No. 983. 薮の中にヤンマを探す.2024.8.8.

8月上旬はヤンマの季節.今日は「薮の中にヤンマを探す」をやってみました.「薮」といっても日陰になった山道を歩くだけなんですけどね.今日はあまりヤンマの姿は多くなく,エゾトンボ,それもメスにたくさん出会いました.


▲木の枝などにぶら下がるエゾトンボのオスたち.▲


▲エゾトンボのメスに3頭も出会えた.▲

薮の中では,13:00から14:00頃にトンボの活動が一番盛んになっていたように思います.止まっているトンボは,いつまでもじっとしている個体もいますが,結構動き回っています.やはり一番暑い時間帯に薮の中に避難しているようです.ちなみに外気温は35℃.


▲オニヤンマのオス.結構長いこと止まっていた.▲


▲薮の中で活動が盛んになるとこんな接近状態になることもある.▲

いわゆるヤンマ科のトンボは,マルタンヤンマとミルンヤンマだけでした.ヤブヤンマにはお目にかかれませんでした.


▲マルタンヤンマのオス.この場所からはすぐに飛び立った.▲


▲次に止まったところが結構低い位置だったので,いろんな角度で撮れました.▲

マルタンヤンマのオスは,複眼の青色がきれいです.ヤブヤンマのそれとはまたひと味違います.


▲マルタンヤンマオスの複眼.▲

マルタンヤンマのメスも探してみましたが,出会えませんでした.マルタンヤンマを観察中に,ミルンヤンマが少しずつ止まりながら通り過ぎました.


▲ミルンヤンマの未熟なオス.▲

観察を始めたのが11:15ころで,観察を終えたのが14:15ごろでした.薮の中での活動はお昼を過ぎ気温が最も高くなる頃に活発になり(つまりたくさん入ってくる)ました.最初はエゾトンボ以外何もいませんでしたからね.

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No. 982. ネアカヨシヤンマの確認.2024.8.7.

今日はネアカヨシヤンマの確認に出かけてきました.今日の兵庫県北部は北風が吹いていて,気温は31℃.昭和時代の夏を感じました.私の子供の頃の夏は,日向に出ると暑いのですが,日陰に入るとどこからか涼しい風が吹いてくるというのが普通でした.今日はぴったりその感じでした.気のせいか,トンボたちも元気に活動しているように見えました.日陰で観察するネアカヨシヤンマ,今日はほとんど汗をかきませんでした.

さて,ネアカヨシヤンマは,着いたとたん産卵個体に出会いました.13:15.14:00より早かったですね.


▲着いたとたん目の前の朽ち木に産卵メスが止まった.▲

この個体は結構敏感で,近寄らせてくれませんでした.広い範囲を飛び回って,湿地から出ていくこともありました.しばらく待つと戻ってきましたが...


▲やはりイノシシの足跡が好きなようで,そこで産卵する場合が多かった.▲

ネアカヨシヤンマ以外にヤブヤンマもやって来ました.ただ湿地の水が完全に枯れていて,ヤブヤンマのメスは産卵適所を探して飛び回るばかりでした.結局産卵せずに飛び去りました.やはりヤブヤンマは水面があるところでないと産卵しないようです.この場所には少し前まで水があったようで,それを覚えていたメスがやって来たのかもしれません.そういう意味では,このヤブヤンマの行動は興味深い観察だったと思います.

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No. 981. オナガサナエの確認.2024.8.6.

36℃越えの暑い日が続き,しばらく自宅にこもっていました.でもオナガサナエやヤンマのいい時期が終わってしまうので,今日は思い切ってオナガサナエの観察に出かけました.オナガサナエは日向で待つことになるので,暑い日は避けたいところですが,もうそろそろそんなことは言っておれない時期にさしかかっています.

現地に着いたのは9:00少し過ぎで,ちょっと出発が遅れました.産卵は終わる時刻です.車の外気温は31℃でそれほど高くない!?のですが,もうカンカン照りで日向にいるのがつらい状況です.川に入ってみると,オナガサナエのオスの姿が全く見えません.50mほど川に入って歩いてみましたが,いません.思わずこの場所から姿が消えたのかと思いました.いるのは,シオカラトンボ,ハグロトンボ,ギンヤンマなどです.彼らは暑さなどものともせず,繁殖活動をしていました.とりあえずしばらく待つことにしました.

10:00を過ぎた頃,やっと1頭のオナガサナエのメスが入ってきました.


▲産卵にやって来たオナガサナエのメス.▲

まだこの場所からオナガサナエが消えたのではないことが確認でき,ホッとしました.オスがいない理由は分かりません.暑くて早朝だけ活動して山に帰ったのかもしれませんが,分かりません.今年は,出会うべきトンボに出会える時期に見に行っても出会えないということがしばしば起きています.なんかちぐはぐなものを感じます.

あと,コオニヤンマも数が少なかったです.セスジイトトンボを見かけました.


▲いつもはコオニヤンマもなわばり活動をしているが,今日は少ない.▲


▲セスジイトトンボは盛夏には少なくなる傾向がある.▲

ということで,この暑さが続く毎日,トンボたちの行動も変化しているような気がしてなりません.息が苦しくなってきたので,熱中症にならないうちに退散することにしました.トンボ観察も命がけです(笑).

