No.718. アキアカネを見に行ってみた.2019.10.9.

そろそろ秋の風が吹き始めましたので,今日は兵庫県北部へ,アキアカネの様子を見に行ってきました.タンデムのアキアカネがたくさん空を飛ぶ姿を見に行こうと思ったわけです.しかし,ちょっとまだ時期が早かったようです.アキアカネが目指す水田の稲刈りが終わっていませんでした.しかしアキアカネはもう山から下りてきていて,草地などで盛んに摂食飛翔をしていましたし,木々の枝のてっぺんにもたくさん止まっていました.アキアカネに混じってナツアカネも止まっていました.

▲木のてっぺんに止まるアキアカネ.
▲ナツアカネも混じって止まっている.
▲草原に止まって摂食しながら休んでいるアキアカネ.

アキアカネはもう成熟はしているようですが,まだ全体として繁殖開始のタイミングではなかったようです.もう少し涼しい日々が続けば,繁殖が始まるといった印象を受けました.しかし数個体ですが,タンデムになって空を飛び回ったり,交尾をしたり,さらに,お昼ころになると,産卵をしたりするものもありました.

▲アキアカネの交尾.
▲産卵活動を行うアキアカネたち.まだ産卵する個体の数は少ない.

お昼過ぎになって暖かくなってくると,水田の鹿避けの柵の先に止まるアキアカネが増えました.今年も,あと10日ぐらい後にはたくさんのアキアカネがタンデムで飛ぶ姿が見られそうです.今日はちょっと早かったみたいです.

▲鹿避けの柵に止まるアキアカネたち.

アキアカネ以外のアカトンボもまだやや早い感じで,キトンボの若い個体が1頭いました.一方でネキトンボはもうシーズンの終わりのようです.1か月前に観察に来たときに最盛期みたいでしたから.

▲まだ体色が淡い,若いキトンボ.
▲ナツアカネの交尾.ナツアカネは1か月前に来たときにも産卵していた.
▲濃い赤になってもっとも脂ののった感じのネキトンボ.2頭見られただけ.

アキアカネの数はたくさんいましたが,アカトンボの活動は今ひとつでした.一方で,夏のトンボの生き残りが,本当に最後に近い活動をしていました.まずはショウジョウトンボ.オスが2頭,そしてメスが産卵をしていました.

▲ショウジョウトンボのオス(上)と産卵するメス(下).

ショウジョウトンボを見ていたら,もうよぼよぼと言っていいほどくたびれた風情のシオカラトンボのメスが足下に飛んできました.また池の縁では,おそらく二化目のアジアイトトンボのオスやメスが活動していました.こちらは,この季節にも普通に活動していますね.

▲翅も破れ,よぼよぼの感じだが,複眼の輝きだけはまだしっかりとしている.シオカラトンボ.
▲アジアイトトンボのオス(上)とメス(下).この時期に見られるのは普通である.

そして,これも夏の生き残り,ハグロトンボがまだ数頭活動を続けていました.オスは産卵基質のそばに陣取って縄張りを形成し,メスを捕まえ,移精行動,交尾,そしてメスは産卵をしていました.オスの翅は,おそらく度重なるオス同士の闘争でボロボロになっています.でもこれは彼の勲章ともいえる,ここまで勝ち抜いてきた証でしょう.

▲流れの石に上に止まって縄張りを監視するハグロトンボのオス.脚もちぎれている.
▲メスが入ってきたので簡単なディスプレイをした後,タンデムに,そして移精行動,交尾へと.
▲メスはオスの警護の下で産卵を始める.
▲いろいろと移動しながら産卵を続けるメス.

まあこんなで,今日は夏と秋の端境といった感じでした.それにしても,もう10月9日なのに,季節の進行が遅いように感じますね.ついこの間まで30度近い気温だったのが影響しているのでしょうか...もう少し季節が進んでからまた来てみようと思っています.

