました.

▲7分後,とうとう頭と胸の上半分がなくなってしまった.

カニバリズムはコオニヤンマやシオカラトンボなどでも見ることがあります.カニバリズムが進化の過程で淘汰されずに残ってきたのは.餌が少ないときには共食いしてでも強い個体が生き残って子孫を残す方が良い,といった生存戦略に基づくものかもしれませんね.

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No.626. ショウジョウトンボとアオモンイトトンボ.2018.8.22.

今日は同じ場所に午前と午後の二回,出かけました.まずは午前の部です.

夏の終わりには,いくつかのトンボに面白い状況が見られます.それは,二化目のトンボたちです.そういったトンボたちは,今頃未熟な個体が結構多く見られるのです.そんな中にショウジョウトンボがあります.飼育による卵期間,幼虫期間は,それぞれ6日,69日というデータがあります(関西トンボ談話会,1984:近畿のトンボ)から,温度にもよりますが,この時期に二化目が羽化してくる根拠には十分なり得ると思います.

▲ショウジョウトンボのオスは,このようにアオミドロが浮かぶような環境でメスを待っている.

ショウジョウトンボはアオミドロなどの浮かんだ水面によく産卵します.そしてその中で幼虫が生活しています.以前幼虫調査をしているとき,コンクリート貼りの深い池に浮かぶヒシの根,もちろんこれは水中に浮かんで漂っている根ですが,その根にショウジョウトンボの幼虫がしがみついていたのを観察したことがあります.また,ビオトープ用トンボ池の調査でも,アオミドロの中にたくさんのショウジョウトンボが潜っていました.ショウジョウトンボは,元来は底生生活者であると思いますが,このように水面に漂う基質内にも生活しているのです.そして夏の強い太陽光を受け,高水温のもとで速く成長し,この時期にたくさん羽化してくるものと思われます.平地の日当たりのよい池でこの状態はよく観察できます(上の写真).

▲体の赤色が斑になっているオスのショウジョウトンボ.翅のつけ根の橙色から見ておそらく未熟な個体.

▲普通の色彩をした,未熟なショウジョウトンボのオス個体.

▲翅の黄色が濃い,ショウジョウトンボの未熟なメス.

▲ショウジョウトンボの未熟なメス.翅の黄色はこれくらいが普通である.

ショウジョウトンボほどに多くは見られませんが,オオシオカラトンボ,コフキトンボなども二化目と思われる個体がこの時期出てきます.イトトンボ類の二化目はもう少し早く,7月下旬から見られます.オオイトトンボ,クロイトトンボなどがその代表例でしょう.

今日は,そんなトンボの中で,アオモンイトトンボを観察することにしました.観察適期は7月下旬ですので少し遅い気がします.まずは午前中,交尾を見に行きました.群れるほどは見られませんでしたが,いくつかの個体が交尾をしていました.

▲同色型のメスとの交尾.アオモンイトトンボ.

▲まだ腹部が緑褐色をしているメスとの交尾.アオモンイトトンボ.

▲腹部の緑色がほとんど消え,褐色になったメスとの交尾.

▲体全体がやや紫を帯びた褐色になったメスとの交尾.かなり老熟しているようだ.

これらの個体が二化目かどうかは分かりません.アジアイトトンボは,夏の時期に一時的に個体数が減少するのを経験しますが,アオモンイトトンボの方はそれほど感じません.だらだらと羽化が続いているのかもしれませんね.写真は補助光としてストロボを使っているので,分かりづらいですが,アオモンイトトンボは太陽の光を避けて草の陰側に止まっています.そうやって少しでも暑さをしのいでいるようです.ストロボを使わない写真を紹介しておきましょう.

▲驚かせて飛んだ後静止したところ.陽の当たらない側に止まろうとする.

さて,ここからは午後の部です.ねらいはアオモンイトトンボの産卵です.14:00ころに現地に入りました.以前の観察でこの頃に多数産卵していたからです.しかし,産卵個体はまったく見られませんでした.メスは産卵基質のある場所に出てきてはいますが,植物の茎や葉をつつくような動作,つまり摂食しているような行動を取っています.もう産卵時間は終わってしまったのでしょうか.以前来たときは7月の末でした.時期が異なると産卵時刻も違ってくるのでしょうか.トンボの観察もなかなか一筋縄ではいきません.気温は37度を超えています.池の岸辺にじっとして産卵が始まらないか見守っていましたけれども,黒い長靴の上に照りつける日差しの熱が長靴の中まで伝わり,足が火傷するのではないかと思うくらい熱く感じました.観察は1時間が限界でした.

▲午後,池面に出ている成熟メス.産卵する気配は全くない.

▲アオモンイトトンボの未熟な色彩のメス.今でも羽化している証拠である.

▲アオモンイトトンボの老熟メス.やはり産卵する気配はない.

オスも同じ場所で摂食的な行動を取っていました.オスのサイズが早い時期に出てくるものに比べてやや小さい感じがしましたが,写真で比べてみてもあまりはっきりしませんでした.

▲オスも産卵場で摂食を繰り返していた.

イトトンボ類は,アオモンイトトンボ以外に,セスジイトトンボ,アジアイトトンボがごく少数見られました.

▲セスジイトトンボのメス.今年はあまり出会えていないので,もっと個体数が増えれば良いのにと思う.

▲アジアイトトンボのメス.オスも少数飛んでいた.

ショウジョウトンボも暑さのせいで,池周囲の通路のワイヤーに止まっている個体は,一斉に腹部挙上姿勢を取っていました.一方で,池に出ている成熟個体は,腹部を下げて日差しの当たる面積を小さくしていました.

▲池の周囲の観察路に張られているワイヤに止まるショウジョウトンボの未熟なオスとメス.

▲斑模様のオスの腹部挙上姿勢.この色きちんと赤くなるのだろうか.

▲ショウジョウトンボの未熟なメスの腹部挙上姿勢.

▲池に出ている成熟したショウジョウトンボのオス.腹部を下げて暑さをしのいでいる.

これ以上頑張って熱中症になってもつまらないので,今日はこれで終えることにしました.いやはや,暑い,トンボの観察も命がけという感じです(笑).

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