帰りに森林公園にヤブヤンマをのぞきに寄ってみました.ヤブヤンマには出会えませんでしたが,コノシメトンボの成熟途中のオスに出会いました.こういう色彩のコノシメトンボにはあまりお目にかかることがありません.


▲コノシメトンボオス.腹部が赤く胸部が黄色というリスアカネ的な色彩だ.▲

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今日初出会いのトンボたち
No. 59. コオニヤンマ,オス.
No. 60. オナガサナエ,メス.

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No. 980. ヤンマとアカネ.2024.7.30.

7月下旬,薮の中にヤンマを探す季節が来ました.あわせてアカネ属たちの夏越しも観察することにしました.というのは,自宅の裏庭にリスアカネが居座るようになったのがきっかけです.200mほど離れたところにリスアカネのいそうな池はありますけど.決して近くではありません.


▲自宅の裏庭に居座り始めたリスアカネ.▲

このリスアカネ,写真の枯れ枝の先端が好きなようですが,止まっているところに陽が当たるようになると移動して,太陽の直射を受けないような行動を示します.見ていて面白いのでしばらく観察を続けようと思っています.

さて,一昨日はヤブヤンマにうまく出会えなかったので,今日はなんとか接近遭遇したいということで2ヶ所へ出かけることにしました.最初の場所で見つけましたが,すぐに飛び去ってしまいました.


▲水たまりに面した木の枝に止まるヤブヤンマのオス.▲

例によって池岸から伸びている細い枝に止まってメスを待っている感じでした.

2つ目の場所ではヤブヤンマは見ず,カトリヤンマがいました.ただこちらも遠くから写真を撮ると飛び立ってしまい,接近はできませんでした.


▲カトリヤンマのメス.まだ尾毛が長い.▲

でもまあ,この時期の薮の中のヤンマに出会うことはできました.アカネ属は,ネキトンボ,コノシメトンボ,ヒメアカネなどが見られました.


▲ネキトンボのオス.▲


▲コノシメトンボのメス.▲


▲ヒメアカネのオス.▲

秋を待つアカネ属も薮の中で夏が過ぎるのを待っていました.外気温は36℃でした.この暑さ本当にどうにかなりませんか.

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今日初登場のトンボたち
No. 55. ヤブヤンマ,オス.
No. 56. カトリヤンマ,メス.
No. 57. ネキトンボ,オス.
No. 58. コノシメトンボ,メス.

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No. 979. ヤブヤンマを見に行ったが...2024.7.28.

今日はヤブヤンマを見に行きましたが,結果はオスが数回飛んだだけで,メスの産卵には出会えませんでした.徐々に徐々にではありますが,10年ぐらい前には普通に見られたトンボが見られにくくなってきている感じがします.消えたわけではないので,個体数が減ってきていることの表れではないかと思います.トンボの減少をある種の農薬の影響と考える議論が盛んですが,私はそういう薬剤の影響が少ないと考えられる場所へ出かけることが多く,最近感じる減少は原因が違うように感じます.

さて,気温は35℃を超えていますが,ヤブヤンマの観察は日陰で待つことですので,風さえ吹いていれば比較的楽なものです.正午前後に2時間半ほど観察をしました.しかし木の枝に止まっているメスを探すようにオスが飛んできただけでした.水たまりでは,シオカラトンボ,オオシオカラトンボ,ウスバキトンボが飛んでいました.また日陰にはリスアカネがもうなわばりを形成しているように見えました.


▲オオシオカラトンボ.▲


▲産卵をするオオシオカラトンボのメス.▲


▲暗い林を背景に,止まったり飛んだりするウスバキトンボ.▲


▲日陰で活動を始めているリスアカネ.▲

シオカラトンボのあるメスはとても面白い産卵行動を見せてくれました.オスの数が非常に多いので,メスは普通に打水産卵すると,次々にオスに邪魔されて産卵ができないのでしょうか.そういうことをメスがまるで認識しているかのように,カオジロトンボで見たようなちょっと打水しては止まる,ということを繰り返していたのです.


▲シオカラトンボは数が多く,一つの枯れ枝に4頭のオスが止まっている状態.▲


▲2頭のオスがひっつくようにオオシオカラトンボと一緒に止まっている.▲


▲シオカラトンボの交尾もあちこちで行われている.▲


▲止まって,ちょっと飛んで打水し,また止まる.▲


▲止まっているメスのシオカラトンボ.▲


▲飛び立ったメス.▲


▲跳び上がったメス.▲


▲打水するメス.▲


▲打水したらすぐに止まる.▲

産卵様式は遺伝子に刻み込まれた戦略かというと,それほど固定的ではなく,状況に応じて可塑的に変更できる戦術も持っているということが分かります.ある種のトンボの産卵様式を網羅的に挙げていくことも大切ですが,普段行われない産卵行動を生み出したとき,そのまわりの状況を考えてそれを解釈するということが重要ではないかと思いますし,さらに最も普通に見られる通常の産卵様式が何故その形なのかということも考えてみると面白い知見が得られるかもしれません.

