No.715. 秋の掛かり.2019.9.14.

秋の訪れをさぐりに,兵庫県の北部へ行ってきました.まだまだ夏のトンボが頑張っているのがよく見られるのですが,秋のトンボたちは活動を開始しているでしょうか? 目的地に着いたのは9:40ころ.ギンヤンマが池を飛び回っており,ショウジョウトンボが追いかけ合いをしています.まだ夏の名残がたっぷり残っているように見えましたが,足下の日陰の,池畔の草に,アオイトトンボが止まっていました.よく見ると,たくさんいます.そして,産卵をしているペアもいました.

▲池畔のイグサに産卵しているアオイトトンボのペア.

秋が始まっていることにほっとした感じがしました.気温はまだ30度を超えていますので,雰囲気は秋ではないのですが,アオイトトンボはきちんと季節を読んでいるようです.すると,ネキトンボが産卵を始めました.ネキトンボはアカトンボではありますが,夏から産卵をしていますので,秋の訪れのお知らせということにはなりません.とはいうものの,秋にたくさんのペアが産卵するのも事実.彼らは秋を待っていたというのがいいかもしれません.

▲池の中央でコナギに止まって腹部挙上姿勢.30度超えなのでやはり暑いようだ.
▲ヒシの生えた池の上で飛び回って産卵するネキトンボのペア.
▲産卵も最後の方になると,オスはメスを放して,メスは単独産卵をするようになる.

ネキトンボは次々産卵に来るのですが,すぐ下を見ると,コノシメトンボが止まっていました.この池でコノシメトンボを見るのは初めてです.まだ胸側が赤くなっていなくて,体色は完熟していないような個体です.しばらく飛んだり止まったりしていましたが,ネキトンボに気をとられていると,いつの間にかいなくなりました.そして少しすると,メスを引き連れて帰ってきました.メスを見つけてどこかで交尾していたようです.ちょっと残念です.コノシメトンボの交尾ってあまり見かけませんから…

▲すぐ足下に止まっていたコノシメトンボのオス.
▲胸側が赤くなっていなくて,上の個体と同じであると思われる.
▲連結打水産卵するコノシメトンボ.

池を離れて,別のアカトンボを探しに行きました.でも,まったくアカトンボの姿がありません.やはりまだ時期が少し早いということは,こういったところに感じられます.本当に秋の掛かりなのでしょう.もう一度池に戻ってみましたら,今度は,ナツアカネが池の堤の上の草地で,連結打空産卵をやっていました.ナツアカネもまだ胸側が完全に赤くなくて,体色は完熟していません.

▲背景に池が写ったナツアカネの産卵ショットは珍しい.落ちる卵が見える.
▲少し日陰に入ると,背景が真っ暗で夜のような写真になる.

今日は気の早いアカトンボがやって来ていることが確認できました.でも,この池でも,アオイトトンボはたくさんいましたが,コノシメトンボ,ナツアカネはそれぞれ1ペアだけで,後はネキトンボがたくさん,ということで,やはり本格的な秋の入りは,もうほんの少し後のようでした.

帰り道,夏の生き残りのトンボたちを記録しておきました.老熟は進んでいるようですが,まだまだ頑張っています.

▲シオカラトンボのオスとメス.メスはまだ新鮮な感じだ.
▲アジアイトトンボのメス.
▲ショウジョウトンボのオス.
▲コフキトンボのオス.
▲キイトトンボのオス.たくさんキイトトンボが飛んでいた.
▲チョウトンボのオス.色が褪せて老熟が感じられる.

これ以外にも,ギンヤンマ,オニヤンマが飛んでいました.オニヤンマは今が繁殖活動の最盛期のようでした.

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No.714. オオルリボシヤンマを見に行った.2019.9.6.

秋晴れのよい天気が続いています.そろそろオオルリボシヤンマも集結しているのではないかと思い,今日はビデオ機材を担いで,オオルリボシヤンマを見に行きました.産卵は昼からになりますので,ゆっくりとした出発になりました.結論から言うと,まだ少し早いのか,それとも今年は数が少ない年なのか,記録に撮るのには向いていない状況でした.