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No.717. マイコアカネが消えた.2019.9.26.

▲去年の9月22日に観察に行ったマイコアカネ.たくさん飛んでいた.

今日は快晴で,絶好のトンボ撮影日より.まだマイコアカネの行動をビデオに撮っていないので,じっくりと時間をかけて撮影に挑もうと,満を持して出かけました.9:00ころに現地に着きました.現地の池の状況は全くの問題なしで,気温も十分.

▲マイコアカネが好む平地の池のヒメガマの群落の今日の姿.去年はこの間をたくさん飛んでいた.

ところが,マイコアカネの姿が全くないのです.周辺のねぐららしいところも含めて,2回まわってみましたが,ただの1頭もいません.いたのは,オオキトンボと飛び回るギンヤンマ,その他アオイトトンボが2頭いただけでした.マイコアカネは生息地を離れて移動するトンボではなく,未熟なときも周辺の木陰で過ごしています.そして秋になると水辺へ出てきます.そのマイコアカネが,池とその周囲にまったく姿がなかったのです.

▲この池のすぐ横の木陰で過ごす未熟なマイコアカネ. 池の水は大きく落とされていた.2018.8.20.

この池は時に大きく水を落とすことがあります.ひょっとしたら,ちょうど幼虫期や羽化期に,ヒメガマの群落の部分に水がなかったのかもしれません.池のつくりから見て,水が2,3m落とされれば,浅い岸にあるマイコアカネの生息域は完全に干上がります.どうもそんな感じがします.

▲池にはオオキトンボが1頭だけぽつんと止まっていただけである.

マイコアカネは,平地や山裾のヒメガマなどが茂る池に生活しています.こういった池から今,どんどんトンボが消えています.その中の一つがマイコアカネで,まとまってみられる池がなくなっています.そこで今日,10年以上も前にマイコアカネがいた平地の池に念のため行ってみました.

▲10年前マイコアカネがいた池.ちょっとヒメガマが茂り過ぎているが.
▲アオモンイトトンボのオスとメス.

その池にいたのはたくさんのアオモンイトトンボとシオカラトンボ1頭,アジアイトトンボ1頭だけでした.アカトンボは何もいませんでした.もう一つ別の平地の池にも行ってみました.そこにはオニバスが茂っていました.しかしトンボの姿はシオカラトンボとショウジョウトンボがそれぞれ1頭ずつでした.

▲もう一つ別の平地の池に行ってみたら,そこはオニバスがたくさん茂っていた.
▲上の池にいたシオカラトンボ.

まあ,この時期,平地の池に行ってもアカトンボはなかなかいないというのは十分予想されたところですが,それにしても,何もいない.ただただ暑い日差しがそそぐだけです.あまりに成果がないので,趣を変えてミルンヤンマを見に行ってみましたがこれもまったく手応えなし.今日はダメの予感がしました.しかしやっと,通りすがりの小さな池にリスアカネが集まって活動しているのに出くわしました.

▲リスアカネがあちこちの木陰に止まっていた.

11時30分ころになると,連結ペアがどこからともなく池に入ってきて産卵を始めました.やっと緊張感を持って撮影に挑むことができました.

▲草の間で連結打空産卵するリスアカネ.
▲珍しく,産卵途中で止まって休息した.

この時期はナニワトンボなどがいるところへ出かければ,それなりに成果があるのは分かっていましたが,マイコアカネが消えたことから,あえて今日は,この時期にあまり訪れない平地の池にこだわってみました.平地の秋はまだもう少し先のようです.

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No.716. ナツアカネを見に行った,ついでに… 2019.9.19.

今日は,ナツアカネが稲穂の上で産卵する姿が見たくて,去年ナツアカネがそこそこ集まっていた谷の水田へ行ってみました.ここは稲刈りが早くて,去年9月の下旬に行ったときには,ナツアカネはそこそこいたものの,稲がきれいに刈り取られてなくなっていました.そこで今年は少し早い目に行くことにしたわけです.しかし現地に着きますと,もう稲刈りが終わっていました.早いです.一方ナツアカネの方はまだちらほら,ここは時期的にマッチングせずダメですね.