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今日初めて登場したトンボ
No. 54. ウスバキトンボ,オス.

カテゴリー: 兵庫県のトンボ, 観察記 | No. 979. ヤブヤンマを見に行ったが...2024.7.28. はコメントを受け付けていません

No. 978. ヒメサナエとオジロサナエ.2024.7.21.

いつものところへ行って,いつものトンボがいるのを確認して,そして安心して帰る,という観察が年に何回かあります.このヒメサナエとオジロサナエの観察もその一つです.この場所は工事によって一時崩壊するのではないかという恐れがありましたが,工事が終わって3年,どうやら生き延びたようです.工事終了後の原状復帰もすばらしく,ほとんど昔と変わらない状態です.

さてこの時期,産卵活動に的を絞った場合,ヒメサナエには少し遅くオジロサナエには若干早いという微妙な時期です.まずオジロサナエ.川にも出てきており,オスとしては繁殖活動期に入っているといってもよい状態でした.


▲産卵場所の環境でメスを待つオス.▲

オス同士のバトルも繰り広げられ,久しぶりにオジロサナエの活動を楽しみました.しかし草むらにたむろしているオスもいて,これからという感じもしました.


▲草むらにたむろするオジロサナエのオス.▲


▲これはたむろしているのではなく流畔のシダ植物の止まっている.▲

結局オジロサナエについては産卵活動を見ることはできませんでした.オスはそこそこいたので,時機が到来すれば結構産卵活動も盛んになるのではないでしょうか.オジロサナエについてはやはり早朝をねらわないといけないかもしれません.

一方ヒメサナエについては,流れに出ているオスの数が非常に少なかったように感じました.


▲暑い日差しの中で頑張るヒメサナエのオス.外気温37℃!.▲


▲ヒメサナエのオス.ときどき日陰にも降りてくることがあった.▲

ヒメサナエの数が減っているというより,やはり時期がちょっと遅いのだと感じました.というのは,オスの数に比して,今日はメスに結構よく出会いました.まず流れに沿った道を歩いていると,川からヒメサナエのメスが飛び出してきました.


▲流れから飛び出してきて葉に止まったヒメサナエのメス.▲

また観察地に着いたとき,メスが流れに降りてきました.このメスは産卵せずに飛び去りました.私の接近がよくなかったかもしれません.


▲観察ポイントに降りてきたヒメサナエのメス.▲

そして,産卵にはのべ3回現れました.面白いことに私が腰を下ろしている真ん前に産卵に来たのです.それも2回も.私がオスに見つからないような遮蔽物に見えたのかもしれません.長時間腰掛けていると石に見えるのかも.


▲目の前に降りてきて産卵を始めた1回目のメス.座ったままカメラを向けた.▲


▲ヒメサナエの擬瞳孔が面白く,こちらを横目で見ているみたいだ.▲

あと1回の産卵は,水面上を激しく移動して連続打水するような産卵で,ホバリングして間欠打水する,写真のような産卵とは異なるものでした.

オスの方は,何度か川面に降りてきたものの,粘り強くメスを待つ個体はいませんでした.一方,草むらでは何頭か見かけました.


▲流れに出ず草むらで過ごすヒメサナエのオス.▲

という感じで,感触としては,時期と時間を選べば,ここで楽しい観察が出来るかもしれないという感触を得ました.

ここへ行く途中,アカトンボの未熟個体を2頭見ました.一つはミヤマアカネのオス,もう一つはナツアカネです.ナツアカネの未熟な個体は,成熟個体の多さと比べてあまり見かけることがないので,こんなところに一人でぽつんといるんですね.


▲ミヤマアカネの未熟なオス.▲


▲ナツアカネの未熟なオス.▲

ということで,今日は2時間ほどで観察を終えました.なにしろ外気温37℃の危険な暑さでしたから.

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今年初めて出会ったトンボたち.
No. 50. オジロサナエ,オス.
No. 51. ヒメサナエ,オス・メス・産卵
No. 52. ナツアカネ,未熟オス.
No. 53. ミヤマアカネ,未熟オス.

カテゴリー: 兵庫県のトンボ, 観察記 | No. 978. ヒメサナエとオジロサナエ.2024.7.21. はコメントを受け付けていません

No. 977. オオシオカラトンボ.2024.7.20.

今日は樹林に潜むカトリヤンマを探しに行きました.しかしカトリヤンマは一度だけ目の前を通り過ぎただけでした.多かったのはオオシオカラトンボ.今年の南西諸島旅行で,やたらとオオシオカラトンボの亜種を探していましたので,本家本元のオオシオカラトンボを記録しておくことにしました.


▲本家本元のオオシオカラトンボ.Orthetrum melania melania.


▲オオシオカラトンボの未熟なオス.▲

初めメスがいると思って近づくと,未熟なまだ粉を吹いていないオスがいました.これなかなか見るチャンスが少ないんです.複眼が明るい赤茶色であることもメスとは違ってきれいです.次の写真が成熟メスです比べてみてください.


▲オオシオカラトンボの成熟メス.▲

小さな湿地で交尾産卵が行われていました.