さて到着したとき,2頭のオスが池の上空を飛んでいました.ときどきしつこく追飛する行動が見られました.ちょうど正午ころ,メスが入ってきました.ここはヒメコウホネが茂っている池で,オオルリボシヤンマはその上をホバリングしながら飛んで,産卵する位置を決めているようでした.岸近くの良い場所にも止まりましたが,近づくとすぐに飛び立つ状態でした.1頭だけで産卵しているときは,他のトンボもそうですが,神経質になっています.ようやく産卵を開始したのはかなり向こうの方で,しかもヒメコウホネの中深くに入りこんで産卵していますので,その姿さえ見ることはできません.石を投げたりして飛ばせてみましたが,いい位置にはやってきませんでした.そうこうしているうちに,オスがしつこくつきまとうように後ろを飛ぶメスが入ってきました.止まってもオスの動きにいらつくのか,結局短時間で池から出てしまい帰ってきませんでした.

▲オスにつきまとわれ,結局すぐにいなくなったオオルリボシヤンマのメス.

最初に入ったメスのことなどもう忘れたころ,そのメスがヒメコウホネの上に浮上して,飛び回りました.近づくと,ほんの短時間だけ,その姿が見える位置で産卵をしました.2時間近くも産卵し続けているんですね.

▲ヒメコウホネの葉柄に産卵するオオルリボシヤンマ.緑色型.

これ以外のトンボは,オオシオカラトンボが1頭,林床で休むオオアオイトトンボが1頭,そしてときどきタカネトンボが通り過ぎるだけでした.静かな山の池の午後でした.3時間粘ってもこんな感じで,トンボの姿が少ないです.

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No.713. ハグロトンボの観察.2019.8.25.

しばらく間が開きました.毎日とても暑かったので出かけるのをやめ,その間を利用して,新しいWebページを作成していました.今日は寒冷前線が南へ下がり,秋の空気におおわれる天気でした.久しぶりにすずしくなりそうで,トンボ観察に出かけることにしました.実際,最高気温は29度まででした.朝はまだクマゼミが鳴き,アブラゼミ,ミンミンゼミが鳴き,さらにツクツクボウシが鳴いて,夏の名残が残る中, ハグロトンボを見に行くことにしました.

▲観察地では,ハグロトンボのオスたちが,闘争を繰り広げていた.

現地に着いたのは10:00ころ.ハグロトンボは川に出ていて,オスたちは往ったり来たり,そして一カ所に集まって闘争を繰り広げていました.メスはまだあまり目立ちませんでしたが,1カ所だけ,メスがオスの縄張り内に止まっていました.オスは気にしているようで,一生懸命気を引こうとしています.やがて,オスはメスに接近,メスはオスを受け入れました.

▲オスの右上にメスが止まっている.
▲頻繁にウィング・クラッピングを行い,メスの気を引こうとする.
▲メスはオスを受け入れ,オスは♀の上に乗りかかる.
▲メスの前胸を尾部付属器で前胸をつかみ,飛び立つ.

オスはメスとタンデムになり,メスを引っ張って飛び立ちました.そして水面近くで,移精行動,交尾へと至りました.

▲水面近くで,移精行動から交尾へと至る.

このあと,産卵を始めるまで待たずに,夏の名残のトンボたちの観察に行きました.しばらくは産卵をしているので,交尾の時間を別のトンボの観察に当てたわけです.ひとまわりして戻ってくると,きっちりと産卵をやっていました.

▲産卵しているハグロトンボのメス.

さて,ハグロトンボはこれくらいにして,あとは,夏のトンボの生き残りたちを紹介しておきましょう.まだまだ夏のトンボたちは元気です.

▲遠くにウチワヤンマが見えた.
▲シオカラトンボは非常にたくさん飛んでいた.
▲数は少ないが,コフキトンボの,二化目と思われる小型の個体もいた.
▲ショウジョウトンボ.かなり老熟がかっている一方,新鮮な個体もいた.
▲キイトトンボも元気に産卵していた.
▲オオイトトンボも,二化目と思われる小型の個体が飛んでいた.
▲チョウトンボもまだまだ元気である.
▲チョウトンボは産卵もしていた.2頭産卵を見た.

ということで,残り時間は,ハグロトンボの繁殖活動をビデオに収めていました.また,近いうちに,兵庫県とその近隣のトンボたちで公開します.ということで,今日はここまで.