▲電柵にの電線に止まるナツアカネのオス.
▲草に止まるナツアカネのメス.

ということで,今日の目的は果たせずに終了.といっても,まだ午前中ですし,空はよく晴れています.近くを歩いてみることにしました.他のアカトンボが活動しているかもしれません.

▲ノシメトンボのオス.最近はあまりまとまった姿を見ない.

最初に道の横に止まっていたのは,ノシメトンボでした.ノシメトンボは水が落とされたため池の岸に広がる草原に産卵します.ここにはそんな環境はないので,水田での産卵をねらっているのかもしれません.

▲ヒメアカネのオスとメス.

次に出会ったのは,ヒメアカネのオスとメスです.まだちょっと完全成熟とまでは行かないような若さが感じられる個体でした.次に小さなため池があったのでのぞいてみますと,ネキトンボが活動していました.そしてこの ため池を終点として折り返し,帰り道でぽつんと止まっているマユタテアカネを見ました.

▲ネキトンボのオス.3頭ほど活動していた.
▲マユタテアカネのオス.

アカトンボたちはいるにはいましたが,ネキトンボをのぞいて,繁殖活動をする気配が見られません.どうも面白くないので,先日あまり出会えなかったオオルリボシヤンマの産卵を見に行くことにしました.オオルリボシヤンマの産卵は午後です.ここからの移動に1時間以上かかるので,ちょうど昼過ぎに着きそうです.

オオルリボシヤンマの観察地に着いたのが12:00ちょうどくらいでした.オスが2頭飛んでいましたが,メスの姿がありません.今年は数が少ない年なのかと思いましたが,昼食をとって時間をおいてみることにしました.12:40,池に戻りますと,2頭のメスが産卵にやって来ていました.そばを歩くと,パッと飛び立ち,ホバリングします.

▲産卵しているそばを歩くと,ふわりと飛び上がり,ホバリングする.

しばらく固まったようにじっとしていますと,高度を下げて,ピタッと産卵基質の枯れ木などに止まります.

▲安心したのか,産卵を再開したオオルリボシヤンマのメス.
▲池の岸を固めている杭に産卵している.

そうこうしていると,オスがメスを追いながら池に入ってきました.メスは向かい合って同調するようにホバリングして,にらみ合っています.オスは一生懸命メスにアプローチしようとしているのでしょう.しかしメスは頑としてそれに応えようとはしません.こういう場合はたいがいオスが諦めます.しばらくすると,オスはメスから離れて,また池の中程をパトロールするように飛び始めました.

▲左のオスが右のメスを追って目の前に入ってきた.しかしメスはにらみ合いを続ける.

先ほどから産卵しているメスは,私の動きに反応して,ときどき飛び上がってはホバリングを繰り返していますが,逃げる気配はありません.オオルリボシヤンマは,今年はビデオを撮ることにしていますので,写真はそこそこにして,ビデオカメラを回しました.

▲あちこち移動しながら産卵を続けるオオルリボシヤンマのメス.

ビデオを撮り続けていますと,やがてこのメスは高く浮き上がるように飛んだ後,近くの樹木の幹に,ムカシヤンマのように止まりました.産卵が終わりになったのでしょうか.

▲ムカシヤンマのように,木の幹にペタッと止まるオオルリボシヤンマのメス.

しばらく待っていると,再び池に降りてきて,産卵を再開しました.結局このメスは14:00ころまで産卵を続け,やがて飛び去っていきました.