▲オオシオカラトンボの交尾.▲


▲産卵を始めたオオシオカラトンボ.▲


▲やはりオキナワオオシオカラトンボのメスとは大分違う.▲

さて,アカトンボたちがひっそりと夏を越していました.リスアカネとヒメアカネです.リスアカネというのは意外とこの未熟な個体には出会いませんね.成熟が早いからかもしれません.


▲リスアカネの未熟なオス.翅端の褐色斑も濃い.▲


▲ヒメアカネの未熟なメス.▲

暑さは35℃.日陰にいても息苦しくなります.2時間ほどで退散しました.

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今年初めて出会ったトンボたち
No. 48. リスアカネ,未熟オス.
No. 49. ヒメアカネ,未熟メス.

カテゴリー: 兵庫県のトンボ, 観察記 | No. 977. オオシオカラトンボ.2024.7.20. はコメントを受け付けていません

No. 976. キイトトンボの産卵.2024.7.17.

しばらく梅雨末期の曇天が続きましたが,今日は少し安定した天気になりました.夏の池に夏の普通のトンボたちを見に行きました.夏のイトトンボと言えばキイトトンボ.最近はたくさんいるところが減ってきたように感じます.


▲池の近くの草むらにポツポツとみられたキイトトンボのオス.▲

池の近くの草むらを歩くと,キイトトンボがあちこちから飛び出してきました.たくさんというほどではありませんが,元気にしているなと感じるほどにはいました.池の際に入って眺めてみると,3組が産卵していました.ちょうど真昼頃です.


▲産卵するキイトトンボ.産卵は3ペアいたが,これらはそのうちの2ペア.▲

キイトトンボに混じってベニイトトンボもいましたが,こちらは産卵はしていませんでした.


▲ベニイトトンボのオスたち.▲

そのほかのイトトンボとしては,クロイトトンボが頑張っていました.


▲クロイトトンボの交尾.▲

池は夏のトンボたちで賑やかでした.コシアキトンボ,シオカラトンボ,チョウトンボ,ショウジョウトンボ,ギンヤンマ,どれも活発に活動をしており,自分たちが主役であると主張するように飛び回っていました.


▲ショウジョウトンボのオス.▲


▲チョウトンボのオス.▲


▲シオカラトンボのオス.▲

この後ヤブヤンマの産卵を見に行きましたが,まだ少し早かったようです.池の上を1回だけヤブヤンマが飛びました.その代わりといっては何ですが,タイワンウチワヤンマが姿を現していました.奄美大島でたくさん見てきたトンボですが,こちらではやっと出現期を迎えたようです.


▲タイワンウチワヤンマが姿を見せた.いよいよ夏本番だ.▲

当たり前のトンボが当たり前のように飛んでいる.これが夏の風景なのです.少し安心しました.梅雨が終われば,川へ行ってみたいと思っています.最後に今日のゲスト,キアゲハのメスです.家庭菜園のにんじんの大敵で,見つけると家内はすぐに殺しています.ちょっとかわいそうな気もしますが...


▲大きくてきれいなキアゲハのメス.▲

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今日初めて出会ったトンボたち
No. 47. タイワンウチワヤンマ,オス

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No. 975. 奄美大島のトンボ観察.2024.7.11.

県外へ出かけたときは「観察記」ではなく「エッセイ」にしていました.それはできるだけ多くの種類のトンボたちに出会い,観察というよりは写真撮影が目的の旅行だったからです.しかし今回は特定の種類にターゲットを絞って,その生態観察を主に行うための訪問です.

■ハネビロトンボ Tramea virginia (Rambur, 1842)
まずはハネビロトンボです.ハネビロトンボは鹿児島県には広く分布しているようで,地元の人が言うには,極めて普通のトンボらしいです.多分こちらでいうところの「コシアキトンボ」ぐらいの位置づけなのではないでしょうか.前回奄美に来たときに鹿児島県の方がトンボを見に来られていたのですが,ハネビロトンボにはカメラを向けることすらほとんどしなかったですから.

しかし私にとっては異国のトンボであることに変わりはありません.特に放卵時に,タンデムで飛来したペアのオスがメスを放してメスが単独で打水し,その直後にまたオスがメスを捕まえてタンデムになるということを繰り返すという珍しい習性を持っていますので,これを記録したいと長年思っていたのです.ですから今回の訪問では,これを記録することが最優先事項でした.

ハネビロトンボのタンデムは,池を高速で縦横に飛び回りながら産卵するので,どこで打水・放卵をするか全く分かりません.35℃の高温のなか日陰に座って観察していると,そんなハネビロトンボにも,打水する好みの場所があることに気づきました.浮葉植物だけでなくそこに藻が浮かんでいるような場所です.それが分かればそこで根気強く待つのみです.


▲池を縦横に飛び回るハネビロトンボのペア.▲


▲放卵直前のハネビロトンボペア.メスの腹端には黄色い卵塊が見える.▲

放卵する前には,水面の低い位置で一瞬止まるような動きをするのでそれと分かります.しかしそれをカメラでとらえるのは難しく,止まった瞬間にカメラを向けてピントを合わせてシャッターを切ってもだいたいが手遅れで,ジャストのタイミングになるのは至難の業であることが分かりました.ただ救いは,かなりの数産卵に来てくれたことでした.何度かやっているうちに反応するコツがつかめました.それは止まる前からトンボを追いつづけることでした.