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No.712. オナガサナエの打水産卵.2019.8.3.

夏の恒例行事その2,オナガサナエの産卵ショウを見に行ってきました.いつもオナガサナエの産卵を見に行くときは,夏の朝曇り状態で,太陽の光を受けた写真が撮れないのです.今日は,どうやら朝から太陽が顔を出していそうです.それでも太陽がある程度高くなった方がいいので,現地に9:00前に着くように出かけました.早朝の方が産卵観察にはいいことは分かっていますが,光を優先しました.

▲オスはあちこちに止まっていて,私と縄張り争いを展開した.

現地に着くと,今日はオスがたくさん出てきていました.オスたちの活動が活発なようです.またメスの方も活動が盛んなようで,11:00の観察終了までの2時間の間に,たくさんやって来たのですが,途中で分からなくなって,数えるのを止めてしまいました.

▲オナガサナエの停止飛翔産卵.

次々にやって来るオナガサナエの産卵を観察していると,最初のうちはいつも通り,停止飛翔をして,空中から乾いた卵をパラパラ落とす,停止飛翔産卵を行っていました.ところが,時間がたって暑くなってくると,産卵中のメスがときどき打水するようになりました.「ときどき」というのは,通常打水動作は,産卵が終了して飛び去る前に見られるのがふつうだからです.ところが,打水後も産卵を続けている個体が散見されはじめました.11:00前になりますと,まるで連続打水産卵というような,水面近くを往ったり来たり素早く飛びながら,ときどき打水するような動作を見せるメスが現れました.

▲打水動作をときどき挿入しながら産卵するメス.卵塊が水を含んで丸くなっているのが見える.

打水動作を間に挟むと,腹端が水に濡れるため,卵塊が水を含んで丸い形になります.ふつうオナガサナエの卵塊は,乾いた状態で形成されるので,いびつな形をしています.

▲停止飛翔産卵を行うときの通常の卵塊の形.乾いているのでいびつな形をしている.2018.8.1.

そして,この水を含んだ丸い卵塊を形成しているメスは,打水時に水中に放卵していることを示す写真が撮れました.コオニヤンマなどが行う打水産卵と同じです.空中で卵塊を形成して,打水・放卵するという様式です.

▲停止飛翔して卵塊形成中のメス.丸い卵塊が,卵でいっぱいになっているように見える.
▲打水する場所を見極めるように水面上で停止飛翔するメス.
▲打水した直後の状況.水滴が落ちている.
▲上の写真の打水された水面部分を拡大したもの.ピンク色の卵が水中に広がっているのが見える.

オナガサナエが打水産卵をするという報告は,すでにあることはあるのですが,私は初めて観察しました.また確実に放卵している証拠写真も撮れました.

トンボというのは状況によって,このように産卵様式を変更することがあるというのが分かります.でも何がそうさせるのかが興味あるところです.今日の観察では,初めのうちは通常の停止飛翔をする個体が多かったように感じましたが,暑くなってきたころのメスに,打水動作が多く見られたように感じます.暑すぎると,通常の乾いた卵塊が形成されにくくなるのかも知れません.

▲オナガサナエのメスをエサとしてお持ち帰りしたコオニヤンマ.この直後捕食したのだ.

今日はたくさんの連れ去られるメスを見ました.オスによる恋のお相手としてのお持ち帰りが4回,コオニヤンマによるお食事としてのお持ち帰りが1回ありました.その他,カメラやビデオに収められた個体だけでも10個体,さらに見逃しが数個体いましたので,20頭近くが産卵に訪れたことになります.

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No.711. ヤブヤンマの観察.2019.7.31.

梅雨明け十日といいますが,今日は結構曇りがちでした.暑さだけは本格的.毎年恒例のヤブヤンマを見に行ってきました.ただ今日はメスの姿を見ず,オスのヤブヤンマと二人で待ちぼうけを食らいました.そう,今日はオスがよく飛び回っていました.

▲薮の中を飛び回るヤブヤンマのオスの顔.
▲どういうわけかしばらくこちらを向いてホバリングを続けていました.