オオルリボシヤンマを観察しているときに,私のまわりで動きまわっているトンボがいました.オオアオイトトンボです.ここは結構標高があるせいか,時期的に少し早い感じがしますが,タンデムもいくつか飛んでいます.ひょっとしたら産卵するかもしれないと思い,オオルリボシヤンマの記録が終わった後,ここぞという木の枝を見上げてみました.いました.タンデムで止まっているペアが.

▲イロハモミジの枝に止まる,オオアオイトトンボのタンデムペア.

14:00過ぎというと,過去の観察からは,まだ産卵せずにこのまま連結状態でじっとしているのではないかと思っていました.ところが,すぐにメスは腹部を曲げ,産卵をし始めました.9月19日のオオアオイトトンボの産卵は,私の観察例としてはかなり早いように思えます. 同じ場所で,去年は10月7日に産卵を観察に来ています.

▲産卵を始めたオオアオイトトンボのペア.時刻は14:33.

ということで,アカトンボは活動せず止まっていただけでしたが,オオルリボシヤンマやオオアオイトトンボが繁殖活動を行っていました.終わりよければすべてよし,ということで,今日の観察を終えました.

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No.715. 秋の掛かり.2019.9.14.

秋の訪れをさぐりに,兵庫県の北部へ行ってきました.まだまだ夏のトンボが頑張っているのがよく見られるのですが,秋のトンボたちは活動を開始しているでしょうか? 目的地に着いたのは9:40ころ.ギンヤンマが池を飛び回っており,ショウジョウトンボが追いかけ合いをしています.まだ夏の名残がたっぷり残っているように見えましたが,足下の日陰の,池畔の草に,アオイトトンボが止まっていました.よく見ると,たくさんいます.そして,産卵をしているペアもいました.

▲池畔のイグサに産卵しているアオイトトンボのペア.

秋が始まっていることにほっとした感じがしました.気温はまだ30度を超えていますので,雰囲気は秋ではないのですが,アオイトトンボはきちんと季節を読んでいるようです.すると,ネキトンボが産卵を始めました.ネキトンボはアカトンボではありますが,夏から産卵をしていますので,秋の訪れのお知らせということにはなりません.とはいうものの,秋にたくさんのペアが産卵するのも事実.彼らは秋を待っていたというのがいいかもしれません.

▲池の中央でコナギに止まって腹部挙上姿勢.30度超えなのでやはり暑いようだ.
▲ヒシの生えた池の上で飛び回って産卵するネキトンボのペア.
▲産卵も最後の方になると,オスはメスを放して,メスは単独産卵をするようになる.

ネキトンボは次々産卵に来るのですが,すぐ下を見ると,コノシメトンボが止まっていました.この池でコノシメトンボを見るのは初めてです.まだ胸側が赤くなっていなくて,体色は完熟していないような個体です.しばらく飛んだり止まったりしていましたが,ネキトンボに気をとられていると,いつの間にかいなくなりました.そして少しすると,メスを引き連れて帰ってきました.メスを見つけてどこかで交尾していたようです.ちょっと残念です.コノシメトンボの交尾ってあまり見かけませんから…

▲すぐ足下に止まっていたコノシメトンボのオス.
▲胸側が赤くなっていなくて,上の個体と同じであると思われる.
▲連結打水産卵するコノシメトンボ.

池を離れて,別のアカトンボを探しに行きました.でも,まったくアカトンボの姿がありません.やはりまだ時期が少し早いということは,こういったところに感じられます.本当に秋の掛かりなのでしょう.もう一度池に戻ってみましたら,今度は,ナツアカネが池の堤の上の草地で,連結打空産卵をやっていました.ナツアカネもまだ胸側が完全に赤くなくて,体色は完熟していません.

▲背景に池が写ったナツアカネの産卵ショットは珍しい.落ちる卵が見える.
▲少し日陰に入ると,背景が真っ暗で夜のような写真になる.

今日は気の早いアカトンボがやって来ていることが確認できました.でも,この池でも,アオイトトンボはたくさんいましたが,コノシメトンボ,ナツアカネはそれぞれ1ペアだけで,後はネキトンボがたくさん,ということで,やはり本格的な秋の入りは,もうほんの少し後のようでした.