しかし多くの場合は単なる通過で,それを何回もやられるとこちらの集中力が切れてきます.きっとトンボを追っている間息を止めているのだと思います.年寄りにはきつい.それでもなんとか成功し,記録を録ることができました.


▲放卵寸前のペア.やはりメスの腹部先端には卵塊が形成されている.▲


▲オスがメスを放した.黄色い卵塊が見える.メスが打水する直前である.▲


▲メスが打水・放卵した瞬間.▲


▲打水を終えてメスが上昇に転じたとき,オスはそれをつかみに行こうとする.▲


▲後ろから抱きついて再びタンデムを形成しようとするオス.▲

この連続写真を見ていると,オスの姿格好が面白い.オスはメスと再びタンデムになるために,脚をいっぱいに広げて確実にメスをつかみ,尾部上付属器を根元から背側に直角になるように折って腹部を曲げ,すぐにメスの後頭部を挟めるような体勢をとっていることが分かります.最後の写真の次は,ペアが急上昇したためにフレームアウトしてしまいました.タンデムになる瞬間は,もう一つの撮影例にありましたので,それを載せておきましょう.


▲打水・放卵後,オスがメスの後頭部を挟み,タンデムを再形成する瞬間.▲

でも,ハネビロトンボは,なぜこんな複雑な産卵様式を採用しているのでしょう.ふつうに連結打水産卵すればいいように思うのですが.現に同じように池を縦横に飛んで打水産卵するオオキイロトンボは,連結のまま打水しています.

これはオスの意志かメスが逃げたのかは分かりませんが,連結飛行中にオスがメスを放したり,打水・放卵の後オスがタンデムを形成しなかったりして,メスの単独産卵に移行する場合があります.


▲単独産卵に移行して産卵場所を探すハネビロトンボのメス.▲


▲暑いせいか,腹部を下垂しながら産卵場所を探すハネビロトンボのメス.▲


▲打水前のメス.腹端に卵塊が形成されている.▲

だいたいこんな感じで主に午前中たくさんのペアが産卵にやって来ます.もちろん,単独で飛び回るオスはあちこちに見られます.やはり一定の範囲を巡回するように飛んでいて,他のオスが侵入すると激しく追尾して追い払いますので,なわばりを形成していると考えられます.


▲なわばり飛行する,まだ少し若いオスのハネビロトンボ.▲

午前中はほとんど止まることなく飛び続けているハネビロトンボですが,お昼頃からぼちぼち木の枝先などに止まり始めます.最も日差しが強くなり気温も高くなる頃です.そんな状況なのに,彼らは日向に止まります.普通はコフキトンボのように体を水平にして止まりますが,暑い日向に止まるときには,腹部を下垂することが多いようです.腹部挙上姿勢は,観察した限りでは見られませんでした.


▲コフキトンボのように,体を水平にして枝先に止まるハネビロトンボ.▲


▲腹部を下垂して止まるハネビロトンボのオスたち.▲

ハネビロトンボで面白いのは,この腹部下垂姿勢を,飛びながらでもやっているところです.日向でなわばりの巡回で飛んでいるとき,腹部を下垂して飛ぶことがあります.


▲腹部下垂姿勢でなわばり巡回のために飛ぶハネビロトンボのオス.▲

観察中のエピソードとして,ハネビロトンボのペアが産卵のため空中で一時停止したとき,リュウキュウギンヤンマが襲いかかり,餌として連れ去ってしまいました.産卵というのは動きが予測しやすく,スピードも落ちるので,大型のヤンマにねらわれやすいのですね.カメラは構えていましたが,ピンボケでした.

長い間ハネビロトンボの姿を観察・記録したかった思いがやっと実現し,楽しい時間を過ごすことができました.

■アオビタイトンボ Brachydiplax chalybea flavovittata Ris, 1911
今回の訪問では,ハネビロトンボを追いかけてばかりいたような気がしますが,もう一つどうしても確認したい課題がありました.それはアオビタイトンボの産卵,そしてメスがどこにいるかを見つけることです.台湾に行ったときも沖縄県を訪れたときも,アオビタイトンボのオスはよく見つかりましたが,メスが見つかりませんでした.だいたいこういったトンボのメスは,池周辺や,やや離れた草地などにたむろしているものなのですが,今日に至るまで全く見つけることができていません.


▲アオビタイトンボのオス.オスは今回非常に数が多かった.▲

アオビタイトンボは,お昼前から出てくる数が増えてきます.今回朝早くから観察を始めましたが,早朝はシオカラトンボばかりでした.気温の高くないうちは,より北方に分布が広がっているシオカラトンボの方が目立つのでしょうか.アオビタイトンボはお昼が近くなると目立つようになり,夕方が近くなると今度はシオカラトンボが目立たなくなります.よく見るとこの2種姿格好も似ています.


▲朝のうちはシオカラトンボが目立つ.▲

アオビタイトンボの数が増えてくると,あちこちでオス同士の争いが始まります.コシアキトンボのように2頭が並んで飛び,しばらくして一方が他方を上空へ追いやるような行動になったり,そのまま離れてしまうこともあります.