いきなりヤブヤンマの顔のアップから始まりましたが,オスの顔をこのアングルで撮ることはなかなか難しいです.チャンスはめったにありません.ストロボを焚いたら,それに反応したのか,かなり長時間ホバリングしてくれました.

▲あちこちに止まるヤブヤンマのオス.

このオスは,やって来てしばらく止まっていたかと思うと飛び立ち,どこかへ姿を消したかと思ったら,またやって来て止まる.そんな行動を繰り返していました.また,低く飛んでメスの産卵していそうな地面をのぞき込むようにして飛ぶこともしばしばでした.産卵に来るメスを待っているようですね.

▲木々の間を飛ぶヤブヤンマのオス.

まあそんな感じで,このオスと一緒に,メスが産卵にやって来るのを11時から14時くらいまで待っていました.でも今日はまったくメスの動きはありませんでした.ということで,今日はおしまい.その後このオス君メスに出会えたでしょうか….足下ではシオカラトンボが交尾をしていました.

▲シオカラトンボの交尾.
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No.710. オオセスジイトトンボを見に行ったが.2019.7.25.

ものはついでというので,北海道から直帰せず,新潟に寄ることにしました.フェリーも小樽から新潟行きがあるのです.新潟にはオオセスジイトトンボヤオオモノサシトンボの生息する場所があります.それをちょっとのぞいていようというわけです.ところが,前日まで19度から20度という曇り空で涼しい北海道にいて,新潟に着いたらいきなりガンガン晴れた35度.倍近くの気温上昇に,身体が参ってしまいました.それでも滝のように汗をかきながら池及び池の周囲を周到に探索しました.しかしながら,これらのトンボの姿はまったく確認できませんでした.ふつうのセスジイトトンボばかりが目立っていました.

▲セスジイトトンボのオス(上)とメス(下).

ショウジョウトンボ,チョウトンボ,コフキトンボ,シオカラトンボ,ギンヤンマなどのふつうのトンボたちはたくさん舞っていました.このように晴天でも目的のトンボの気配すら見つけられないと,自身のトンボ探索能力の衰えを感じてしまいます.1時間半が限界で,諦めることにしました.

今から25年前(古い!)の1994年にここを訪れ,幼虫を採集したときには,池に入って5分もたたないうちに,オオセスジイトトンボヤオオモノサシトンボの幼虫がたくさん網に入りました.私の探索力のなさもあると思いますが,多分,数がかなり減少しているのでしょう.あるいは私の来た時期が悪かったのかも…

▲25年前に採集したオオセスジイトトンボとオオモノサシトンボの幼虫標本.

この遠征旅行では,最後の最後までいい成果を出すことができませんでした.全国的にトンボが減少し,気軽に行っただけでは,もはやトンボを見ることすら難しくなっているように思えます.

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No.709. 北海道のトンボたち(6).2019.7.24.

 帯広の朝は雨でした.7:00ころには雨は上がり,徐々に地面も乾き始めてきました.しかし空はどんよりした曇り空.今日も期待は出来そうにありません.しかし予定通りというか,雨で草が濡れているので,足場のよいところを選んで出かけることにしました.

 最初の池はなかなか雰囲気がよい池でした.でも,曇り空の下,キタイトトンボが2,3飛ぶだけでした.1時間以上待ってみましたが,雲を通した太陽の暖かさが感じられるときがあったものの,トンボが飛ぶような天気にはなりません.

▲キタイトトンボのオス(上)とメス(中・下).

 それでも,少し暖かさが感じられたとき,ヨツボシトンボがさっと池に入ってきて,コサナエが産卵をしに来ました.さすが北海道ですね.兵庫県では6月には姿を消してしまうコサナエが,7月下旬に産卵しているなんて,緯度の違いを感じました.

▲雨に濡れた草の間に入って産卵するコサナエ.

 10:30くらいにここは諦め,次の池に行きました.この池にはクロイトトンボがたくさんいて,彼らは元気ですね,薄暗い曇り空の下,水面をビュンビュン飛んでいます.メスにちょっかいをかける個体もいました.それ以外には,エゾイトトンボ,ルリイトトンボ,マユタテアカネ,モノサシトンボ,正体不明のエゾトンボ類が飛んでいました.