帰り道,夏の生き残りのトンボたちを記録しておきました.老熟は進んでいるようですが,まだまだ頑張っています.

▲シオカラトンボのオスとメス.メスはまだ新鮮な感じだ.
▲アジアイトトンボのメス.
▲ショウジョウトンボのオス.
▲コフキトンボのオス.
▲キイトトンボのオス.たくさんキイトトンボが飛んでいた.
▲チョウトンボのオス.色が褪せて老熟が感じられる.

これ以外にも,ギンヤンマ,オニヤンマが飛んでいました.オニヤンマは今が繁殖活動の最盛期のようでした.

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No.714. オオルリボシヤンマを見に行った.2019.9.6.

秋晴れのよい天気が続いています.そろそろオオルリボシヤンマも集結しているのではないかと思い,今日はビデオ機材を担いで,オオルリボシヤンマを見に行きました.産卵は昼からになりますので,ゆっくりとした出発になりました.結論から言うと,まだ少し早いのか,それとも今年は数が少ない年なのか,記録に撮るのには向いていない状況でした.

さて到着したとき,2頭のオスが池の上空を飛んでいました.ときどきしつこく追飛する行動が見られました.ちょうど正午ころ,メスが入ってきました.ここはヒメコウホネが茂っている池で,オオルリボシヤンマはその上をホバリングしながら飛んで,産卵する位置を決めているようでした.岸近くの良い場所にも止まりましたが,近づくとすぐに飛び立つ状態でした.1頭だけで産卵しているときは,他のトンボもそうですが,神経質になっています.ようやく産卵を開始したのはかなり向こうの方で,しかもヒメコウホネの中深くに入りこんで産卵していますので,その姿さえ見ることはできません.石を投げたりして飛ばせてみましたが,いい位置にはやってきませんでした.そうこうしているうちに,オスがしつこくつきまとうように後ろを飛ぶメスが入ってきました.止まってもオスの動きにいらつくのか,結局短時間で池から出てしまい帰ってきませんでした.

▲オスにつきまとわれ,結局すぐにいなくなったオオルリボシヤンマのメス.

最初に入ったメスのことなどもう忘れたころ,そのメスがヒメコウホネの上に浮上して,飛び回りました.近づくと,ほんの短時間だけ,その姿が見える位置で産卵をしました.2時間近くも産卵し続けているんですね.

▲ヒメコウホネの葉柄に産卵するオオルリボシヤンマ.緑色型.

これ以外のトンボは,オオシオカラトンボが1頭,林床で休むオオアオイトトンボが1頭,そしてときどきタカネトンボが通り過ぎるだけでした.静かな山の池の午後でした.3時間粘ってもこんな感じで,トンボの姿が少ないです.

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No.713. ハグロトンボの観察.2019.8.25.

しばらく間が開きました.毎日とても暑かったので出かけるのをやめ,その間を利用して,新しいWebページを作成していました.今日は寒冷前線が南へ下がり,秋の空気におおわれる天気でした.久しぶりにすずしくなりそうで,トンボ観察に出かけることにしました.実際,最高気温は29度まででした.朝はまだクマゼミが鳴き,アブラゼミ,ミンミンゼミが鳴き,さらにツクツクボウシが鳴いて,夏の名残が残る中, ハグロトンボを見に行くことにしました.

▲観察地では,ハグロトンボのオスたちが,闘争を繰り広げていた.

現地に着いたのは10:00ころ.ハグロトンボは川に出ていて,オスたちは往ったり来たり,そして一カ所に集まって闘争を繰り広げていました.メスはまだあまり目立ちませんでしたが,1カ所だけ,メスがオスの縄張り内に止まっていました.オスは気にしているようで,一生懸命気を引こうとしています.やがて,オスはメスに接近,メスはオスを受け入れました.