▲オス2頭が闘争しているところ.▲

さて肝心のメスですが,最初に出会ったのは産卵しているメスを見つけたときでした.時刻は14時ごろで,もっとも暑い盛りです.アオビタイトンボはどんな産卵をするのか興味もありました.結論から言うと,茎や葉や枝など水面に出ている物体に卵を貼り付ける様式で,コシアキトンボと似ている感じです.ただ,コシアキトンボほどに連続性はなく,しばらくホバリングしてから腹端を打ちつけるといった間欠的な感じでした.


▲産卵しているアオビタイトンボのメスを発見した.▲


▲まず,腹端を打ちつける部分にねらいを定めて少しホバリングする.▲


▲腹端を打ちつける直前の状態.腹部先端が上に反っている点に注目.▲


▲腹部先端を反らしたまま枯れ茎に腹端を打ちつけて放卵する.▲

卵は枯れ茎にひっついているのが確認できました.薄緑色で透き通っています.このカットでははっきりとした写真がありませんでしたが,16時頃に見たもう一つの産卵場所にはたくさんの卵が着いているのが見えました.


▲こちらの産卵では,葉の表面に卵を貼り付けている.15:58.▲


▲葉面の緑色のが卵である.少なくとも左側の葉の卵は上のメスが放卵したもの.▲

上の枯れ茎に産卵している写真では水面より上側に卵を貼り付けていますが,下の葉上に卵を貼り付けている写真では水面より下側に卵が貼り付いています.コシアキトンボでは水面より上,コフキトンボでは水面より下,というふうにこれらの種の間ではかなり厳密に貼り付ける場所を選び分けていますが,アオビタイトンボはその辺はどちらでもいいのでしょうか.

ところで,まだ課題は解決していません.フリーのメスはどこに潜んでいるのでしょうか.草地にいない場合は樹上に上がるという可能性があります.そこで林縁に生える木の枝を見ながら探索してみました.すると意外と簡単に見つかりました.


▲林縁の木の枝や葉に止まるアオビタイトンボのメス.▲

若干若い感じのする個体ですが,それでもメスはこういった感じのところに隠れていることが分かりました.成熟するともっと高いところに上がっているかもしれません.こういった場所にはやや若いオスもいました.


▲若い感じのオスも同じにところに見られた.腰の部分がまだ地色だ.▲

アオビタイトンボは現在山口県でも見られるほどに北上しています.ベニトンボのようにやがて兵庫県などでも普通に見られるようになるのでしょうか.1977年に沖縄島で発見されるまでは大東諸島にしか分布していなかったトンボです.これを見るために南大東島へ行った人もきっといたに違いありません.最近の,南方種の北への分布拡大には,目を見張るものがあります.


▲北上を続けているアオビタイトンボ.昔は大東諸島にしかいなかった.▲

■アマミルリモントンボ Coeliccia ryukyuensis amamii Asahina, 1962
さて,まだ訪問の目的があります.アマミルリモントンボの産卵を見ることです.マサキルリモントンボ,リュウキュウルリモントンボと,いずれも産卵の観察が実現していません.しかし,先島諸島,沖縄本島,いずれの訪問も,より多くのトンボに出会うことが目的でしたので,産卵観察のために時間を割くことは,限られた時間の中で優先順位として低かったのです.

しかし今回はちょっとした意地がありました.前回来たときに,アマミルリモントンボのオスはたくさん見つかりました.個体群密度から見て,産卵が見られる可能性は高いと考えていました.何が何でも見つけるという気合いで探しました.ポイントは時間帯です.午前中の早い時間帯に探してみることにしました.これがうまく当たったようです.まず最初に見たのが,連結しているペアでした.


▲タンデム状態のアマミルリモントンボ.8:11.▲

成熟したメスを見たのはこれが初めてです.このペアはこの状態から動きがないので,別のペアを探しに行きました.すると少し離れたところに産卵中のペアがいました.朽ち木に産卵していました.コケのようなところに産卵するかと想像していましたが,意外と堅い基質に産卵するのですね.だから産卵管がやや大きく発達しているのでしょう.


▲朽ち木に産卵するアマミルリモントンボ.▲

この場所は農道の横を流れる細流です.どうしてもこの角度でしか撮れないので溝に降りて撮ることにしました.そんなとき,農家の方が車で通り,突然止まって窓を開け,「ハブに注意してくださいね」と言われました.そうか,ハブというのはこういうところに潜んでいるのか,と思い気持ちを引き締めたところです.


▲もうこれ以上は下の位置にできないぎりぎりの高さで撮った.▲

写真はたくさん採りましたが,植物内産卵をするトンボの産卵は何枚撮っても同じなので,ある程度で止めました.フリーのオスもいましたが,数は春に比べて減っていました.水が一部涸れていたせいかもしれません.


▲アマミルリモントンボのオス.▲

■リュウキュウギンヤンマ Anax panybeus Hagen, 1867
私が訪問したときだけかもしれませんが,奄美大島ではギンヤンマよりリュウキュウギンヤンマの方が普通でした.実は今回の目的の中にリュウキュウギンヤンマの産卵観察というのがあったのですが,リュウキュウギンヤンマの産卵メスは非常に敏感で,5mぐらい離れていても,こちらの動きに反応し,異常を感じれば産卵を止めて飛び去ってしまうのです.