▲悪天候でも池面に出て飛び回っているクロイトトンボ.
▲メスにちょっかいをかけるクロイトトンボ.メスは交尾拒否.
▲まだ若いクロイトトンボのオス.
▲北海道で初めて見たモノサシトンボ.
▲ルリイトトンボのオス.
▲エゾイトトンボのオス.
▲いつもどこでも私を迎えてくれたキタイトトンボ(メス).ありがとう.

 今日で一応の北海道のトンボ観察は終わりです.明日からは帰途につきます.小樽まで走り,新日本海フェリーに乗って新潟へ行きます.

 北海道のトンボ観察のための滞在6日間中,晴れたのは網走の1日(午後と翌日の午前)だけ.あとは全部曇りか雨でした.希少種については,いちおう情報を集めてそれなりにねらってはいましたが,見られるのは運次第と思っていました.しかし普通種でさえぽつぽつ出ているだけで,希少種などは出てくる気配さえ感じられませんでした.唯一知床五湖は晴れていて,五湖や四湖でたくさんのトンボが群れ飛んでいたのが,北海道らしい風景でした.でも,網走の池は晴れていましたが,トンボのにぎわいをあまり感じない静かな印象でした.北海道もトンボが減っているのかなぁ.

 北海道は,トンボがどこにでもいるというのとは,ちがった感じでした.兵庫県などでは,ふり向けばトンボというくらい,あちこちにふつうに見られます(それでも最近はうんと減りましたが).印象としては,乾いた大地という感じで,特定のポイントに行かなければトンボの姿を見られないという印象でした.もっとも天気のせいかもしれませんが.

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No.708. 北海道のトンボたち(5).2019.7.23.

 今日はマンシュウイトトンボを見に行きます.マンシュウイトトンボも,北海道ならどこにでもいるというトンボではありません.しかし曇り空ではありますが,多分姿を見られるでしょう.アオモンイトトンボの親戚ですから,曇りで風の強い日は,池の周囲の草むらにたむろしているはずです.

 駐車場に車を止めて周囲に沿った道を歩いて行きました.数分後,草むらに青い色をしたマンシュウイトトンボのメスを見つけました.やはり草むらにたむろしていました.しかしその後,いくら歩いても,次の個体が見つかりません.経験的に,こういった日のイトトンボは,どこかにかたまっているものです.それさえ見つければ楽勝のはずです.

▲マンシュウイトトンボのメス.濃いきれいなブルーをしている.

 しばらくすると,たくさんのマンシュウイトトンボが集まっている場所に出くわしました.マンシュウイトトンボはどれがオスでどれがメスか,慣れないと分かりませんでした.全部オスに見えてしまうのですが,よく見ると産卵管がついています.こういった集まっている場所は3カ所ほどありました.別の場所では未熟な橙色のメスもいました.

▲マンシュウイトトンボのオス.少しうす緑が混じったような青色だ.
▲マンシュウイトトンボのテネラルなメス.
▲マンシュウイトトンボの未熟なメス.腹部先端が先に青くなるようだ.
▲わずかに未熟色のオレンジ色が透けて青と混じり,藤色に見えるメス.
▲マンシュウイトトンボの成熟メス.まだあざやかな青ではなくやや藤色に近い.
▲摂食するマンシュウイトトンボのメス.
▲少し青みの強いマンシュウイトトンボのオス.

 今日みたいな日は産卵活動は望めません.次に行くことにしました.カラカネイトトンボを見たいので,湿原の木道を歩いてみましたが,ヨツボシトンボとシオカラトンボ,そしてエゾトンボ類が飛んでいただけでした.そう,キタイトトンボも連結で産卵しようとしていました.草の中に潜り込んでいったので,写真は諦めました.湿原をあとにし,別の湿地へ行ってみました.ここはものすごく雰囲気がいいのですが,何も飛んでいません.薄日が差してきたりしましたが,だめでした.風は相変わらず強く吹いています.

▲湿原にいたキタイトトンボのペア.
▲見るからに素晴らしい環境だが,うす暗く風も強く,何もトンボが飛ばない.

 次にエゾカオジロトンボの探索に行くことにしました.しかし空はますます曇り,風は冷たく強く,もうどうしようもありません.例によって湿地の中に入っていくのももう無駄足のような気がして嫌気がさし,やめました.近くを自転車道が走っていましたので,持ってきた自転車を組み立て,自転車道をサイクリングすることにしました.しかし,道がでこぼこで全然スピードが出せず,フラストレーションはたまるばかり.