▲オスの右上にメスが止まっている.
▲頻繁にウィング・クラッピングを行い,メスの気を引こうとする.
▲メスはオスを受け入れ,オスは♀の上に乗りかかる.
▲メスの前胸を尾部付属器で前胸をつかみ,飛び立つ.

オスはメスとタンデムになり,メスを引っ張って飛び立ちました.そして水面近くで,移精行動,交尾へと至りました.

▲水面近くで,移精行動から交尾へと至る.

このあと,産卵を始めるまで待たずに,夏の名残のトンボたちの観察に行きました.しばらくは産卵をしているので,交尾の時間を別のトンボの観察に当てたわけです.ひとまわりして戻ってくると,きっちりと産卵をやっていました.

▲産卵しているハグロトンボのメス.

さて,ハグロトンボはこれくらいにして,あとは,夏のトンボの生き残りたちを紹介しておきましょう.まだまだ夏のトンボたちは元気です.

▲遠くにウチワヤンマが見えた.
▲シオカラトンボは非常にたくさん飛んでいた.
▲数は少ないが,コフキトンボの,二化目と思われる小型の個体もいた.
▲ショウジョウトンボ.かなり老熟がかっている一方,新鮮な個体もいた.
▲キイトトンボも元気に産卵していた.
▲オオイトトンボも,二化目と思われる小型の個体が飛んでいた.
▲チョウトンボもまだまだ元気である.
▲チョウトンボは産卵もしていた.2頭産卵を見た.

ということで,残り時間は,ハグロトンボの繁殖活動をビデオに収めていました.また,近いうちに,兵庫県とその近隣のトンボたちで公開します.ということで,今日はここまで.

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No.712. オナガサナエの打水産卵.2019.8.3.

夏の恒例行事その2,オナガサナエの産卵ショウを見に行ってきました.いつもオナガサナエの産卵を見に行くときは,夏の朝曇り状態で,太陽の光を受けた写真が撮れないのです.今日は,どうやら朝から太陽が顔を出していそうです.それでも太陽がある程度高くなった方がいいので,現地に9:00前に着くように出かけました.早朝の方が産卵観察にはいいことは分かっていますが,光を優先しました.

▲オスはあちこちに止まっていて,私と縄張り争いを展開した.

現地に着くと,今日はオスがたくさん出てきていました.オスたちの活動が活発なようです.またメスの方も活動が盛んなようで,11:00の観察終了までの2時間の間に,たくさんやって来たのですが,途中で分からなくなって,数えるのを止めてしまいました.

▲オナガサナエの停止飛翔産卵.

次々にやって来るオナガサナエの産卵を観察していると,最初のうちはいつも通り,停止飛翔をして,空中から乾いた卵をパラパラ落とす,停止飛翔産卵を行っていました.ところが,時間がたって暑くなってくると,産卵中のメスがときどき打水するようになりました.「ときどき」というのは,通常打水動作は,産卵が終了して飛び去る前に見られるのがふつうだからです.ところが,打水後も産卵を続けている個体が散見されはじめました.11:00前になりますと,まるで連続打水産卵というような,水面近くを往ったり来たり素早く飛びながら,ときどき打水するような動作を見せるメスが現れました.

▲打水動作をときどき挿入しながら産卵するメス.卵塊が水を含んで丸くなっているのが見える.

打水動作を間に挟むと,腹端が水に濡れるため,卵塊が水を含んで丸い形になります.ふつうオナガサナエの卵塊は,乾いた状態で形成されるので,いびつな形をしています.

▲停止飛翔産卵を行うときの通常の卵塊の形.乾いているのでいびつな形をしている.2018.8.1.

そして,この水を含んだ丸い卵塊を形成しているメスは,打水時に水中に放卵していることを示す写真が撮れました.コオニヤンマなどが行う打水産卵と同じです.空中で卵塊を形成して,打水・放卵するという様式です.