今回は一度だけ産卵に入ったメスに出会いました.このメスも同様に敏感でしたが,産卵基質に止まる前にかなり長時間ホバリングしましたので,これをいただきました.時刻は16:40で,もう夕刻に近いですね.


▲産卵基質に止まる前にしばらくホバリングしたリュウキュウギンヤンマのメス.▲


▲どういうわけか私から視線が届かないような場所を選んで産卵する.▲

結局産卵はこんな感じでしか観察できませんでした.のぞき込もうとするとそれを敏感に感じ取って飛び去ってしまいました.こういうときは不動の姿勢で待つという鉄則を忘れてしまったようです.

しかし一方オスの行動については結構面白い観察が出来ました.オスは,普通のギンヤンマのように,池の上を飛んでメスを探しているのですが,これが意外と少ないのです.どこにいるかというと陸上!.林縁のやや開けた空間を往復しながら長時間飛んでいるオスがそこそこの数いました.普通なら摂食飛翔で片付けてしまいそうな感じの飛び方です.確かに餌昆虫が飛びますと追飛して捕らえたりしているようです.

しかしながら,この行動は,朝から夕方まで特に時間帯に関係なく行われています.普通摂食飛翔というのは時間帯が限られているように思うのですが,朝昼夕方を問わずいつもどこかでやっているという感じなのです.そしてメスが近くを飛ぶとそれを捕らえタンデムになって飛び去るのを見ています.メスが非常に敏感ですぐに逃げてしまうことと考え合わせると,これはひょっとしたらオスがメスを捕まえる戦略ではないかと思ってしまいます.真相は分かりませんが,とにかく陸上をよく旋回飛翔するトンボです.

▲林縁の道の上を飛び回るリュウキュウギンヤンマのオス.▲

■ハネナガチョウトンボ Rhyothemis severini Ris, 1913
奄美大島と言えば,奄美大島にしか分布しない珍しいトンボがいます.1993年に初めて発見されて以来奄美大島以外では見つかっていません.津田(2000)によると,海外では台湾やベトナムに分布しているそうです.

同じく最近日本に入って来た,サイジョウチョウトンボ,またその少し前のアカスジベッコウトンボはいずれも台湾に分布しており,国内ではまず与那国島で初めて発見されています.これらが台湾から来たと言いきることができないにしても,台湾-与那国島-西表島という分布拡大ルートには共通性があります.ところが同じく台湾以南に分布するハネナガチョウトンボは,それらをすっ飛ばしていきなり奄美大島に現れ,しかもその他の離島には出現していないのですから,不思議としか言いようがありません.


▲ハネナガチョウトンボのオス.▲

今回,ハネナガチョウトンボは姿が見られたらいいという程度の感覚で観察に来ました.でもその無欲がよかったのでしょうか,交尾・産卵を観察することができました.まずメスが入って産卵しているのを見ました.植生の中にもぐり込んでの打泥(打水)産卵です.これを上記写真のオスが見つけて,交尾態になりました.交尾態は割合近くに静止してくれましたので,写真記録にとることができました.


▲ハネナガチョウトンボの交尾.▲

交尾しているメスの翅が非常に長く感じられ,ハネナガチョウトンボの和名の意味が分かります.交尾が終わった後もメスは産卵を継続しました.なお,産卵を見たのは全部で3回でした.数が少ないトンボですが,よく観察できたと思っています.


▲植生の間に入り込んで産卵を続けるハネナガチョウトンボのメス.▲

ハネナガチョウトンボは南国のトンボです.暑さには強いのでしょう.お昼過ぎのもっとも暑いときにも池を離れず,腹部挙上姿勢で頑張っていました.そしてときどき周辺を飛び回ります.飛ぶ姿を遠くで見ていると,チョウトンボの飛び方と言うより黒いハネビロトンボといった方がよいような印象です.ハネビロトンボと同様に,翅の基部だけに色が付いているからでしょう.


▲腹部挙上姿勢で頑張るオス.▲

ハネナガチョウトンボは条例で採集禁止になっているようですので,注意したいものです.いつまでも元気で残り続けてほしいトンボです.


▲光線の加減か,紫色に怪しく輝くハネナガチョウトンボ.▲

◆その他のトンボたち
今回は生態観察・記録を中心に訪問したので,いくつかの種には出会えず終わってしまいました.そんな中でちょっとした出会いがあったトンボたちを最後に紹介しておきましょう.

■オキナワオオシオカラトンボ Orthetrum melania ryukyuense Sasamoto et Futahashi, 2013
オキナワオオシオカラトンボは沖縄本島で十分観察できたので,今回は観察目的から外しました.オスは小さな流れに止まっていましたし,交尾を目撃しました.


▲流れに止まるオキナワオオシオカラトンボのオス.▲


▲オキナワオオシオカラトンボの交尾.▲

■タイリクショウジョウトンボ Crocothemis servilia servilia (Drury, 1770)
ハネビロトンボ観察中にこのトンボをたくさん見ました.ときどきメスが入り産卵もしていました.