 このあと帯広へ移動します.阿寒から道東自動車道に乗ると,「何!?,白糠IC-浦幌IC間,事故で通行止め?」.北海道の地理に不案内で,ナビもついていない車で,白糠ICで強制的に下ろされてどうなるのだろう.もう最後は旅行ガイドに掲載されている地図を頼りに走ることしかありません.幸い,一本道の迂回路があって,それを走ることにしました.でも,迂回するだけで40km以上.さすが北海道です.スケールがでかい.

 まあ,無事迂回して,帯広のホテルに着いたのは18:00前でした.今日は,全然ついていない感じの一日でした.マンシュウイトトンボを見ることができたのでよかったとします.

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No.707. 北海道のトンボたち(4).2019.7.22.

 今日は朝から晴れています.しかしこの晴れは知床連山より北側に限られているようです.ちなみに北海道では西側というらしい.網走はその位置にあるので晴れています.今日は釧路へ行く予定ですが,晴れがもったいないので,もう一度エゾトンボ類の摂食飛翔を見に行って,何か新しい種が混じっていないか探してみることにしました.

▲コエゾトンボのメス.
▲今日は低く飛んでいるコエゾトンボのオスたち.

 昨日の場所に着いたのは9:30ころです.たくさんのエゾトンボが摂食飛翔をしています.なぜここにだけ集まるのでしょうか.よく見ていると,小さな羽虫がたくさん飛んでいます.こういう餌が集中して発生しているところに集まっているようです.いくつか採集してみましたが,昨日と変わらず,タカネトンボとコエゾトンボだけでした.

▲タカネトンボのオス.
▲タカネトンボのメス.
▲コエゾトンボのオス.
▲コエゾトンボのメス.

 1時間ほどいて,次は別海町の方に寄り道することにしました.データ放送によると午後は晴れるようです.北海道はちょっと移動するというだけで100km.もう慣れましたけど,走ってばかりいる感じです.根北峠にさしかかると空が曇ってきました.2時間足らずで一昨日訪れた沼に到着しました.空は晴れていましたが,風がものすごく強い.水面を飛んでいるのはシオカラトンボだけ.天候が荒れるとだめなのか,それともトンボがいないのか,それすら判断できません.

 ここは見切って,宿泊地の釧路へ移動することにしました.また100km以上.釧路では,郊外にある小さな池に行ってみました.空はどんよりとした曇り空.風はほとんどありませんが,トンボが飛ぶ雰囲気ではありません.池のそばの草むらの中にキタイトトンボが群れていました.青色のメスがいました.1頭だけ,キタイトトンボにしては腹部が細長いメスがいて,オゼイトトンボかと思いましたが,姿を見失い,確認が出来ませんでした.あと,テネラルなアオイトトンボがたくさんいました.

▲キタイトトンボのオス.もうだいぶん見慣れてきた感じだ.
▲キタイトトンボのオス.胸の部分が薄緑色ではなく水色になっている.
▲キタイトトンボの青色型のメス.
▲キタイトトンボの未熟なメス.
▲ちょっと腹部の長さが長い感じのするメス.でも多分キタイトトンボだろう.
▲アオイトトンボのオス(上)とメス(下).

 今日も,最初を除いて,結局悪天候に悩まされた感じです.晴れてトンボが活動してくれないと,そこにいないのか,いるけど出てきていないだけなのかが分からず,悩ましい限りです.明日も曇り空の予報です.

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No.706. 北海道のトンボたち(3).2019.7.21.

 昨日の20日は,朝から雨.しばらくすると止んで地面が乾いてきたのですが,空模様はトンボどころではない感じ.そこで自転車で野付半島を走ってきました.細長い不思議な形をした半島です.でも,帰りに雨に遭い,びしょびしょになりました.まあ,トンボを見に行かなく正解でした.