▲停止飛翔して卵塊形成中のメス.丸い卵塊が,卵でいっぱいになっているように見える.
▲打水する場所を見極めるように水面上で停止飛翔するメス.
▲打水した直後の状況.水滴が落ちている.
▲上の写真の打水された水面部分を拡大したもの.ピンク色の卵が水中に広がっているのが見える.

オナガサナエが打水産卵をするという報告は,すでにあることはあるのですが,私は初めて観察しました.また確実に放卵している証拠写真も撮れました.

トンボというのは状況によって,このように産卵様式を変更することがあるというのが分かります.でも何がそうさせるのかが興味あるところです.今日の観察では,初めのうちは通常の停止飛翔をする個体が多かったように感じましたが,暑くなってきたころのメスに,打水動作が多く見られたように感じます.暑すぎると,通常の乾いた卵塊が形成されにくくなるのかも知れません.

▲オナガサナエのメスをエサとしてお持ち帰りしたコオニヤンマ.この直後捕食したのだ.

今日はたくさんの連れ去られるメスを見ました.オスによる恋のお相手としてのお持ち帰りが4回,コオニヤンマによるお食事としてのお持ち帰りが1回ありました.その他,カメラやビデオに収められた個体だけでも10個体,さらに見逃しが数個体いましたので,20頭近くが産卵に訪れたことになります.

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No.711. ヤブヤンマの観察.2019.7.31.

梅雨明け十日といいますが,今日は結構曇りがちでした.暑さだけは本格的.毎年恒例のヤブヤンマを見に行ってきました.ただ今日はメスの姿を見ず,オスのヤブヤンマと二人で待ちぼうけを食らいました.そう,今日はオスがよく飛び回っていました.

▲薮の中を飛び回るヤブヤンマのオスの顔.
▲どういうわけかしばらくこちらを向いてホバリングを続けていました.

いきなりヤブヤンマの顔のアップから始まりましたが,オスの顔をこのアングルで撮ることはなかなか難しいです.チャンスはめったにありません.ストロボを焚いたら,それに反応したのか,かなり長時間ホバリングしてくれました.

▲あちこちに止まるヤブヤンマのオス.

このオスは,やって来てしばらく止まっていたかと思うと飛び立ち,どこかへ姿を消したかと思ったら,またやって来て止まる.そんな行動を繰り返していました.また,低く飛んでメスの産卵していそうな地面をのぞき込むようにして飛ぶこともしばしばでした.産卵に来るメスを待っているようですね.

▲木々の間を飛ぶヤブヤンマのオス.

まあそんな感じで,このオスと一緒に,メスが産卵にやって来るのを11時から14時くらいまで待っていました.でも今日はまったくメスの動きはありませんでした.ということで,今日はおしまい.その後このオス君メスに出会えたでしょうか….足下ではシオカラトンボが交尾をしていました.

▲シオカラトンボの交尾.
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No.710. オオセスジイトトンボを見に行ったが.2019.7.25.

ものはついでというので,北海道から直帰せず,新潟に寄ることにしました.フェリーも小樽から新潟行きがあるのです.新潟にはオオセスジイトトンボヤオオモノサシトンボの生息する場所があります.それをちょっとのぞいていようというわけです.ところが,前日まで19度から20度という曇り空で涼しい北海道にいて,新潟に着いたらいきなりガンガン晴れた35度.倍近くの気温上昇に,身体が参ってしまいました.それでも滝のように汗をかきながら池及び池の周囲を周到に探索しました.しかしながら,これらのトンボの姿はまったく確認できませんでした.ふつうのセスジイトトンボばかりが目立っていました.

▲セスジイトトンボのオス(上)とメス(下).