▲産卵にやって来たメス.交尾されてしばらく静止中.▲


▲タイリクショウジョウトンボの産卵.水滴が前方に飛んでいる.▲

■オキナワチョウトンボ Rhyothemis variegata imperatrix Selys, 1887
先島諸島では非常にたくさんの個体を見ましたが,奄美大島では,あまり多いようには見えませんでした.どちらかと言えば数は少ないトンボでした.メスでやたら翅の黒い部分が大きいのがいました.


▲オキナワチョウトンボと産卵に来たメス.▲

■タイワンウチワヤンマ Ictinogomphus pertinax (Hagen in Selys, 1854)
さすが夏です.タイワンウチワヤンマの数が非常に多かったです.他のトンボを撮影すると,浮葉植物に着いている羽化殻が写るほどです.ハネビロトンボの産卵の写真にも写っています.産卵もいくつか見ました.面白かったのは,こちらで産卵するときは短時間ホバリングしてから浮遊物に腹卵を打ちつけるような動きをしますが,ここで見たのは,まさにすばやい連続打水産卵でした.これは多分オスが多すぎて,ゆっくり停止飛翔などしているとオスにつかみかかられるからかもしれません.


▲タイワンウチワヤンマのオスとメス.▲

■最後に
今回目的としなかったトンボの中で,やはり出会いたかったトンボに,ミナミヤンマがあります.奄美大島のミナミヤンマは翅の前縁部が褐色に彩られていて,なかなか美しいトンボです.飛ぶ姿はそれなりに見ましたが写真に撮れるような状況ではありませんでした.一度だけ,木陰で座ってトンボ観察しているときに,ミナミヤンマのメスが止まりたそうに飛んできたことがありました.しかしハネビロトンボがこれを追いやって,結局止まらずに逃げてしまいました.止まってくれると嬉しいところでしたが惜しかったです.

タイワンシオカラトンボの姿を探しにあちこち移動しました.しかしどこも乾燥していて,これらがいそうな湿地状の場所が見つかりませんでした.それなら水田のあるところへと思いましたら,奄美大島にはほとんど水田地帯がないのですね.国土地理院の地図で水田のマークがついているところはわずかしかありません.ちょっと意外でした.ということで,探す場所が分からず出会えずじまいでした.

ベニトンボハラボソトンボコシブトトンボ産卵アオモンイトトンボ,リュウキュウハグロトンボ,オオキイロトンボなどを見ました.それからムスジイトトンボでしょうか.水色のクロイトトンボ系の産卵を見ましたが,遠すぎて種名の確認にまでは至りませんでした.このなかで,オオキイロトンボは奄美大島では飛来種扱いになっています(尾園ら,2021).残念ながら証拠写真はすべてピンボケでした.


▲やはりベニトンボには登場してもらわないと.産卵は全く見ずだった.▲


▲ハラボソトンボはとても数が少ないトンボであった.▲

チビサナエは探してはみたが見つからず,薄明薄暮の観察は行っていないので,まあ,今の季節これくらいが普通のところだと思います.以上.

カテゴリー: 県外のトンボ, 観察記 | No. 975. 奄美大島のトンボ観察.2024.7.11. はコメントを受け付けていません

No. 974. 思わぬところでハネビロエゾトンボ.2024.7.7.

水に浸かったカメラの調子がやはり少し変でカメラの修理は10万円近くかかりそうですし,ストロボももう6年以上使って推定十万発以上光らせているので,カメラやストロボを新調することにしました.痛い出費です.今日はその機材テストで出かけてきました.前回やはりカメラテスト(このときは水に浸かったカメラが使えるかどうかのテスト)の時にベニイトトンボの新産地を発見しました.今日は,思わぬところでハネビロエゾトンボに出会いました.おそらくここは過去にも記録がないと思います.


▲なわばり活動をするハネビロエゾトンボのオス.▲

新しいカメラで,視度調整をまだ行っていなかったせいか,微妙にピントが来ていない写真ばかりでした.ハネビロエゾトンボは長い時間ホバリングしてくれるので,写真に撮りやすい相手なのですが.このトンボ,10分ほどで,どこかへ飛び去ってしまいました.

あとは夏のトンボたちをためしにとり続けました.


▲ものすごくたくさん飛んでいたチョウトンボ.▲


▲コシアキトンボも今が盛りである.▲


▲ショウジョウトンボも負けずと飛んでいる.▲


▲シオカラトンボも元気である.▲


▲どこから来たのか,ハグロトンボも見られた.▲

いろいろと設定をいじらなければならないことが分かり,まあテストとしてはよかったです.今年は,アオハダトンボ,ベニイトトンボ,ハネビロエゾトンボと,レッドデータブックに載っているトンボの新産地が見つかり,いつも行かない時期にいつも行かない場所へ行くことの重要性を,改めて認識させられています.

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今日初登場のトンボたち
No. 45. ハネビロエゾトンボ,オス.
No. 46. ハグロトンボ,メス.

カテゴリー: 兵庫県のトンボ, 観察記 | No. 974. 思わぬところでハネビロエゾトンボ.2024.7.7. はコメントを受け付けていません