 続く21日,ホテルでの起床.また外は雨が降っていたようです.本当に雨がよく降ります.北海道に梅雨はないと言われますが,これはもはや過去のことではないのかと思ってしまいます.つまり温暖化の影響かと...しかし,今日は網走へ行きます.標津町と斜里町の間の根北峠(こんぽくとうげ)を越えた向こう側の網走はガンガンの快晴の予報.今日の予定も網走方面へ移動.予定のコースで晴れが待っているというのは,この旅を始めてから初めてのことです.やっとトンボの飛ぶ姿を見られそうです.

 最初の観察地は,湿地帯の中にある池です.現地に着くと,道路上をエゾトンボが摂食飛翔をしています.こういうのは一番助かります.エゾトンボは飛んでいるのを見るだけでは種名が分かりません.6頭ほど採ってみました.コエゾトンボ4頭とタカネトンボ2頭でした.他にオオルリボシヤンマの未熟な個体も飛んでいました.

▲道路の上空を飛ぶコエゾトンボのメス.ハネビロエゾトンボのように産卵弁が突き出ている.
▲やはり上空を飛ぶタカネトンボのオス.
▲ヤンマが飛んでいたので捕まえたら,オオルリボシヤンマの未熟なオスであった.

 大体種名が分かったので,湿地帯を抜けて池に行ってみることにしました.しかし,かなり険しい道で,人の通ったあとがあるのですが,何度も足を取られ,下手をすると身動きがとれなくなりそうな予感がしたので,諦めることにしました.一人で来たときは事故があるとそれで終わりになりますから,特に知らない土地では諦めも肝心だと思っています.何しろ歳でもありますので,余計に足下が危うかったです.兵庫県で人の管理しているため池ばかりでトンボを見ている身にとっては,北海道の自然は厳しかったです.

 まあ,コエゾトンボという北海道にしかいないエゾトンボが採れたので,よしとしましょう.次の場所は普通の池です.スイレンがいっぱい咲いている池ですが,スイレンは「外来種」だそうです.池の上をカラカネトンボが飛んでいました.カラカネトンボというのは葉の上にトンボ科のトンボのようにペタッと止まるんですね.初めて見ました.北方の種とはほとんど縁がないので,こういった普通種でもすごく新鮮な体験です.

▲池の上を飛ぶカラカネトンボのオス.
▲葉の上にペタッと止まるカラカネトンボ.エゾトンボ科はぶら下がるとばかり思っていた.

 池の沖の方をオオルリボシヤンマらしいヤンマが飛んでいます.足下ではルリイトトンボが転結産卵をしていました.ルリイトトンボは信州で見たことがありますが,ほぼ例外なくメス単独で潜水産卵をやっていました.ここでは普通に連結産卵しています.ところ変われば品変わるですね.

▲ルリイトトンボの連結植物内産卵.

 見たかったキタイトトンボもあちこちで活動しています.連結産卵もしていましたが,いかんせん岸に近すぎます.上からしか撮影できず,あまりいい出来ではありません.あと,エゾイトトンボも1頭見つけました.クロイトトンボはここでもたくさん飛んでいました.

▲あちこちで飛び回っているキタイトトンボのオス.
▲キタイトトンボの繁殖活動.タンデム,交尾,産卵.
▲エゾイトトンボのオス.写真にうまく撮れないので捕まえた.
▲ここにもクロイトトンボがいました.

 もうすっかり昼を過ぎています.北海道は広いので,移動に時間がかかります.最後は湖の畔に野鳥の観察のための遊歩道があって,そこの水辺にトンボがいるらしいので,そこへ行ってみようというわけです.ところが,二日前の19日にヒグマが目撃されたということで,閉鎖されていました.天気は申し分ないのに,今度はヒグマ! 北海道は楽しい! と皮肉りたくなりました.

▲7月19日といえば一昨日ではないか.まだこの辺にいるかも知れない.

 時刻は14:00過ぎ,ここで一番たくさん時間を潰そうと思っていて行く当てもないので,昼食にしました.コーラにパンケーキです.そしてホテルに早めにチェックインし,エゾトンボ類とイトトンボ類の同定をしました.

 ということで,今日は終わりにしました.明日も網走方面は晴れています.でも,網走周辺はあまり長居をする予定がなく,下調べが不十分です.明日は釧路へ行く予定ですが,釧路は霧が出て曇りの予報.これからゆっくりと明日のことを考えることにします.

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