ショウジョウトンボ,チョウトンボ,コフキトンボ,シオカラトンボ,ギンヤンマなどのふつうのトンボたちはたくさん舞っていました.このように晴天でも目的のトンボの気配すら見つけられないと,自身のトンボ探索能力の衰えを感じてしまいます.1時間半が限界で,諦めることにしました.

今から25年前(古い!)の1994年にここを訪れ,幼虫を採集したときには,池に入って5分もたたないうちに,オオセスジイトトンボヤオオモノサシトンボの幼虫がたくさん網に入りました.私の探索力のなさもあると思いますが,多分,数がかなり減少しているのでしょう.あるいは私の来た時期が悪かったのかも…

▲25年前に採集したオオセスジイトトンボとオオモノサシトンボの幼虫標本.

この遠征旅行では,最後の最後までいい成果を出すことができませんでした.全国的にトンボが減少し,気軽に行っただけでは,もはやトンボを見ることすら難しくなっているように思えます.

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No.709. 北海道のトンボたち(6).2019.7.24.

 帯広の朝は雨でした.7:00ころには雨は上がり,徐々に地面も乾き始めてきました.しかし空はどんよりした曇り空.今日も期待は出来そうにありません.しかし予定通りというか,雨で草が濡れているので,足場のよいところを選んで出かけることにしました.

 最初の池はなかなか雰囲気がよい池でした.でも,曇り空の下,キタイトトンボが2,3飛ぶだけでした.1時間以上待ってみましたが,雲を通した太陽の暖かさが感じられるときがあったものの,トンボが飛ぶような天気にはなりません.

▲キタイトトンボのオス(上)とメス(中・下).

 それでも,少し暖かさが感じられたとき,ヨツボシトンボがさっと池に入ってきて,コサナエが産卵をしに来ました.さすが北海道ですね.兵庫県では6月には姿を消してしまうコサナエが,7月下旬に産卵しているなんて,緯度の違いを感じました.

▲雨に濡れた草の間に入って産卵するコサナエ.

 10:30くらいにここは諦め,次の池に行きました.この池にはクロイトトンボがたくさんいて,彼らは元気ですね,薄暗い曇り空の下,水面をビュンビュン飛んでいます.メスにちょっかいをかける個体もいました.それ以外には,エゾイトトンボ,ルリイトトンボ,マユタテアカネ,モノサシトンボ,正体不明のエゾトンボ類が飛んでいました.

▲悪天候でも池面に出て飛び回っているクロイトトンボ.
▲メスにちょっかいをかけるクロイトトンボ.メスは交尾拒否.
▲まだ若いクロイトトンボのオス.
▲北海道で初めて見たモノサシトンボ.
▲ルリイトトンボのオス.
▲エゾイトトンボのオス.
▲いつもどこでも私を迎えてくれたキタイトトンボ(メス).ありがとう.

 今日で一応の北海道のトンボ観察は終わりです.明日からは帰途につきます.小樽まで走り,新日本海フェリーに乗って新潟へ行きます.

 北海道のトンボ観察のための滞在6日間中,晴れたのは網走の1日(午後と翌日の午前)だけ.あとは全部曇りか雨でした.希少種については,いちおう情報を集めてそれなりにねらってはいましたが,見られるのは運次第と思っていました.しかし普通種でさえぽつぽつ出ているだけで,希少種などは出てくる気配さえ感じられませんでした.唯一知床五湖は晴れていて,五湖や四湖でたくさんのトンボが群れ飛んでいたのが,北海道らしい風景でした.でも,網走の池は晴れていましたが,トンボのにぎわいをあまり感じない静かな印象でした.北海道もトンボが減っているのかなぁ.

 北海道は,トンボがどこにでもいるというのとは,ちがった感じでした.兵庫県などでは,ふり向けばトンボというくらい,あちこちにふつうに見られます(それでも最近はうんと減りましたが).印象としては,乾いた大地という感じで,特定のポイントに行かなければトンボの姿を見られないという印象でした.もっとも天気のせいかもしれませんが.

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